107 / 163
動乱編
ep107 フェエルの闘い(フェエル視点)
しおりを挟む
「ええと、フェエルくんとミアちゃんだっけか」
特別クラスのノエルくんは、見下すような視線をぼくたちにぶつけながら手元のナイフをくるくると回した。
「それとも、特待生ヤソガミの子分って言ったほうがいいのかな?」
その言い方にムッとした。
ぼくたちがナメられているということよりも、ヤソみんが悪く言われているように感じて不快になった。
「ヤソガミくんは子分を従えたりするような人じゃない。間違っていること言わないで」
ぼくよりも先にミアちゃんが反論した。
ミアちゃんも、ぼくと同じ気持ちみたいだ。
「そうだよ。ノエルくんはヤソみんのことを知らないだけだよ」
「そりゃあ他人だからね。ま、君らがヤソガミを慕ってるってことはわかった。ヤソガミにとってもきっと大事な仲間なんだろう。それって、つまり...」
「?」
「君らを痛めつければ、ヤソガミも困るってわけだ」
ノエルくんは残酷な眼つきでニヤリとした。
背筋がゾクッとする。
かつてトッパーくんたちには感じなかった、戦慄のようなものを覚える。
「ミアちゃん。気をつけて」
「わかってる。あの人、危ない感じがするよね」
「うん。トッパーくんのような不良とはまた違う」
「でも、大丈夫」
「うん。...え?」
「エトケテラのような本物の犯罪者に比べたらね」
ミアちゃんが一歩前に出た。
そうか、と思った。
ミアちゃんは魔法犯罪組織に攫われたことがあるんだった。
その時の恐怖に比べればマシなのかもしれない。
「ごめん、ミアちゃん。ビビってちゃダメだね」
ぼくも一歩前に出て、ミアちゃんの横に並び立った。
互いに横目で頷き合い、すっとアルマを構える。
「特異クラスの落ちこぼれのくせに、生意気な眼つきだ。気に入らないな~」
ノエルくんはやや苛立ちを浮かべ、くるくるとナイフを回すのを止めた。
「ま、君らみたいに弱そうなのを、痛めつけるのもまた一興か」
「ミアちゃん。ぼくが彼の足を止めるよ。そうしたらお願い」
「わかった」
「おれの足を止める?そんなこと、できるのか...な!」
語尾と同時に、ノエルくんがその場でナイフをびゅっと振り抜いた。
「ミアちゃん!さっきみたいな小爆発が起きるかも!」
「うん!」
ぼくとミアちゃんは左右に分かれて大きめに跳び退いた。
ボガァァァン!
予想どおり小爆発が起こった。
凄い。
まるで手製の爆弾を投げているみたいだ。
早いとこ彼の足を止めたいと。
「〔牽牛花〕」
すぐに魔術を実行した。
剪定バサミで切れ目を入れた葉っぱがむくむくと巨大な朝顔になり、ノエルくんに向かってシュルシュルと蔦が伸びていく。
「よし!」と思ったのも束の間。
スパァッ!スパァッ!
いつの間にか両手にナイフを構えていたノエルくんは、迫ってきた朝顔の蔦をあっさりと斬ってのけた。
しかも、斬られた蔦の切断付近が熱で焦げている?
「ざ~んねん。おれの〔爆裂ナイフ〕には通じないよ?」
ノエルくんは余裕の笑みを浮かべた。
特別クラスのノエルくんは、見下すような視線をぼくたちにぶつけながら手元のナイフをくるくると回した。
「それとも、特待生ヤソガミの子分って言ったほうがいいのかな?」
その言い方にムッとした。
ぼくたちがナメられているということよりも、ヤソみんが悪く言われているように感じて不快になった。
「ヤソガミくんは子分を従えたりするような人じゃない。間違っていること言わないで」
ぼくよりも先にミアちゃんが反論した。
ミアちゃんも、ぼくと同じ気持ちみたいだ。
「そうだよ。ノエルくんはヤソみんのことを知らないだけだよ」
「そりゃあ他人だからね。ま、君らがヤソガミを慕ってるってことはわかった。ヤソガミにとってもきっと大事な仲間なんだろう。それって、つまり...」
「?」
「君らを痛めつければ、ヤソガミも困るってわけだ」
ノエルくんは残酷な眼つきでニヤリとした。
背筋がゾクッとする。
かつてトッパーくんたちには感じなかった、戦慄のようなものを覚える。
「ミアちゃん。気をつけて」
「わかってる。あの人、危ない感じがするよね」
「うん。トッパーくんのような不良とはまた違う」
「でも、大丈夫」
「うん。...え?」
「エトケテラのような本物の犯罪者に比べたらね」
ミアちゃんが一歩前に出た。
そうか、と思った。
ミアちゃんは魔法犯罪組織に攫われたことがあるんだった。
その時の恐怖に比べればマシなのかもしれない。
「ごめん、ミアちゃん。ビビってちゃダメだね」
ぼくも一歩前に出て、ミアちゃんの横に並び立った。
互いに横目で頷き合い、すっとアルマを構える。
「特異クラスの落ちこぼれのくせに、生意気な眼つきだ。気に入らないな~」
ノエルくんはやや苛立ちを浮かべ、くるくるとナイフを回すのを止めた。
「ま、君らみたいに弱そうなのを、痛めつけるのもまた一興か」
「ミアちゃん。ぼくが彼の足を止めるよ。そうしたらお願い」
「わかった」
「おれの足を止める?そんなこと、できるのか...な!」
語尾と同時に、ノエルくんがその場でナイフをびゅっと振り抜いた。
「ミアちゃん!さっきみたいな小爆発が起きるかも!」
「うん!」
ぼくとミアちゃんは左右に分かれて大きめに跳び退いた。
ボガァァァン!
予想どおり小爆発が起こった。
凄い。
まるで手製の爆弾を投げているみたいだ。
早いとこ彼の足を止めたいと。
「〔牽牛花〕」
すぐに魔術を実行した。
剪定バサミで切れ目を入れた葉っぱがむくむくと巨大な朝顔になり、ノエルくんに向かってシュルシュルと蔦が伸びていく。
「よし!」と思ったのも束の間。
スパァッ!スパァッ!
いつの間にか両手にナイフを構えていたノエルくんは、迫ってきた朝顔の蔦をあっさりと斬ってのけた。
しかも、斬られた蔦の切断付近が熱で焦げている?
「ざ~んねん。おれの〔爆裂ナイフ〕には通じないよ?」
ノエルくんは余裕の笑みを浮かべた。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。
Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。
現世で惨めなサラリーマンをしていた……
そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。
その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。
それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。
目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて……
現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に……
特殊な能力が当然のように存在するその世界で……
自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。
俺は俺の出来ること……
彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。
だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。
※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※
※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
『辺境伯一家の領地繁栄記』スキル育成記~最強双子、成長中~
鈴白理人
ファンタジー
ラザナキア王国の国民は【スキルツリー】という女神の加護を持つ。
そんな国の北に住むアクアオッジ辺境伯一家も例外ではなく、父は【掴みスキル】母は【育成スキル】の持ち主。
母のスキルのせいか、一家の子供たちは生まれたころから、派生スキルがポコポコ枝分かれし、スキルレベルもぐんぐん上がっていった。
双子で生まれた末っ子、兄のウィルフレッドの【精霊スキル】、妹のメリルの【魔法スキル】も例外なくレベルアップし、十五歳となった今、学園入学の秒読み段階を迎えていた──
前作→『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる