八十神天従は魔法学園の異端児~神社の息子は異世界に行ったら特待生で特異だった

根立真先

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動乱編

ep128 危機

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「す、すごい」

「こ、これが、上位生徒の実力なのか」

 エマとライマスは茫然としていた。 
 気持ちはよくわかる。
 生徒会トリオにセリクを加えた彼らの怒涛の波状攻撃は、ケルベロスに何もさせない。
 中距離からのセリクの炎弾。
 遠距離からのシャレクの魔法の矢。
 そしてレイ姉妹の近距離攻撃。
 ただただ、凄まじいの一言に尽きる。

「ヤソガミ!」

 シャレクが合図をして、セリクとレイ姉妹が後ろに跳び退がった。
 最後は俺だ。
 火力は、赤黒い魔犬への倍以上に!
 とその時。

「待って」

 ジークレフ学級委員長が、御神札に神名をなぞろうとした俺の手を押さえた。

「委員長?なぜ止めるんだ?」

「貴方に説明したところでわからないわ」

「おいヤソガミ!何をやっている!早くしろ!」

 再度シャレクが俺に向かって叫んできた時。

 ピカァァッ!

 ケルベロスの全身から強烈な閃光が放たれた。
 これは......電撃だ!
 標的は?
 俺以外の誰かだとマズいぞ!

「姉さん!」

 リンリが叫んだ。
 ケルベロスの凶悪な視線はランラに向いていた。
 彼女は蹴りの打撃による戦闘スタイルなので、もっともケルベロスに近い距離にいた。

「くっ!」

 ランラが跳び退がろうとした刹那。

 ドガァァァァァァン!!

 一瞬だ。
 ほんの一瞬で、凄まじい轟音と共にランラの姿は強烈な雷光に包まれた。
 直撃......。

「姉さん!!」

 リンリが崩れそうになりながら悲痛に叫んだ。
 シャレクが俺とジークレフ学校委員長を睨みつけてくる。

「貴様ら!どういうつもりだ!」

 それは俺が聞きたい。
 学級委員長に。

「なんで俺を止めたんだ?そのせいでランラが......」

 途中で言葉が止まった。
 なぜなら、俺の視線の先、黒焦げになった直径数メートルのすぐ隣に、無傷の彼女の姿を確認したからだ。
 よくかわしたな......と思いかけて、あっとなる。

「ほう。中々やるな」

 その光景を見てイナバが感心した。
 気づかない間にランラの近くへ移動していたエマが手鏡をかざしていた。

「う、うまくいったぁ......」

 エマはへなへなと地面にへたり込んだ。
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