八十神天従は魔法学園の異端児~神社の息子は異世界に行ったら特待生で特異だった

根立真先

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動乱編

ep131 合同魔術演習が終わり...

 合同魔術演習の翌日から、まわりの俺を見る目がガラリと変わった。

「生徒会長と一緒にケルベロスと戦ったんだろ?」
「しかもヤソガミくんが倒しちゃったんでしょ??」
「スゴイ!」

 朝、登校するなり囲まれた。
 噂が広まるのは早い。
 たった一日で、特待生ヤソガミへの認識と評価が一変した。
 一言で言えば、俺は人気者になった。
 
「なーんか気に入らないし」

 教室に着くとエマが不満げな顔をする。
 
「こういうの、手のひら返しって言うんじゃね?」

 これにはフェエルとミアも「そうだね」と苦笑いしたが、フェエルがこうも付け加えた。

「それでも、ヤソみんがちゃんと認められたのなら、ぼくは嬉しいよ」

 フェエルの優しい言葉を聞いて、エマとミアも笑顔で頷いた。
 
「小僧は嬉しくないのか?」

 机に座るイナバが訊いてきたが、俺の正直な気持ちは少し違っていた。

「俺がまわりから評価されることで、チームヤソガミの学校生活が平和なモノになるのなら嬉しいよ」

 チームヤソガミと言ったのは照れ隠しだ。
 ようするに、フェエルやエマやミアにとってもプラスになるのなら大歓迎ってことだ。
 もちろんライマスも。

「何だかすごくヤソみんらしいね」

「うん。ヤソガミくんって感じ」

「えー、あーしはもっと野心あっても良いと思うんだけど、ヤソガミは」

 エマだけは何だか物足りなそうだ。

「野心と言われてもなぁ」

「だって、ヤソガミってスゴイじゃん」

「そうでもないよ。力の制御もまだまだだし」

「あーしが言ってるのはそういうことだけじゃないんだけどなー」

 エマが子猫のような目でじーっと見つめてくる。
 俺は何となく気恥ずかしくなって視線を外した。
 その時。
 教室のドアが勢いよく開いて、クラスの視線が一挙にそちらへ集中した。
 一瞬遅れて俺も視線を転じると、こちらへ向かってずかずかと歩いてくる女子二人と視線が交わった。

「レイ姉妹?」

「ヤソガミ。今からテメーは一緒に来てもらう。」

 開口一番ランラが言ってきた。
 有無を言わせぬ口調で。

「はあ?なんだよいきなり。これから授業なんだけど?先生の許可とってんの?」

 エマが立ち上がってランラに詰め寄るが、リンリがそれを冷静に制した。

「先生の許可はいただいています。というより、これは魔法科主任ガブリエル先生の指示によるものです。もちろん特異クラス担任のハウ先生も承諾しています」

「ど、どういうことなの?」

 フェエルが慌てて俺より先に訊いた。

「ここでは話せません」

「せめて理由だけでも教えてくれないかな」

「そ、そうだよ。いきなり何の理由もなく連れて行かれるなんて変だよ」

 ミアも続いたが、ランラが恫喝するように机にがんっと足を乗せた。
 彼女の足にはアルマであるブーツが装着されている。

「抵抗するなら力ずくでも構わないと言われてる。大人しく言うこと聞け」

「ふ、フザケんなよ!」

 エマが声を荒げた。

「特異クラスだからってナメんのもイイ加減にしろよ!せっかく合同魔術演習で少しはマシになったのかと思ってたのに!」

「今はそこまでナメちゃいねーよ」

「えっ」

「フィッツジェラルド。これはそういうハナシじゃねーんだ」

 ランラの意外な返答に、エマは言葉に詰まってしまった。
 イナバが俺の肩にぴょんと乗ってくる。

「どうするんじゃ?」

 俺はすっくと立ち上がり、教室を見回した。
 どこに行ったのかジークレフ学級委員長とセリクの姿が見えない。
 今この状況で、色々な意味でレイ姉妹に対抗できるのはあの二人ぐらいだ。
 となるとここは素直に従った方がいい気がする。
 どうせ俺が何を言ったところで無駄だろう。
 何よりもみんなに迷惑がかかってしまう。

「なら行くか」

「ヤソミん?」「ヤソガミ?」「ヤソガミくん?」

 不安たっぷりに見つめてくるみんなに、俺はわざとドヤ顔を決めた。
 
「大丈夫だ。なんせ俺はジェットレディにスカウトされた特待生だから」

 レイ姉妹は意味ありげに視線を交わし合い、ランラがすっと足を降ろした。

「それじゃあ、ヤソガミを借りてくぞ」

「お騒がせいたしました」

 俺はクラス全員の視線を背中に浴びながら、レイ姉妹に続いて教室を出ていった。
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