145 / 163
動乱編
ep145 放課後
昼休憩の時間になると、食堂へ移動する前のタイミングで、ハウ先生が俺たちのもとまでやってきた。
「ヤソガミくん」
「例の件ですよね」
「放課後、ひとりで私の研究室まで来てください」
俺はやや訝しく思う。
なぜ、ひとりで、なのか。
「みんなを連れていっちゃダメなんですか?」
「駄目です。ひとりで来てください」
ハウ先生の口調はいつも通りのものだったが、断固としていた。
「わかりました」
俺が承諾すると「ではお願いします」の一言だけで、ハウ先生はさっさと教室から出ていってしまった。
「なんの話だろう......」
俺たちは互いに顔を見合わせた。
「えっ」
放課後、ハウ先生の研究室のドアを開けた途端、俺の動作がピタッと静止する。
彼女がいたからだ。
「先生。これはどういうことですか」
俺を見た瞬間、先生のデスクの前に立っていた委員長は批判めいた口調で抗議した。
「ジークレフさん。こうでもしないと貴女とヤソガミくんは気まずいままでしょう」
しれっと言うハウ先生に、委員長の表情が一変する。
「先生は、私がしたということを、ヤソガミくん本人へ伝えたのですか?」
「不本意ながらですが」
「内部告発した人間の名は明かさないのが常識でしょう?」
「やむを得なかったのです」
「どんな理由が?」
「困った友人のせいです」
「は??」
「さて、ヤソガミくんも早くこちらへどうぞ」
ハウ先生は強引に話を切り替え、俺をデスクの前の委員長の隣に立たせた。
俺の肩に乗っていたイナバは、先生のデスクへぴょーん跳び降りる。
「それで、ハウ教師は生徒二人をどうするつもりじゃ?」
さっそくイナバが切り出した。
「どうするつもりもありませんよ」
「それはどういう意味じゃ。お主に考えがないわけがなかろう」
「ただ私は、目の届かない所でイレギュラーを起こされるよりはこの方が良いと判断したまでです」
ハウ先生は俺と委員長を交互に見る。
委員長はハァーッとため息をつき、諦めたように口をひらいた。
「で、私に彼と何を話せと?」
「ジークレフさん。貴女の告発した事実について、詳しく教えていただけませんか?」
「要するに、それをヤソガミくん本人へも話せということですね?」
「そういうことです」
「その前に確認したいことがあります」
委員長は鋭い視線を先生に向けた。
「何ですか?」
「魔法科主任のガブリエル先生の許可はあるのですか?」
「これは二人の担任として私が判断して行っていることです」
「この件については現在、本学園ではガブリエル先生が受け持っていると認識しています。それならば、まずはガブリエル先生に話を通すのが筋ではないのですか?」
まるでやり手弁護士のように委員長は淀みなく流暢に反論をつきつけた。
完全に自分が正しいと思っている態度と口調だ。
でも、確かに正論だ。
ハウ先生が間違っているとも思わないが、委員長の主張も間違ってはいない。
「わかりました。では今からガブリエル先生に許可をもらってきます。それでいいですか?」
ハウ先生は委員長の主張を認め、立ち上がった。
委員長は「はい」と承諾してから、さらに要求する。
「私も一緒に行ってもよろしいですか」
ハウ先生はこれも受け入れた。
「すみません。ヤソガミくんはここでしばしお待ちください」
そして二人が部屋を出て行こうとドアを開けた時だった。
二人の足がピタッと止まる。
「ハウ先生。貴方は一体何をしようとしていたんですか」
なんと、ガブリエル先生が扉の前に立っていたのだ。
ハウ先生は慌てることなく訊き返す。
「ガブリエル先生こそ何しにいらしたのですか?」
「それは言わなくてもわかるでしょう」
「そうですか。実はちょうど今からガブリエル先生のところへ行こうと思っていたんです。せっかくここまでいらしていただいんたんですから、私の研究室でお話しましょう」
「待ちなさい。私はここには入らない」
「なぜです?」
「それこそ言わなくてもわかるだろう」
「はあ」
「ハウ先生。君とあの女...ジェットレディが懇意の間柄というのは知っている。私を馬鹿にしているのか」
「ここに彼女はいませんよ?」
「今ここで君の能力について説明しようか?」
ガブリエル先生の口調は鋭く冷たい。
かなり苛立っていると思われる。
「ガブリエル先生」
ハウ先生の発言が止まるタイミングをはかっていたように、委員長が口をひらく。
「例の件について、ハウ先生は独自の勝手な判断で私とヤソガミくんを呼び立てました。ハウ先生の真意はわかりませんが、いずれにしても、これは一生徒が判断すべきことではないと私は考えます。ですので、どう対応すれば良いのか、ガブリエル先生の判断を仰ぎたく存じます」
委員長の言い方は、何かとても狡猾なものに感じた。
まるで自分を正当化しつつハウ先生を貶めるような、そんな言い方だ。
「ジークレフくん。こっちに来なさい」
話を聞くなりガブリエル先生は委員長を自分の方へ引き寄せた。
「あの、ガブリエル先生」
「ハウ先生。この件に君は関わらないでいただきたい」
ガブリエル先生はハウ先生の発言を遮った。
「私が関わってはいけないと?」
「そもそも君の監督不行届で起こったとも言えるんだぞ」
「ガブリエル先生。失礼ですがその言い方は看過できません」
ハウ先生が疑義を唱える。
「看過できない?」
「貴方の言い方では、まるでヤソガミくんが犯人みたいじゃないですか」
「そうは言っていない」
「ではどういう意味ですか?」
「ヤソガミに疑いがかけられたという時点で問題なんだ」
「それはさすがに強弁では」
「ヤソガミはあの女...ジェットレディの連れてきた得体の知れない特待生だ。ただでさえ疑わしい存在なんだ。実際すでに何度も問題を起こしている。先日の授業で彼の魔法も目の当たりにしたが、ハッキリ言って異質過ぎる。あれは危険だ。ハウ先生は、彼を鎖で縛ってでも厳重に管理しなければならないだろう」
「ガブリエル先生。いくらなんでもそれは...」
「もういい。ジークレフくん、行くぞ」
ガブリエル先生は強引に話を切ると、委員長を連れて立ち去っていってしまった。
「ヤソガミくん」
「例の件ですよね」
「放課後、ひとりで私の研究室まで来てください」
俺はやや訝しく思う。
なぜ、ひとりで、なのか。
「みんなを連れていっちゃダメなんですか?」
「駄目です。ひとりで来てください」
ハウ先生の口調はいつも通りのものだったが、断固としていた。
「わかりました」
俺が承諾すると「ではお願いします」の一言だけで、ハウ先生はさっさと教室から出ていってしまった。
「なんの話だろう......」
俺たちは互いに顔を見合わせた。
「えっ」
放課後、ハウ先生の研究室のドアを開けた途端、俺の動作がピタッと静止する。
彼女がいたからだ。
「先生。これはどういうことですか」
俺を見た瞬間、先生のデスクの前に立っていた委員長は批判めいた口調で抗議した。
「ジークレフさん。こうでもしないと貴女とヤソガミくんは気まずいままでしょう」
しれっと言うハウ先生に、委員長の表情が一変する。
「先生は、私がしたということを、ヤソガミくん本人へ伝えたのですか?」
「不本意ながらですが」
「内部告発した人間の名は明かさないのが常識でしょう?」
「やむを得なかったのです」
「どんな理由が?」
「困った友人のせいです」
「は??」
「さて、ヤソガミくんも早くこちらへどうぞ」
ハウ先生は強引に話を切り替え、俺をデスクの前の委員長の隣に立たせた。
俺の肩に乗っていたイナバは、先生のデスクへぴょーん跳び降りる。
「それで、ハウ教師は生徒二人をどうするつもりじゃ?」
さっそくイナバが切り出した。
「どうするつもりもありませんよ」
「それはどういう意味じゃ。お主に考えがないわけがなかろう」
「ただ私は、目の届かない所でイレギュラーを起こされるよりはこの方が良いと判断したまでです」
ハウ先生は俺と委員長を交互に見る。
委員長はハァーッとため息をつき、諦めたように口をひらいた。
「で、私に彼と何を話せと?」
「ジークレフさん。貴女の告発した事実について、詳しく教えていただけませんか?」
「要するに、それをヤソガミくん本人へも話せということですね?」
「そういうことです」
「その前に確認したいことがあります」
委員長は鋭い視線を先生に向けた。
「何ですか?」
「魔法科主任のガブリエル先生の許可はあるのですか?」
「これは二人の担任として私が判断して行っていることです」
「この件については現在、本学園ではガブリエル先生が受け持っていると認識しています。それならば、まずはガブリエル先生に話を通すのが筋ではないのですか?」
まるでやり手弁護士のように委員長は淀みなく流暢に反論をつきつけた。
完全に自分が正しいと思っている態度と口調だ。
でも、確かに正論だ。
ハウ先生が間違っているとも思わないが、委員長の主張も間違ってはいない。
「わかりました。では今からガブリエル先生に許可をもらってきます。それでいいですか?」
ハウ先生は委員長の主張を認め、立ち上がった。
委員長は「はい」と承諾してから、さらに要求する。
「私も一緒に行ってもよろしいですか」
ハウ先生はこれも受け入れた。
「すみません。ヤソガミくんはここでしばしお待ちください」
そして二人が部屋を出て行こうとドアを開けた時だった。
二人の足がピタッと止まる。
「ハウ先生。貴方は一体何をしようとしていたんですか」
なんと、ガブリエル先生が扉の前に立っていたのだ。
ハウ先生は慌てることなく訊き返す。
「ガブリエル先生こそ何しにいらしたのですか?」
「それは言わなくてもわかるでしょう」
「そうですか。実はちょうど今からガブリエル先生のところへ行こうと思っていたんです。せっかくここまでいらしていただいんたんですから、私の研究室でお話しましょう」
「待ちなさい。私はここには入らない」
「なぜです?」
「それこそ言わなくてもわかるだろう」
「はあ」
「ハウ先生。君とあの女...ジェットレディが懇意の間柄というのは知っている。私を馬鹿にしているのか」
「ここに彼女はいませんよ?」
「今ここで君の能力について説明しようか?」
ガブリエル先生の口調は鋭く冷たい。
かなり苛立っていると思われる。
「ガブリエル先生」
ハウ先生の発言が止まるタイミングをはかっていたように、委員長が口をひらく。
「例の件について、ハウ先生は独自の勝手な判断で私とヤソガミくんを呼び立てました。ハウ先生の真意はわかりませんが、いずれにしても、これは一生徒が判断すべきことではないと私は考えます。ですので、どう対応すれば良いのか、ガブリエル先生の判断を仰ぎたく存じます」
委員長の言い方は、何かとても狡猾なものに感じた。
まるで自分を正当化しつつハウ先生を貶めるような、そんな言い方だ。
「ジークレフくん。こっちに来なさい」
話を聞くなりガブリエル先生は委員長を自分の方へ引き寄せた。
「あの、ガブリエル先生」
「ハウ先生。この件に君は関わらないでいただきたい」
ガブリエル先生はハウ先生の発言を遮った。
「私が関わってはいけないと?」
「そもそも君の監督不行届で起こったとも言えるんだぞ」
「ガブリエル先生。失礼ですがその言い方は看過できません」
ハウ先生が疑義を唱える。
「看過できない?」
「貴方の言い方では、まるでヤソガミくんが犯人みたいじゃないですか」
「そうは言っていない」
「ではどういう意味ですか?」
「ヤソガミに疑いがかけられたという時点で問題なんだ」
「それはさすがに強弁では」
「ヤソガミはあの女...ジェットレディの連れてきた得体の知れない特待生だ。ただでさえ疑わしい存在なんだ。実際すでに何度も問題を起こしている。先日の授業で彼の魔法も目の当たりにしたが、ハッキリ言って異質過ぎる。あれは危険だ。ハウ先生は、彼を鎖で縛ってでも厳重に管理しなければならないだろう」
「ガブリエル先生。いくらなんでもそれは...」
「もういい。ジークレフくん、行くぞ」
ガブリエル先生は強引に話を切ると、委員長を連れて立ち去っていってしまった。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
【村スキル】で始まる異世界ファンタジー 目指せスローライフ!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は村田 歩(ムラタアユム)
目を覚ますとそこは石畳の町だった
異世界の中世ヨーロッパの街並み
僕はすぐにステータスを確認できるか声を上げた
案の定この世界はステータスのある世界
村スキルというもの以外は平凡なステータス
終わったと思ったら村スキルがスタートする
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
【完結】婚活に疲れた救急医まだ見ぬ未来の嫁ちゃんを求めて異世界へ行く
川原源明
ファンタジー
伊東誠明(いとうまさあき)35歳
都内の大学病院で救命救急センターで医師として働いていた。仕事は順風満帆だが、プライベートを満たすために始めた婚活も運命の女性を見つけることが出来ないまま5年の月日が流れた。
そんな時、久しぶりに命の恩人であり、医師としての師匠でもある秋津先生を見かけ「良い人を紹介してください」と伝えたが、良い答えは貰えなかった。
自分が居る救命救急センターの看護主任をしている萩原さんに相談してみてはと言われ、職場に戻った誠明はすぐに萩原さんに相談すると、仕事後によく当たるという占いに行くことになった。
終業後、萩原さんと共に占いの館を目指していると、萩原さんから不思議な事を聞いた。「何か深い悩みを抱えてない限りたどり着けないとい」という、不安な気持ちになりつつも、占いの館にたどり着いた。
占い師の老婆から、運命の相手は日本に居ないと告げられ、国際結婚!?とワクワクするような答えが返ってきた。色々旅支度をしたうえで、3日後再度占いの館に来るように指示された。
誠明は、どんな辺境の地に行っても困らないように、キャンプ道具などの道具から、食材、手術道具、薬等買える物をすべてそろえてた。
3日後占いの館を訪れると。占い師の老婆から思わぬことを言われた。国際結婚ではなく、異世界結婚だと判明し、行かなければ生涯独身が約束されると聞いて、迷わず行くという選択肢を取った。
異世界転移から始まる運命の嫁ちゃん探し、誠明は無事理想の嫁ちゃんを迎えることが出来るのか!?
異世界で、医師として活動しながら婚活する物語!
全90話+幕間予定 90話まで作成済み。
アロマおたくは銀鷹卿の羽根の中。~召喚されたらいきなり血みどろになったけど、知識を生かして楽しく暮らします!
古森真朝
ファンタジー
大学生の理咲(りさ)はある日、同期生・星蘭(せいら)の巻き添えで異世界に転移させられる。その際の着地にミスって頭を打ち、いきなり流血沙汰という散々な目に遭った……が、その場に居合わせた騎士・ノルベルトに助けられ、どうにか事なきを得る。
怪我をした理咲の行動にいたく感心したという彼は、若くして近衛騎士隊を任される通称『銀鷹卿』。長身でガタイが良い上に銀髪蒼眼、整った容姿ながらやたらと威圧感のある彼だが、実は仲間想いで少々不器用、ついでに万年肩凝り頭痛持ちという、微笑ましい一面も持っていた。
世話になったお礼に、理咲の持ち込んだ趣味グッズでアロマテラピーをしたところ、何故か立ちどころに不調が癒えてしまう。その後に試したノルベルトの部下たちも同様で、ここに来て『じゃない方』の召喚者と思われた理咲の特技が判明することに。
『この世界、アロマテラピーがめっっっっちゃ効くんだけど!?!』
趣味で極めた一芸は、異世界での活路を切り開けるのか。ついでに何かと手を貸してくれつつ、そこそこ付き合いの長い知人たちもびっくりの溺愛を見せるノルベルトの想いは伝わるのか。その背景で渦巻く、王宮を巻き込んだ陰謀の行方は?