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ep70 俺の妹?
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......朝。
「......ん、なんか......くるしい......な??」
目覚めると、俺は仰天する。
「う、ウサ!?」
なんと、ウサが掛け布団になっていたのだ。
(これが噂の妹布団!?)
そんな噂あるかぁ!
何をバカなこと考えているんだ!
これだから中学二年生男子は困る!
「ウサ!起きて!そしてどいてくれ!」
ウサのほっぺをペンペンとやさしく叩いた。
「......ん?おにーちゃん?」
妹(仮)がむにゃむにゃと目覚めた。
とてもアンドロイドとは思えないリアルな目覚め方。
「ウサ!とりあえずどこうか!」
「どく?なんで?」
「だって起きるから」
「おにーちゃんって、ふとーこーでしょ?時間とか心配する必要ないじゃん」
「ぐっ!」
ウサのやつ、痛いところつきやがる。
でもそれとこれとは話が違う!
「まだおにーちゃんとこうしてる~」
ウサは俺の胸に顔をスリスリすりつけてくる。
俺はどうしたもんかと思いあぐねていると......
「おいウサ。もう起きろ」
救世主のようにぬっと現れたトラエがウサの首根っこをグッと掴んで引き離してくれた。
「なにするのトラエおねーちゃん!」
「フミヒロが困っているだろう。もうワタシたちは部屋から出るぞ」
そう言ってトラエは俺に一瞥すると、そのままずりずりとウサを引きずって部屋から出ていった。
「ちょっとぉ!おねーちゃんまってぇぇぇ!」
部屋の外からは遠のいていくウサの声が響いた。
俺はほっと一安心すると、
「マジでトラエがいてくれて助かった......」
心の底から切実につぶやいた。
翌日......。
放課後の時間になると、ピンポーンと家のチャイムが鳴った。
「こんにちは!井藤くん」
伊野上さんがやってきた。
今日は彼女と勉強会。
「そっか~ネーコさんはまだ帰ってきてないんだね」
伊野上さんは俺の部屋に上がると、座布団に腰をおろしながら言った。
「すぐ戻るとは言ってたんだけどね。すぐがどれぐらいを指すのかもわからないけど」
「そういうことはちゃんと聞いておかないとダメだよ?」
伊野上さんは向かいに座る俺へ注意をするように人差し指を立てた。
「そ、そうだよね」
「そうそう。井藤くんって、わたしにもあんまり質問してくれないし?」
伊野上さんはやや不貞腐れたように口をとがらせた。
「えっ、そ、そうかな」
「そうだよ」
「ええっと、その......」
「女の子は、この人はわたしに興味がないのかなぁ?と思っちゃいますよ?だから気をつけたほうがいいと思います」
急に伊野上さんはお姉さんのように指導してきた。
「あ、はい。気をつけます......」
「よろしい」
「......」
「あはは!冗談だよ!ゴメンね!」
「えっ」
「でもね?気になったことはもう少し聞いてみてもいいと思うよ?相手が嫌がらなければね」
「あ、うん」
「あっ、なんかわたし偉そうだよね。なんかゴメンね」
伊野上さんは申し訳なさそうに苦笑した。
とその時。
「おにーちゃーん??だれきてるのぉ??」
ドアの外からウサの声が届いた。
彼女の子供らしい声は高くて実によく通る。
その声と言葉を聞き、伊野上さんが「??」となる。
「あれ?井藤くんに妹さんていたっけ?」
間髪入れずに伊野上さんが質問してきた。
当然の疑問だ。
そして俺はウサについての説明の準備をしてなかったことに気づく。
ウサのことはトラエに頼りっぱなしだったから。
(えっ、どう言おう?いっそ俺の妹ってことにしちゃう?でもそれで色んなことの辻褄は合うのか?)
瞬時に様々な考えを駆けめぐらした。
早く答えないとどんどん不自然になる。
俺が最善の解答を見出そうと悪戦苦闘していると......
「フミヒロ、開けるぞ」
という声と共にドアがばんと開かれた。
「......ん、なんか......くるしい......な??」
目覚めると、俺は仰天する。
「う、ウサ!?」
なんと、ウサが掛け布団になっていたのだ。
(これが噂の妹布団!?)
そんな噂あるかぁ!
何をバカなこと考えているんだ!
これだから中学二年生男子は困る!
「ウサ!起きて!そしてどいてくれ!」
ウサのほっぺをペンペンとやさしく叩いた。
「......ん?おにーちゃん?」
妹(仮)がむにゃむにゃと目覚めた。
とてもアンドロイドとは思えないリアルな目覚め方。
「ウサ!とりあえずどこうか!」
「どく?なんで?」
「だって起きるから」
「おにーちゃんって、ふとーこーでしょ?時間とか心配する必要ないじゃん」
「ぐっ!」
ウサのやつ、痛いところつきやがる。
でもそれとこれとは話が違う!
「まだおにーちゃんとこうしてる~」
ウサは俺の胸に顔をスリスリすりつけてくる。
俺はどうしたもんかと思いあぐねていると......
「おいウサ。もう起きろ」
救世主のようにぬっと現れたトラエがウサの首根っこをグッと掴んで引き離してくれた。
「なにするのトラエおねーちゃん!」
「フミヒロが困っているだろう。もうワタシたちは部屋から出るぞ」
そう言ってトラエは俺に一瞥すると、そのままずりずりとウサを引きずって部屋から出ていった。
「ちょっとぉ!おねーちゃんまってぇぇぇ!」
部屋の外からは遠のいていくウサの声が響いた。
俺はほっと一安心すると、
「マジでトラエがいてくれて助かった......」
心の底から切実につぶやいた。
翌日......。
放課後の時間になると、ピンポーンと家のチャイムが鳴った。
「こんにちは!井藤くん」
伊野上さんがやってきた。
今日は彼女と勉強会。
「そっか~ネーコさんはまだ帰ってきてないんだね」
伊野上さんは俺の部屋に上がると、座布団に腰をおろしながら言った。
「すぐ戻るとは言ってたんだけどね。すぐがどれぐらいを指すのかもわからないけど」
「そういうことはちゃんと聞いておかないとダメだよ?」
伊野上さんは向かいに座る俺へ注意をするように人差し指を立てた。
「そ、そうだよね」
「そうそう。井藤くんって、わたしにもあんまり質問してくれないし?」
伊野上さんはやや不貞腐れたように口をとがらせた。
「えっ、そ、そうかな」
「そうだよ」
「ええっと、その......」
「女の子は、この人はわたしに興味がないのかなぁ?と思っちゃいますよ?だから気をつけたほうがいいと思います」
急に伊野上さんはお姉さんのように指導してきた。
「あ、はい。気をつけます......」
「よろしい」
「......」
「あはは!冗談だよ!ゴメンね!」
「えっ」
「でもね?気になったことはもう少し聞いてみてもいいと思うよ?相手が嫌がらなければね」
「あ、うん」
「あっ、なんかわたし偉そうだよね。なんかゴメンね」
伊野上さんは申し訳なさそうに苦笑した。
とその時。
「おにーちゃーん??だれきてるのぉ??」
ドアの外からウサの声が届いた。
彼女の子供らしい声は高くて実によく通る。
その声と言葉を聞き、伊野上さんが「??」となる。
「あれ?井藤くんに妹さんていたっけ?」
間髪入れずに伊野上さんが質問してきた。
当然の疑問だ。
そして俺はウサについての説明の準備をしてなかったことに気づく。
ウサのことはトラエに頼りっぱなしだったから。
(えっ、どう言おう?いっそ俺の妹ってことにしちゃう?でもそれで色んなことの辻褄は合うのか?)
瞬時に様々な考えを駆けめぐらした。
早く答えないとどんどん不自然になる。
俺が最善の解答を見出そうと悪戦苦闘していると......
「フミヒロ、開けるぞ」
という声と共にドアがばんと開かれた。
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