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ep42 本格始動
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改良版メラパッチンを訪問配布してから一週間後の午前中。
大成は布袋を積んだリアカーを引いて一軒目の家を訪れていた。
「あら、待ってたわよ」
ドアを開けるなり中年主婦は待ちわびていたように大成を迎え入れた。
「ついつい勢いよく使い過ぎちゃってね。今朝ちょうど使いきっちゃったところなんだよ」
穏やかに微笑みながら話を聞いていた大成は、手に持った中年主婦に布袋を見せた。
「本日は新しい〔メラパッチン〕をお持ちしました」
中年主婦の目が輝いた。
ところが、次の大成の言葉を聞くと、その目は違ったものになる。
「今回は試供品ではございません。ですので有料の物となります」
「タダじゃないのかい?」
「はい」
「そ、そうなのかい。いや、そりゃそうだよねぇ......」
残念そうにしながらも、中年主婦も頷いて理解する。
よくよく考えれば当たり前のことだった。
魔導具を無料で貰い続けられるわけがない。
「もちろん、買う買わないはご自由にお決めください」
「で、いくらなんだい?」
中年主婦の方から値段を訊ねた。
このとき大成は、これはさっそくイケるかも、と心の中で呟いた。
少なくともこの人には購買意欲がある。
「はい。こちらですが......」
大成が値段を伝えると、中年主婦は「うーん」と悩み始めた。
どうやら実に悩ましい値段だったらしい。
しかしこれは大成の思惑通りだった。
一体どういうことなのか?
以前、大成は〔メラパッチン〕の価格設定のために町の中心街で市場調査を行っていた。
何がどれぐらいの値段で売られどんな人に買われているのか、把握するためだ。
さらに大成が参考にした情報はもうひとつある。
元の世界でのガス代だ。
(台所使用=カズコンロ使用分のみでどれぐらいになるのか、あくまで概算ではあるが)
それを今いる異世界の物価や基準で換算して、メラパッチンの価格設定の材料にした。
......以上、これらの事から〔メラパッチン〕の販売価格を決定した結果、何とも言えない絶妙な値段になっていたのである。
大成のビジネスセンスはもちろんのこと、メラパッチンが原価ゼロだったからこそできた芸当かもしれない。
「ぜんぜん買えない値段じゃないんだけどねぇ」
中年主婦は真剣に葛藤している。
「便利だし、魔導具にしては充分安いんだろうけど......火打ち石もあるわけだからねぇ」
ここで大成は、狙いどおりに「あっ」と思い出して見せる。
一芝居うっていたのだ。
「実は奥様にまだお伝えしていないことがあります」
「え、なんだい?」
「今日、新しくお持ちしたメラパッチンは、使用回数が百六十回となっております」
「ひゃ、ひゃくろくじゅっかい!?」
ぶったまげる中年主婦。
「ほ、本当に、百六十回、使えるのかい??」
「お使いいただいた試供品の四倍になります。一日五回ずつ使っても一ヶ月もちます」
もはや中年主婦の答えは決まっていた。
一瞬、唖然としてから我に返り、彼女はハッキリと言った。
「それなら買うよ。買わせてくれ」
「ありがとうございます!」
大成は布袋を積んだリアカーを引いて一軒目の家を訪れていた。
「あら、待ってたわよ」
ドアを開けるなり中年主婦は待ちわびていたように大成を迎え入れた。
「ついつい勢いよく使い過ぎちゃってね。今朝ちょうど使いきっちゃったところなんだよ」
穏やかに微笑みながら話を聞いていた大成は、手に持った中年主婦に布袋を見せた。
「本日は新しい〔メラパッチン〕をお持ちしました」
中年主婦の目が輝いた。
ところが、次の大成の言葉を聞くと、その目は違ったものになる。
「今回は試供品ではございません。ですので有料の物となります」
「タダじゃないのかい?」
「はい」
「そ、そうなのかい。いや、そりゃそうだよねぇ......」
残念そうにしながらも、中年主婦も頷いて理解する。
よくよく考えれば当たり前のことだった。
魔導具を無料で貰い続けられるわけがない。
「もちろん、買う買わないはご自由にお決めください」
「で、いくらなんだい?」
中年主婦の方から値段を訊ねた。
このとき大成は、これはさっそくイケるかも、と心の中で呟いた。
少なくともこの人には購買意欲がある。
「はい。こちらですが......」
大成が値段を伝えると、中年主婦は「うーん」と悩み始めた。
どうやら実に悩ましい値段だったらしい。
しかしこれは大成の思惑通りだった。
一体どういうことなのか?
以前、大成は〔メラパッチン〕の価格設定のために町の中心街で市場調査を行っていた。
何がどれぐらいの値段で売られどんな人に買われているのか、把握するためだ。
さらに大成が参考にした情報はもうひとつある。
元の世界でのガス代だ。
(台所使用=カズコンロ使用分のみでどれぐらいになるのか、あくまで概算ではあるが)
それを今いる異世界の物価や基準で換算して、メラパッチンの価格設定の材料にした。
......以上、これらの事から〔メラパッチン〕の販売価格を決定した結果、何とも言えない絶妙な値段になっていたのである。
大成のビジネスセンスはもちろんのこと、メラパッチンが原価ゼロだったからこそできた芸当かもしれない。
「ぜんぜん買えない値段じゃないんだけどねぇ」
中年主婦は真剣に葛藤している。
「便利だし、魔導具にしては充分安いんだろうけど......火打ち石もあるわけだからねぇ」
ここで大成は、狙いどおりに「あっ」と思い出して見せる。
一芝居うっていたのだ。
「実は奥様にまだお伝えしていないことがあります」
「え、なんだい?」
「今日、新しくお持ちしたメラパッチンは、使用回数が百六十回となっております」
「ひゃ、ひゃくろくじゅっかい!?」
ぶったまげる中年主婦。
「ほ、本当に、百六十回、使えるのかい??」
「お使いいただいた試供品の四倍になります。一日五回ずつ使っても一ヶ月もちます」
もはや中年主婦の答えは決まっていた。
一瞬、唖然としてから我に返り、彼女はハッキリと言った。
「それなら買うよ。買わせてくれ」
「ありがとうございます!」
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