異世界に行った俺が、TUEEEするまでの物語

雨音友樹

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南端部編

第四話 色んな意味で勘弁してくれ

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「チェックメイトだ。」
 そう言った俺は、武器をしまう消す
「え?とどめ刺さないの?」
 イサネが不思議そうに訊いてくる。
「だって、俺たちの目的はエレメントを手に入れることだろ。だったらわざわざ殺さなくて良いんじゃないか。」
「……」

 確かにこの世界に災いをもたらしているのは魔王率いる魔族だろう。
 ただ、俺は殺さなかった。いや、。なにかこいつには、特別な「何か」を感じた。
 
 俺たちは、八崖神剣豪のラビスを置いて、そそくさと退散する。
 不満顔のイサネがこっちを見てくるが、気付かないふりを決め込む。
 イサネも諦めたのか、見るのをやめた。

 外はすっかり日が落ちて、空は静かな闇に包まれている。都会の喧騒に慣れた耳には心地よかった。
「ところで、これは何処に向かっているんだ?」
 あの後、俺たちはずっと歩き続けていた。
「今からアルガ街に行くわ。」
「アルガ街?」
「うん。アルガ街は、アズバリア最南端の街にして四番目に大きい街よ。」
「へぇ。じゃあ今日はここの宿をとるのか。」
「その予定。」

 なるほどな。
 徐々に町並みが見えてくる。もう夜10時をまわっているだろうに、街には活気があった。
 よくある西洋のレンガ造りの家が沢山立ち並び、夜でも分かるくらい、全体的に暖色で統一してあった。

「それじゃあ宿屋に行こ……」
 イサネがそう言いかけた時だった。
「あぁ?おめぇあのときのガキかぁ~!」
 そこには―――……がいた。
 そう。俺がここに来て初めて戦った相手である。

「うーわ、お前あのときの……」
「そーだ。俺だぁ。今日はただじゃすまねぇ。うちのメンバーがいるからなぁー!」
 そう言うと、バキリア(←略した)は声を張り上げる。
「殺っちゃってくだせぇ、親分!そして、かかれ、お前ら!」
 それと同時に、大量のバキリア軍団が現れる。
 一回り体格が大きいのが親分だろう。

「この人たち、千春が倒した……」
「そうだよ。どうやら恨みを買ってしまった。まあ、倒したというか、逃げられたというか……」
 どうしたものか。
 まあ、やるしかない。
 いつも通り、バーンフィジックに「リンク」する。
 ガントレット装着。
 相手が押し寄せてくる。
 俺は一体一体殴っていく。
 しかし、敵は増える一方。
 
「これは数で圧されるな……」
 そう思った俺は、バーンからスパークに変える。
「はぁ!」
 スピード型となった俺は、敵を蹴散らす。
 相手も負けじと襲ってくる。
「やるな。俺の魔法を、クラえ。」
 一際渋い声を発したのが親分だ。
 鋭く、頑丈な刃先が一瞬で飛んできた。
「うわっ!何だ!?速い……」
 避けるので手一杯である。
 俺はフィジックをソードに変える。
 刃先を刃先でガードしながら、攻撃のチャンスを探す。
「まずいな。攻撃ができない。」
 
「こっちもヤバイかも……」
 イサネはというと、まだ大量にいるバリリアが押し寄せ、苦戦していた。
 次の瞬間、イサネの方に気を取られていた俺は、剣を弾かれる。
「うわっ!しくじった……」
 その場で大きくバランスを崩す。
 隙を逃さす、親分が思いっきり殴る。
 しびれる痛みが走った。
 意識が遠退いていく。

 エレメンタリンクは、攻撃は得意だが、防御はめっぽう弱い。
 イサネも圧されて地に膝をついている。
「いい加減、死ねぇー!」
 俺は死を覚悟する。 

 その時―――
 唐突に闇が出現する。
 夜なのにはっきりとわかった。
 そこだけが、
 そこに現れたのは――長い刀を持った女性だった。
 サラサラの長い髪は黒に近い紫色、切れ長の目、形の整った鼻、潤いに満ちた紅い口、もっちりとした白すぎる肌。はっと息を飲むような美人である。
 身長は160センチ位。華奢な体型。
 感情を一切表に出さないその表情は、恐怖すら感じさせる。 

「だ、誰……だよ?」
 言わずにはいられない。
 そこに現れた「異質」な人物に息を飲む。
「私か?私はレスカ・エンド。」
「レスカ・エンド……。」
「下がっていろ。」
 言うと、レスカはバリリアの方を向く。
「終わりだ。」
 次の瞬間、レスカの体が幻影を残すほど速く動き、影分身のごとく、余多の敵を一瞬にして切り刻んでいった。
 レスカが動きを止めると、そこにはもう、なにもなかった。
 ただ、何事もなかったかのように、夜風が騒いでいた。
 
 そこで、驚愕の事実が判明する。
「刀を……抜いていない……?」
 そう、鞘に納めた状態で戦っていたのだ。
 現実離れした異質な光景に、ただただ、立ち尽くすばかりだった。
 冷たい夜風が、ヒートアップした脳をいくらか冷やしてくれた。
 レスカの無感情な視線が、余計に恐怖だった。

「貴女は誰……」
 遅れてイサネが言う。
「私はレスカ・エンド。地球という星を知っているか?はそこから来た。」
「え?地球!?」
「知っているのか?いや、違うな……お前も地球人か。」
「うん、まあ、そうだけど……」
「そうか……ついてこい。」
 そう言うが早いが、レスカはすでに歩き始めた。
「え、ちょ、まっ……」
 俺とイサネは慌てて追いかけた。

 さっきより一段と更けたに、俺たちは消えていった。
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