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ステラー

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村上ミライと橋本達也が駅前を歩いていると広場に群衆ができており、歓声がした。
次いで広場の方からこっちに飛んでくる白い鳥が見えた。
「なんだろうな」
「なんでもいいよ、はやく帰ろうぜ」
すると、近くの着ぐるみをきた女性に呼び止められた。
「あの超能力者、ウォーロックですよ!あなた方ラッキーですね!今回はなんと...」
着ぐるみの女性は、手をどかして帰ろうとする村上を引っ張って群衆の中に突っ込んだ。
橋本もやれやれとついてくる。
群衆の視線の先を見ると、4、50代のスーツ姿の男性がショーをやっていた。
「どうだみたか!俺は超能力者だ!!」
マジックショーか。くだらない。
村上は外へ戻ろうとしたが、隣にたっていた男の子に呼び止められた。
「帰っちゃうの?あの人、超能力者だよ?めったに見られないって」
「そりゃすげーな」
「なにいってんの?ただでみれるのよ?みてきなさい!!」
次は隣のおばさんだった。
周りを見ると、誰もが前の"超能力者"に見いっていた。
"超能力者"は内ポケットからトランプを取り出した。
「ペテン師みててそんなに楽しいかよ...」
すると、隣から突然怒鳴り声が聞こえた。
「あんた!失礼なこと言わないの!」
だいぶ年配の女性だった。
「なんです?」
"超能力者"がトランプをきる手の動きをやめて、こちらを向いた。
女性「この方がペテン師だとおっしゃるの」
「まあ、まあ」
"超能力者"は村上の方をみると、ゆっくりこう言った。
「仕方ないですよ。
私も子供の頃は信じてませんでしたから。
超能力だなんてマンガの話だと。」
村上は下を向く。
「しかし、訓練することで私は最強の力を手に入れた。それが...」
"超能力者"は群衆を見回した。
「ウォーロック!!」
群衆が口を揃えた。
橋本は村上に向かって小声で言う。
「完全に洗脳されてるな」
「ウォーロックとは、戦中世界的に表れたと言われる、魔法使いのことです。
スーツをきて、紳士的な風貌をしていたとされます。」
目の前の"超能力者"ウォーロックは、トランプのシャッフルを再開して続ける。
「彼らは超能力者でした。魔法を使い、ピストルや戦車の弾をはじいたり、敵の基地を燃やした。そして周りから恐れられ...」
「もういい。その能力をみせてくれよ」
「わかりました。みせましょう。」
ウォーロックはシャッフルしたトランプを裏のまま最前列にいた5人の観衆に配ると、説明した。
「では、トランプを受け取った方は自分のカードを確認し、右手でトランプを持って裏にしたまま手前に腕を伸ばしてください」
5人は言う通りにした。
ウォーロックはそして続けた。
「では、いまからみなさんのカードを当てたいと思います。」
ウォーロックは時計を確認してから一人目の方を向いた。
「バレバレだよ」
広場が静かになったところで、村上は呟いた。
「なにがです?」
ウォーロックが余裕のある表情でこちらを見た。
「選ばれた5人の足元にはちょうど黒いタイルが敷いてある。そこには監視カメラが仕込んであり、カードが何か見ることができる。
そしてそれを手首に巻き付けてあるアップルウォッチを通じて見るんだ。
そしたら完璧に当てられる。」
村上は冷静に、早口で説明した。
「なんだって?」
ウォーロックは苦笑いをしている。余裕がなくなったのか。
「ついでにいうと、このショーが終わったあとこいつは仕込みタイルを回収し、タイルをもとに戻したあと、そこの路地でケムリダマを使って消えるように逃げる予定だったんだ」
すると、周囲から叫び声が次々と聞こえた。
「ほんとだ!カメラかわからないが、小さいガラスが見えるぞ」
「カメラあったー」
「騙したのか!!」
そして、気づけば広場はうるさくなっていた。
「静かに静かに静かに!!」
しかし、広場はうるさいままだ。
「お前よくも...」
「それはな、マジックっていうんだ。
あとな、マジックはもっとスマートにやるもんだ」
村上はウォーロックに背を向けて帰ろうとしたが、ウォーロックに手を捕まれた。
「どこでこれを聞いたか知らんが、許さねえぞ。」
村上は冷静に言った。
「結構だ」
「さてと、お前の友達はどこかな?」
村上は言われて橋本を探す。
村上は急にウォーロックに向き直ると怒鳴った。
「おい!どこへやった!!」
「ほら、そこを見てみろよ」
ウォーロックに言われた方向をみると、橋本が倒れていた。
村上は急いで駆け寄った。
「おい、おい、橋本!!」
村上は周囲に叫んだ。
「誰かー!助けてくれ!!」
急いで救急車を呼ぼうとスマホを出す。
後ろを見ると、ウォーロックが車に乗り込むところだった。
ダメだ。なぜだ。
なぜ、能力を使うとこうなる!!??
だれかが通報したらしい。
段々とパトカーの音が近づいてきた。





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