上 下
24 / 25

10月14日

しおりを挟む
 学園祭も終わって、平凡な毎日が戻ってきた。
 こうして交換日記を書くのは、もはや癖のようになっている。
 例えそれが、返事の来ない手紙を書き続けるようなものだと、分かっていても。
 ねえ鷹華。
 アンタは、きっと人を幸せにするために生まれてきたのよ。
 人の命には限りがあるけれど、その行動の結果は後々にまで残っていく。
 他者を慈しむことを良しとしたアンタは、その行いを伝播させることに成功した。私が、その一人だ。
 良き行いは良き結果を生む。鷹華が生みだした「正の流れ」は、私を救ってくれたわ。
 ありがとう。何度感謝してもしきれないくらいよ。
 恥ずかしくって、最期まで面と向かって言うことは無かったけれど……。
 さて、この日記だけど。いつまで続けようかしら。
 いつかまた鷹華が書いてくれるんじゃないかって、私ったらわざわざ隔日で書いちゃってるし。
 あら、もう次で最後のページか。新しいノート、買ってこようかしら。次は鍵付きのやつ……。
しおりを挟む

処理中です...