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ハローワールド9
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僕が困っていると、ドアが4回ノックされた。
「どうぞ」
アラステアさんが入室を許可すると、お盆を持ったメレディスさんが入ってきた。
うわさをすれば影がさす、という事だろう。
「お茶はいかがですか?」
「ありがとうございます。いただきますわ」
アラステアさんがメレディスさんからお盆を受け取って、ティーカップを配っていく。
その間に、なぜかローレンスさんはメレディスさんに席を譲り、僕の隣に座った。
かっちりとした制服に身をつつんだアラステアさんとローレンスさん。
その2人に挟まれた、どてら代わりのモコモコカーディガンにパジャマ姿の僕。
どう見ても僕は場違いだ。
それを自覚すると、どうにも居心地が悪くなってきた。
メレディスさんが口をつけた自分のティーカップをオスニエル皇子に与えているのを見ながら、どうにか離席の理由を探す。
出された紅茶を飲まないわけにはいかないので、紅茶で喉を潤しながら言い訳を考える。
う~む。
不死の世界のタマネギさんみたいに唸ってみる。
結局体調が崩れたと言うのが一番だろう。
「で?」
おもむろにこちらを見るオスニエル皇子に注目が集まる。
「<よーせいのイタズラ>ではないというのは、どういうことだ?」
「<妖精の悪戯>ではない?キミがか?」
メレディスさんまでこちらを睨んできた。
あーあ。
ややこしいことになった。
「僕は前世の記憶が無いので、そう言ったまでです」
「しかしキミはおかしな年号を口にしていたじゃないか」
「そういう記憶に関しては存在していますが、個人的な記憶に関しては一切有していないんです」
「フィーちゃん、そういう記憶とはどういうことかしら?」
「水は水素と酸素でできているとか、温度の単位は三種類あり、世界基準の単位はケルビンですとか、一般的な知識はありますよ」
「こちらでは温度の単位は一種類だな」
「そうなんですか?」
「ど、だな!」
「度が温度を表すのですね」
ふーん。
表記はどうなんだろう?
「数字の右上に小さな丸を記載するのが温度表記の方法だ」
「あまり変わりませんね。数字と丸のさらに右側に記号を書いて表記していました。ただ、ケルビン温度は数字にKという文字で表記していました。それがケルビン温度で計測した証でした」
「複数の計測法が存在すると、表記の方法を変える必要があるのか。話を戻そう。貴方個人の記憶が無いことと、<妖精の悪戯>ではないという主張の間には、どのような関係性がある?」
「複数の女の子に粉をかけた人物も、ドラゴンの巣を襲撃した人物も、我の強さがそんな大それた事をしてしまった原因はありませんか?つまり、個人的な記憶の無い僕には、そのような強い我はありません。ですから僕は<妖精の悪戯>ではないのです」
「キミが言いたいのは、<妖精の悪戯>は個人的な意思により、前世ではできなかった大それた事をこの世界ではやってもいいと勘違いしてしまった頭のおかしな人物、ということか?」
「僕にはそのように思われます」
「ん?フィーちゃん、どういうことかしら?」
「自分のやりたい事をやりたいようにやってしまった人が、<妖精の悪戯>と呼ばれているようです。こちらの世界に生まれた事によって、倫理観が赤子並に低くなってしまったが故の事故とも言えるかもしれません」
「それで?お前が<妖精の悪戯>ではない理由は?」
シャベッタァァア!!
隣のローレンスさんが会話に入ってきて、思わずのけ反ってしまった。
ちょっと悲しそうにしてる。
ごめんローレンスさん。
「我が無いので、僕には特にやりたい事がありません。ですから僕は<妖精の悪戯>ではありません」
「《本当にやりたい事が無いのか?》」
ローレンスさんからの圧力がすごい。
なぜか知らないが、ちゃんと答えなくちゃいけない気がしてしまう。
「眠たいので、ベッドに戻りたいです」
ちょっと待った。
確かにお腹が満たされて眠いけど、それはここで言う事じゃない。
なんで言っちゃったんだろう?
「《今したい事ではなく、将来的にしたい事は無いのか?》」
「自分の状況を把握するために、この世界の事を学びたいとは思っています」
「《世界征服をしたり、宝飾品を買い込み着飾りたいとか、そんな野望は無いのか?》」
「そのような面倒くさい事をするメリットはどこにあるのでしょうか?為政者という非常に面倒極まりない職業は、まずもって避けたい職業なんですが、どうして僕に世界征服させたいのでしょうか?」
もしかして貴方がやりたい事言ってます?と言外に聞いてしまった。
本心だけど言い方!
僕はもっと柔らかい言い方ができるよね?
どうしてこんなぶっきらぼうな言い方しちゃったんだ?
向かいでメレディスさんが頭を抱えているし、隣でアラステアさんが固唾をのんで見守っている。
見守ってないで助けてください。
退屈すぎてムスッとしてるオスニエル皇子、ごめんね。
「《ウロボロスを倒したいとか、不死鳥を食べたいだとか、世界樹を切り倒したい「そんな煩わしいこと、貴方がご自分でなさったらいかがですか?」
あまりにもしつこいローレンスさんにイラッとして、厭味な言い方をしてしまった。
『不死鳥を食べたい』でちょっとぐらっときて、イラッとしたわけじゃない。
唐揚げが恋しいと思ってしまったわけじゃないし。
ましてや食い意地が張ってるわけじゃない。
…はず。
でも、どこかで聞いたことあるんだよな。
単身世界樹を見に行って、ニーズヘッグにちょっかい出したら追いかけ回された話。
あと世界中を旅して珍しい食材を集める、料理好きドジっ子ドラゴンの話とか。
「どうぞ」
アラステアさんが入室を許可すると、お盆を持ったメレディスさんが入ってきた。
うわさをすれば影がさす、という事だろう。
「お茶はいかがですか?」
「ありがとうございます。いただきますわ」
アラステアさんがメレディスさんからお盆を受け取って、ティーカップを配っていく。
その間に、なぜかローレンスさんはメレディスさんに席を譲り、僕の隣に座った。
かっちりとした制服に身をつつんだアラステアさんとローレンスさん。
その2人に挟まれた、どてら代わりのモコモコカーディガンにパジャマ姿の僕。
どう見ても僕は場違いだ。
それを自覚すると、どうにも居心地が悪くなってきた。
メレディスさんが口をつけた自分のティーカップをオスニエル皇子に与えているのを見ながら、どうにか離席の理由を探す。
出された紅茶を飲まないわけにはいかないので、紅茶で喉を潤しながら言い訳を考える。
う~む。
不死の世界のタマネギさんみたいに唸ってみる。
結局体調が崩れたと言うのが一番だろう。
「で?」
おもむろにこちらを見るオスニエル皇子に注目が集まる。
「<よーせいのイタズラ>ではないというのは、どういうことだ?」
「<妖精の悪戯>ではない?キミがか?」
メレディスさんまでこちらを睨んできた。
あーあ。
ややこしいことになった。
「僕は前世の記憶が無いので、そう言ったまでです」
「しかしキミはおかしな年号を口にしていたじゃないか」
「そういう記憶に関しては存在していますが、個人的な記憶に関しては一切有していないんです」
「フィーちゃん、そういう記憶とはどういうことかしら?」
「水は水素と酸素でできているとか、温度の単位は三種類あり、世界基準の単位はケルビンですとか、一般的な知識はありますよ」
「こちらでは温度の単位は一種類だな」
「そうなんですか?」
「ど、だな!」
「度が温度を表すのですね」
ふーん。
表記はどうなんだろう?
「数字の右上に小さな丸を記載するのが温度表記の方法だ」
「あまり変わりませんね。数字と丸のさらに右側に記号を書いて表記していました。ただ、ケルビン温度は数字にKという文字で表記していました。それがケルビン温度で計測した証でした」
「複数の計測法が存在すると、表記の方法を変える必要があるのか。話を戻そう。貴方個人の記憶が無いことと、<妖精の悪戯>ではないという主張の間には、どのような関係性がある?」
「複数の女の子に粉をかけた人物も、ドラゴンの巣を襲撃した人物も、我の強さがそんな大それた事をしてしまった原因はありませんか?つまり、個人的な記憶の無い僕には、そのような強い我はありません。ですから僕は<妖精の悪戯>ではないのです」
「キミが言いたいのは、<妖精の悪戯>は個人的な意思により、前世ではできなかった大それた事をこの世界ではやってもいいと勘違いしてしまった頭のおかしな人物、ということか?」
「僕にはそのように思われます」
「ん?フィーちゃん、どういうことかしら?」
「自分のやりたい事をやりたいようにやってしまった人が、<妖精の悪戯>と呼ばれているようです。こちらの世界に生まれた事によって、倫理観が赤子並に低くなってしまったが故の事故とも言えるかもしれません」
「それで?お前が<妖精の悪戯>ではない理由は?」
シャベッタァァア!!
隣のローレンスさんが会話に入ってきて、思わずのけ反ってしまった。
ちょっと悲しそうにしてる。
ごめんローレンスさん。
「我が無いので、僕には特にやりたい事がありません。ですから僕は<妖精の悪戯>ではありません」
「《本当にやりたい事が無いのか?》」
ローレンスさんからの圧力がすごい。
なぜか知らないが、ちゃんと答えなくちゃいけない気がしてしまう。
「眠たいので、ベッドに戻りたいです」
ちょっと待った。
確かにお腹が満たされて眠いけど、それはここで言う事じゃない。
なんで言っちゃったんだろう?
「《今したい事ではなく、将来的にしたい事は無いのか?》」
「自分の状況を把握するために、この世界の事を学びたいとは思っています」
「《世界征服をしたり、宝飾品を買い込み着飾りたいとか、そんな野望は無いのか?》」
「そのような面倒くさい事をするメリットはどこにあるのでしょうか?為政者という非常に面倒極まりない職業は、まずもって避けたい職業なんですが、どうして僕に世界征服させたいのでしょうか?」
もしかして貴方がやりたい事言ってます?と言外に聞いてしまった。
本心だけど言い方!
僕はもっと柔らかい言い方ができるよね?
どうしてこんなぶっきらぼうな言い方しちゃったんだ?
向かいでメレディスさんが頭を抱えているし、隣でアラステアさんが固唾をのんで見守っている。
見守ってないで助けてください。
退屈すぎてムスッとしてるオスニエル皇子、ごめんね。
「《ウロボロスを倒したいとか、不死鳥を食べたいだとか、世界樹を切り倒したい「そんな煩わしいこと、貴方がご自分でなさったらいかがですか?」
あまりにもしつこいローレンスさんにイラッとして、厭味な言い方をしてしまった。
『不死鳥を食べたい』でちょっとぐらっときて、イラッとしたわけじゃない。
唐揚げが恋しいと思ってしまったわけじゃないし。
ましてや食い意地が張ってるわけじゃない。
…はず。
でも、どこかで聞いたことあるんだよな。
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