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【甘い夢】

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 昔々、中国のある古寺で早朝、
そこの小僧さんが縁側で泣いていました。
気に留めた和尚さんが話し掛けます。

「何を泣いておる?」

「夢を、見ました」

「悲しい夢だったのか?」

「いいえ、【甘い夢】でした」

「では何故、涙を流す?」

「その夢は、です」

 まぁある種のラノベ作家を例に出すまでもなく、
『現実』が見えていないという点で
この小僧さん以下という事になる。
 いい齢こいた大人が一体何ヤってんだか、
と辟易するものだがだから作中の言葉が
幼稚で心に刺さらず全体がつまらないのであろう。
 前も言ったが『想像』と【妄想】は違う。
 使う能力は「嘘」であっても良いが
その使う者の “心” まで「嘘」であっては、
全編【嘘だらけ】という事になり
最早その時点で『作品』の体を成していないであろう。
 傷つくのが嫌なら『恋愛』を描くべきではないし、
『戦い』などもっての他であろう。
 にも関わらず無理を押してソレを描けば
全編【嘘の塊】になるのだから面白いわけがない。
 今まで一度でも「戦った事」があるのか?
 誰かを振り向かせようと懸命に努力した事があるのか?
 何故「戦い」や「恋愛」が描けると想うのだ?
 いい加減その【甘い夢】から覚めるべき時である。
 そんなモンどこにも存在しないのだから。
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