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episode 25
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銃で攻撃しているだけでは勝ち目はないと思い、大声で叫ぶ。
「大介ぇぇっ! 逃げろぉ!」
声に反応して、大介が銃を持ったまま鶴岡さんのいる土手に向かって走り出した。
落ち着きを取り戻したとはいえ、やはり、これだけの化け物を目の前で相手にするとなると、恐怖心も半端ない。
震える手で俺達よりも大きな拳銃を両手で握りしめて固定すると、ピタリと鶴岡さんの震えは止まった。
駆け寄って来る大介の後ろから迫りくるタカシさん。
その大きな体に向かって、銃弾を放った。
タカシさんの肩に命中したまでは良かった。
だが、そこは散々、晴香さんに傷つけられ、肉も神経も剥き出しになっている場所。
いくら痛覚が鈍くとも、これだけモロに神経が出てしまっている部分に、鉛玉がぶち込められれば、焼きゴテを直接ジュウッと皮膚に当てられるよりも痛いだろう。
肉片と血が飛び散った直後、脳天を突き抜けるような痛みで、化け物としての正気すら失ったタカシさんが、全身をつかって何かを振りほどくような仕草で暴れる。
なりふりかまわず、腕を振り回すだけでも、彼の大きさ的に凶器でしかない。
彼から一番近い位置にいたのは大介。
痛みと怒り、そして苛立ちの矛先は大介に向けられた。
「あぶなぁぁい!」
「ウォンウォンッ!」
凶悪な腕が大介へと伸び、その大きな手が彼の身体を握った時、白い稲妻が宙を舞った。
「だいすけぇっ! ボンッ!」
真っ白な槍は真っ黒な大木に突き刺さった。
白く勇敢なボンの勢いに押され、足元がよろめいたタカシさんは、その手に大介を握り、その腕にボンの牙を喰い込ませたまま、すぐ横にある土手の下へと、吸い込まれていった。
ドボンッと。土手の下を流れる川に大きなものが落ちる音が響いた。
「代々木君っ!」
銃を片手に今、三つの影が落ちて行った場所へと駆け寄り下を覗き見る鶴岡さんの元へ駆け寄ると、たった数秒前の出来事だというのに、そこには大介もボンも。
そして、あの大きな体のタカシさんの姿すら無かった。
「大介ぇぇっ! 逃げろぉ!」
声に反応して、大介が銃を持ったまま鶴岡さんのいる土手に向かって走り出した。
落ち着きを取り戻したとはいえ、やはり、これだけの化け物を目の前で相手にするとなると、恐怖心も半端ない。
震える手で俺達よりも大きな拳銃を両手で握りしめて固定すると、ピタリと鶴岡さんの震えは止まった。
駆け寄って来る大介の後ろから迫りくるタカシさん。
その大きな体に向かって、銃弾を放った。
タカシさんの肩に命中したまでは良かった。
だが、そこは散々、晴香さんに傷つけられ、肉も神経も剥き出しになっている場所。
いくら痛覚が鈍くとも、これだけモロに神経が出てしまっている部分に、鉛玉がぶち込められれば、焼きゴテを直接ジュウッと皮膚に当てられるよりも痛いだろう。
肉片と血が飛び散った直後、脳天を突き抜けるような痛みで、化け物としての正気すら失ったタカシさんが、全身をつかって何かを振りほどくような仕草で暴れる。
なりふりかまわず、腕を振り回すだけでも、彼の大きさ的に凶器でしかない。
彼から一番近い位置にいたのは大介。
痛みと怒り、そして苛立ちの矛先は大介に向けられた。
「あぶなぁぁい!」
「ウォンウォンッ!」
凶悪な腕が大介へと伸び、その大きな手が彼の身体を握った時、白い稲妻が宙を舞った。
「だいすけぇっ! ボンッ!」
真っ白な槍は真っ黒な大木に突き刺さった。
白く勇敢なボンの勢いに押され、足元がよろめいたタカシさんは、その手に大介を握り、その腕にボンの牙を喰い込ませたまま、すぐ横にある土手の下へと、吸い込まれていった。
ドボンッと。土手の下を流れる川に大きなものが落ちる音が響いた。
「代々木君っ!」
銃を片手に今、三つの影が落ちて行った場所へと駆け寄り下を覗き見る鶴岡さんの元へ駆け寄ると、たった数秒前の出来事だというのに、そこには大介もボンも。
そして、あの大きな体のタカシさんの姿すら無かった。
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