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衣類
第九話【防犯対策】
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フンフンフ~ン♪
「ご機嫌ねぇ」
「まあね!」
「私なんて、旦那のワイシャツなんて、いつもクリーニングに出してるわよ~」
「それは、一緒に暮らしてるからでしょう?」
「えー! 違うわよぉ。アイロンがけって面倒臭いじゃない!」
「まぁね。でも、意外と楽しいわよ? 彼の事思いながら、アイロンがけするのって」
「はいはい。オノロケはじまりましたぁ~」
「もぉ~!そんなんじゃないから! それに、男性用の下着やワイシャツ干しておくのって、防犯対策にもなるんだから!」
「あ~。確かに。でも、あんた達、付き合ってどれくらい?」
「ん~……三年かなぁ?」
「それなら、そろそろ、結婚か……せめて同棲とか……」
「でも、彼、忙しいしから。私も焦ってないし」
「彼氏さん、結構、大手企業に勤めてたよね?それに、前、写メ見せて貰ったけど、超イケメンだし……浮気とか心配じゃない?」
「彼に限ってそんな事ないわよ~」
「いやいやいや。分かんないわよ! 大体、彼氏さん、出張やら残業やら、急な仕事やらで、中々、私にも逢わせてくれないし。怪しすぎるのよねぇ」
「……う……さい」
「ねえ。ご両親は知ってるの?会った事あるの?」
「……る……いな……」
「やっぱり! いい年なのに、付き合ってもう三年経つのに、周りに紹介してないなんて、おかしいわよ!」
「……だ……てよ……」
「え?」
「うるさいな! 陽子に何が分かるのよ!」
「え……」
「そんなに、心配しなくても、祐司は私一筋だし! ちゃんとデートだってしてるもん!」
そう言って、彼女は陽子にアルバムを投げつけた。
「ヒッ!」
思わず避けて、そのアルバムを拾う。
「っ!」
そこには、キッチリとアイロンがかかったワイシャツを、両手で広げて映る彼女の姿が……
ページを捲っても捲っても、全てが、ワイシャツと彼女。
真っ白なワイシャツ。
薄いブルーのラインの入ったワイシャツ。
ピンクの綺麗なワイシャツ。
ワイシャツの種類は、彼女の服装に合わせて違えども、色々な観光地や遊園地、そして公園等で撮られたそれらの写真は、かなり異様であった。
そして、それを見ているうちに陽子は思い出した。
3年前。
理想が高過ぎて、現実の男を見ず、ずっと、彼氏も作れないまま、独り暮らしをしていた彼女に
「女の一人暮らしは危ないから。男と一緒にいるようなカモフラージュする為に、男物のワイシャツとか下着とかを干すといいよ」と、いった事を。
そして、その後すぐに「彼氏が出来た」という報告を受けた事を。
よくよく考えてみれば、彼氏だと言って見せられた写真だって、彼女と一緒に写っているものは一枚もなかった。
しかも、どこか隠し撮りしたような不自然さ。
きっと、彼は、彼女の理想の男性。
しかし……それは、妄想に過ぎず……元々、彼女には”彼氏なんて居なかった”のだ。
男がいるように見せかける為の、カモフラージュをしているうちに、彼女はその妄想に憑りつかれてしまった……
そして……彼女の思考が狂ってしまったのでは?
そう、陽子は確信した。
「ねぇ!おかしいよ! これ、ワイシャツだらけじゃない! 男の人なんて一人も写っていないじゃない!」
陽子がそう、叫ぶと、彼女は、「うるさうるさいうるさいうるさい! 黙れ黙れ黙れ黙れ!」
と髪を振り乱して叫ぶと、「出て行けぇぇぇぇぇ!」と、怒鳴り、陽子を部屋から追い出した。
ドンドンドン!
「開けて! ねぇ! おかしいよ!」
ドンドンドン!
陽子は何度も扉を叩き、彼女を心配したが、結局、その後、その扉が開くことは無かった。
数日後
『東京・八王子市で十二日、二年前から行方不明だった20代の男性とみられる遺体が見つかった。行方不明になっていたのは、港区に住む大手金融会社勤務の二十代の男性で、二年前に行方不明となり、家族が捜索願を出していた……』
彼女のアパートの部屋では、ニュースが流れる。
彼女はそのニュースを聞きながら、あのアルバムを見ていた。
その最後のページには、きっちりとアイロンがけされたワイシャツを着た、爽やかな笑顔の男性と優しく笑う彼女がツーショットで写っていた。
「ご機嫌ねぇ」
「まあね!」
「私なんて、旦那のワイシャツなんて、いつもクリーニングに出してるわよ~」
「それは、一緒に暮らしてるからでしょう?」
「えー! 違うわよぉ。アイロンがけって面倒臭いじゃない!」
「まぁね。でも、意外と楽しいわよ? 彼の事思いながら、アイロンがけするのって」
「はいはい。オノロケはじまりましたぁ~」
「もぉ~!そんなんじゃないから! それに、男性用の下着やワイシャツ干しておくのって、防犯対策にもなるんだから!」
「あ~。確かに。でも、あんた達、付き合ってどれくらい?」
「ん~……三年かなぁ?」
「それなら、そろそろ、結婚か……せめて同棲とか……」
「でも、彼、忙しいしから。私も焦ってないし」
「彼氏さん、結構、大手企業に勤めてたよね?それに、前、写メ見せて貰ったけど、超イケメンだし……浮気とか心配じゃない?」
「彼に限ってそんな事ないわよ~」
「いやいやいや。分かんないわよ! 大体、彼氏さん、出張やら残業やら、急な仕事やらで、中々、私にも逢わせてくれないし。怪しすぎるのよねぇ」
「……う……さい」
「ねえ。ご両親は知ってるの?会った事あるの?」
「……る……いな……」
「やっぱり! いい年なのに、付き合ってもう三年経つのに、周りに紹介してないなんて、おかしいわよ!」
「……だ……てよ……」
「え?」
「うるさいな! 陽子に何が分かるのよ!」
「え……」
「そんなに、心配しなくても、祐司は私一筋だし! ちゃんとデートだってしてるもん!」
そう言って、彼女は陽子にアルバムを投げつけた。
「ヒッ!」
思わず避けて、そのアルバムを拾う。
「っ!」
そこには、キッチリとアイロンがかかったワイシャツを、両手で広げて映る彼女の姿が……
ページを捲っても捲っても、全てが、ワイシャツと彼女。
真っ白なワイシャツ。
薄いブルーのラインの入ったワイシャツ。
ピンクの綺麗なワイシャツ。
ワイシャツの種類は、彼女の服装に合わせて違えども、色々な観光地や遊園地、そして公園等で撮られたそれらの写真は、かなり異様であった。
そして、それを見ているうちに陽子は思い出した。
3年前。
理想が高過ぎて、現実の男を見ず、ずっと、彼氏も作れないまま、独り暮らしをしていた彼女に
「女の一人暮らしは危ないから。男と一緒にいるようなカモフラージュする為に、男物のワイシャツとか下着とかを干すといいよ」と、いった事を。
そして、その後すぐに「彼氏が出来た」という報告を受けた事を。
よくよく考えてみれば、彼氏だと言って見せられた写真だって、彼女と一緒に写っているものは一枚もなかった。
しかも、どこか隠し撮りしたような不自然さ。
きっと、彼は、彼女の理想の男性。
しかし……それは、妄想に過ぎず……元々、彼女には”彼氏なんて居なかった”のだ。
男がいるように見せかける為の、カモフラージュをしているうちに、彼女はその妄想に憑りつかれてしまった……
そして……彼女の思考が狂ってしまったのでは?
そう、陽子は確信した。
「ねぇ!おかしいよ! これ、ワイシャツだらけじゃない! 男の人なんて一人も写っていないじゃない!」
陽子がそう、叫ぶと、彼女は、「うるさうるさいうるさいうるさい! 黙れ黙れ黙れ黙れ!」
と髪を振り乱して叫ぶと、「出て行けぇぇぇぇぇ!」と、怒鳴り、陽子を部屋から追い出した。
ドンドンドン!
「開けて! ねぇ! おかしいよ!」
ドンドンドン!
陽子は何度も扉を叩き、彼女を心配したが、結局、その後、その扉が開くことは無かった。
数日後
『東京・八王子市で十二日、二年前から行方不明だった20代の男性とみられる遺体が見つかった。行方不明になっていたのは、港区に住む大手金融会社勤務の二十代の男性で、二年前に行方不明となり、家族が捜索願を出していた……』
彼女のアパートの部屋では、ニュースが流れる。
彼女はそのニュースを聞きながら、あのアルバムを見ていた。
その最後のページには、きっちりとアイロンがけされたワイシャツを着た、爽やかな笑顔の男性と優しく笑う彼女がツーショットで写っていた。
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