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本編
⑨がまん●
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エレベーターのドアが開くと、真っ白な大理石で作られた豪華なエントランスがあり、そこを抜けると亜蘭の家があった。
家の中に案内されると、まるでモデルルームのような白で統一されたお洒落な空間が広がっていた。宮殿にでも飾られているような家具は埃一つなく、どれも鏡のように磨き抜かれていた。
野生の森から捕獲されて、王様のお城に連れてこられたタヌキ。
自分で考えて思わず唸ってしまうほど、その表現がピッタリ合っているように思えた。
堂々と部屋の中心を真っ直ぐになんて歩けなくて、俺は端の方を体を丸めて歩いていた。
「なんでそんなに端っこを歩いているの?」
「いや、なんか、汚したら恐くて……」
「大丈夫だよ。週に二回は掃除が入って綺麗にしてもらえるから」
さすがこんなところに住むお金持ちは違うと、うんうん納得しながら、俺は辺りをキョロキョロと見回した。
「あの、ご家族は?」
「ああ、父も母も、海外の仕事が多くて、別に家を持っているから、ここへはほとんど帰って来ない。一年顔を見ない時もあるし」
「ええ!? じゃ……じゃあ、何もかも一人で……?」
「うん、中学生の頃からだいたいそんな感じだから、もう慣れちゃった。それに大学生にでもなれば一人暮らしの子は多いでしょう」
いまだに母親に朝起こしてもらっている俺には、もう何も言うことができない。
ただ、中学生からというのは、いくらなんでも早い気がした。
「それは……確かに周りはもう一人か学生寮が多いけど……。それでも、中学からってのは驚きだよ。大変だったんだね」
「大変? そうかな、掃除はやらなくていいし。食事は頼めば好きなものが来るし……そこまで、不便はなかったけど」
亜蘭は顎に手を当てて、真面目な顔で考え始めてしまった。身の回りの世話についてはご両親が手配して不自由はなかったのだろう。
それでも……
亜蘭は眠れないことで悩んでいた。
ということは、少なくともこの完璧に描かれたかのように見える生活でも、満たされないものがあったはずだ。
感情のない人形のように話している亜蘭を見て、俺の方が不安になってきてしまった。
余計なことかもとは思ったが、もし不眠の原因が家族との関係なら、少し触れてみる必要があるのではないかと考えた。
「寂しくはなかった?」
「寂しい?」
「ええと……、一人で気楽かもしれないけど。例えば、今日歩いた時、信号が全部青だったみたいな、ちょっとした出来事を話して、よかったねって返してもらうのとか、些細なやり取りに思えるけど、そういうのがないのは……俺は寂しいかなって……」
あくまで俺の個人的な意見なので、鼻で笑われても仕方がないと思ったが、亜蘭は眉間に皺を寄せてもっと考え込んでしまった。
難関大学の試験ではないのだから、そんなに考え込まなくてもいいのにと思っていたら、亜蘭は何か気がついたように、途中で目を開いて俺のことを見てきた。
「確かに、寂しいかも」
「だろっ、やっぱり家族がいて……」
「学が、学と話せなくなったらって想像したら、嫌な感じがした。それと同じ気持ちだよね?」
「えっ……」
俺の言葉を遮って、亜蘭が伝えてきたのは、忙しい両親に会えない寂しさではなく、俺とのことだった。
なんと言っていいのか分からなかった。
亜蘭の家族へ向かうべき愛情が、行き場をなくして、近くにいる俺に降ってきたような感じだ。
かと言って、俺が寂しさに種類を付けてそれは違うとは言えなかった。
どちらも胸に痛みを感じるなら、それを分ける必要などないのかもしれない。
「そうだ……ね、同じ気持ち」
「そうかー、よかった」
亜蘭は目を細めて嬉しそうに笑っていた。
まるで人間の真似事ができて、喜んでいるみたいに……
「学は色んなことを教えてくれるね。学と出会えてよかった」
亜蘭に頭を撫でられた。
俺のボサボサの猫っ毛で遊ぶように優しく撫でられた。
すぐ隣にいるのに、亜蘭はどこか遠くにいるような気がした。
小さな不安を隠すように、俺もと言って頷いた。
午前中は亜蘭の部屋で、課題のレポート作りに時間を費やした。
俺は明確な夢などなくて、ルイやマサに誘われるまま、今の大学に入ったような状態だったので、正直講義は難しくて苦戦していた。
俺と同じ歳のくせに、知識や経験が何倍もある亜蘭は、さすが流れるように解説を入れてくれて、困っていたところは、ほとんど解決してスラスラ書けてしまった。
「ありがとう、俺ひとりだったら、何週間かかったか……」
「少しアドバイスしただけだよ。ちゃんとまとめられたのは学じゃん。よく頑張ったね」
なんて、良いやつ……。
一家に一人欲しいと、溢れる優しさに泣きそうになってしまった。
「それで……、獣化の特訓なんだけど……」
「ああ、そうだったね。どうしよう、何からしたらいいかな?」
頭の中で感動して走り回っていたら、ソファーに座っていたはずの亜蘭が、俺が座っているデスクのすぐ横に来ていて、ビクッとしてしまった。
「まず、こっちに来て。リラックスしないとね」
手を取られてソファーまで連れて来られた。
俺と亜蘭が座っても余るくらいの大きなソファーだ。
そこに二人で腰を下ろしたら、まずはさっきみたいに頭を撫でられた。
「耳が出てしまうのはどんな時?」
「うーーん、まず寝ている時は出ちゃうみたいなんだ。後は、考えごとをして集中している時とか、びっくりした時、ボケーっとした時もあるかも!」
「そうかぁ、けっこうたくさんあるね」
亜蘭はクスクスと困ったような顔で笑った。
亜蘭はユニコーンなのだから、獣化をしたらどうなるのか、自分の話をしながら気になってしまった。
「獣化は性的な誘いだというのは知っているんだったよね」
「うぅ……うん」
「ヒト型に変身できるように進化した獣だけど、それぞれの本能は残っているんだよ。つまり、生殖行為はその最たるもの。本来はそれぞれあった発情期が、ヒト化によって周年繁殖になった。ヒトでいうつまり、セックスを行う時に、獣である部分を解放するというのは、最も興奮する行為なんだ。部分的に獣化したところは弱点、言い換えれば性感帯になるんだ」
亜蘭が真面目な顔で淡々と話してくれたことを聞いて、ポカンとしてしまった。
これがこの世界の常識、そう納得すればいいのだが、明らかに違いすぎて現実とは思えない。
「つまり、衣服を脱いで裸を見せることは、欲情を誘う行為であるから、それと同じなんだよね。普通はみんな勝手に服を脱がないから、勝手にどこでも服を脱いでいたら………って、恥ずかしいどころか、俺、変態じゃん!!」
「裸を見せることよりも刺激的かも。もちろん、子供のうちは感覚が鈍いから何も感じないけどね。夫婦、番になれば愛情表現のひとつになる。外では危険だから、親は子供にしっかり隠すことを教えるんだ」
「どうしよう……、外でぽんぽん出していたら、変態だって思われて……うわぁぁーー!」
母親から口酸っぱく話を聞いていて、なんとなく想像はできていたが、亜蘭から改めて現実を告げられたら恥ずかしくてたまらなくなってしまった。
小学生に笑われるだけの話ではない、下手したら警察に捕まりそうな話になってしまった。
「それで、提案なんだけど。ここは、直接、耳が出てしまうような刺激を与えて、それを我慢するのが一番覚えやすいと思うんだけど、どうかな……?」
「あ、うん。俺はよく分からないから、任せるよ」
「ふふっ、俺に全部任せてくれるの?」
「え……あの……わっっ」
こういう時、俺は頭が回らなくて、誰かに丸投げしてしまうことが多い。
今回もそんな調子で、亜蘭に従っておけば上手くいくだろうと思っていたら、ニコッと妖しげに笑った亜蘭はいきなり俺のTシャツを捲り上げてしまった。
「なんで裸に……」
「刺激を与えるっていったでしょう。獣化は性的な快感と深く関わっている。学みたいに、少しの変化で出てしまわないようにするには、体で覚えないとね」
「だっ、えっ、ちょっ……っっ」
Tシャツを腕の方まで脱がされて、手は後ろに持っていかれてしまった。
俺の貧相な胸があらわになったが、なんと亜蘭は俺の平らな胸に手を這わせて、突起に触れてきたのだ。
「あっっ……何を……」
指の腹で擦られたと思ったら爪で弾かれて、ぎゅっとつままれてしまった。
「あ……ああっ」
「ふっ……、可愛い声が出た。ついでに耳も出ちゃったね」
そう言われたら、頭の上がムズムズして耳が出ている感覚がした。Tシャツが絡まって手が動かせないので確認することはできなかった。
「ほら、特訓だよ。耳をしまって」
「ぁううっっ……まっ……待って、ああっ」
耳をしまう時は意識を頭に集中しなくてはいけない。
それなのに亜蘭は両手を使って、左右の乳首をぐりぐりとこねるように弄ってくるので、全然力が入らない。
「あっ……んっ……はぁはぁ……はっっんんんっ」
そんなところを触られて、こんなに感じてしまうなんて思わなかった。胸の先端がヒリヒリして、何かを求めるように赤く色づいているのが見えて、ドキッとしてしまった。
「あれっ、エッチな色になっちゃった。ごめんね、俺が弄ったからだね」
「あ……亜蘭、んんっ……」
長く走ったみたいに荒い息になりながら、なんとか俺は耳をしまうことに成功した。
今まで何となくだったしまう感覚が、理解できたように思えた。
できたと喜びながら亜蘭を見たら、亜蘭は長い舌を出していて、それで俺の乳首をペロリと舐めた。
「ひっわっ……ぁっっ、何を……!?」
「上手にしまえたね。次は出ないように我慢してね」
「うっ、う、嘘っ………あっひぁっっ」
亜蘭が俺の乳首をすっぽりと口に含んで、ちゅうちゅうと高い音を立てて吸い付いてきた。
強烈な快感に俺はのけ反って声をあげてしまった。
こんなことをして本当に特訓なのか分からない。
そして、こんな甘い攻めに耐え続けることができるのか。
抑えきれない快感に身を震わせながら、どこまで我慢できるのか、気が遠くなってしまった。
すでに限界まできている俺は、身を捩らせながら、大きく息を吸い込んだ。
□□□
家の中に案内されると、まるでモデルルームのような白で統一されたお洒落な空間が広がっていた。宮殿にでも飾られているような家具は埃一つなく、どれも鏡のように磨き抜かれていた。
野生の森から捕獲されて、王様のお城に連れてこられたタヌキ。
自分で考えて思わず唸ってしまうほど、その表現がピッタリ合っているように思えた。
堂々と部屋の中心を真っ直ぐになんて歩けなくて、俺は端の方を体を丸めて歩いていた。
「なんでそんなに端っこを歩いているの?」
「いや、なんか、汚したら恐くて……」
「大丈夫だよ。週に二回は掃除が入って綺麗にしてもらえるから」
さすがこんなところに住むお金持ちは違うと、うんうん納得しながら、俺は辺りをキョロキョロと見回した。
「あの、ご家族は?」
「ああ、父も母も、海外の仕事が多くて、別に家を持っているから、ここへはほとんど帰って来ない。一年顔を見ない時もあるし」
「ええ!? じゃ……じゃあ、何もかも一人で……?」
「うん、中学生の頃からだいたいそんな感じだから、もう慣れちゃった。それに大学生にでもなれば一人暮らしの子は多いでしょう」
いまだに母親に朝起こしてもらっている俺には、もう何も言うことができない。
ただ、中学生からというのは、いくらなんでも早い気がした。
「それは……確かに周りはもう一人か学生寮が多いけど……。それでも、中学からってのは驚きだよ。大変だったんだね」
「大変? そうかな、掃除はやらなくていいし。食事は頼めば好きなものが来るし……そこまで、不便はなかったけど」
亜蘭は顎に手を当てて、真面目な顔で考え始めてしまった。身の回りの世話についてはご両親が手配して不自由はなかったのだろう。
それでも……
亜蘭は眠れないことで悩んでいた。
ということは、少なくともこの完璧に描かれたかのように見える生活でも、満たされないものがあったはずだ。
感情のない人形のように話している亜蘭を見て、俺の方が不安になってきてしまった。
余計なことかもとは思ったが、もし不眠の原因が家族との関係なら、少し触れてみる必要があるのではないかと考えた。
「寂しくはなかった?」
「寂しい?」
「ええと……、一人で気楽かもしれないけど。例えば、今日歩いた時、信号が全部青だったみたいな、ちょっとした出来事を話して、よかったねって返してもらうのとか、些細なやり取りに思えるけど、そういうのがないのは……俺は寂しいかなって……」
あくまで俺の個人的な意見なので、鼻で笑われても仕方がないと思ったが、亜蘭は眉間に皺を寄せてもっと考え込んでしまった。
難関大学の試験ではないのだから、そんなに考え込まなくてもいいのにと思っていたら、亜蘭は何か気がついたように、途中で目を開いて俺のことを見てきた。
「確かに、寂しいかも」
「だろっ、やっぱり家族がいて……」
「学が、学と話せなくなったらって想像したら、嫌な感じがした。それと同じ気持ちだよね?」
「えっ……」
俺の言葉を遮って、亜蘭が伝えてきたのは、忙しい両親に会えない寂しさではなく、俺とのことだった。
なんと言っていいのか分からなかった。
亜蘭の家族へ向かうべき愛情が、行き場をなくして、近くにいる俺に降ってきたような感じだ。
かと言って、俺が寂しさに種類を付けてそれは違うとは言えなかった。
どちらも胸に痛みを感じるなら、それを分ける必要などないのかもしれない。
「そうだ……ね、同じ気持ち」
「そうかー、よかった」
亜蘭は目を細めて嬉しそうに笑っていた。
まるで人間の真似事ができて、喜んでいるみたいに……
「学は色んなことを教えてくれるね。学と出会えてよかった」
亜蘭に頭を撫でられた。
俺のボサボサの猫っ毛で遊ぶように優しく撫でられた。
すぐ隣にいるのに、亜蘭はどこか遠くにいるような気がした。
小さな不安を隠すように、俺もと言って頷いた。
午前中は亜蘭の部屋で、課題のレポート作りに時間を費やした。
俺は明確な夢などなくて、ルイやマサに誘われるまま、今の大学に入ったような状態だったので、正直講義は難しくて苦戦していた。
俺と同じ歳のくせに、知識や経験が何倍もある亜蘭は、さすが流れるように解説を入れてくれて、困っていたところは、ほとんど解決してスラスラ書けてしまった。
「ありがとう、俺ひとりだったら、何週間かかったか……」
「少しアドバイスしただけだよ。ちゃんとまとめられたのは学じゃん。よく頑張ったね」
なんて、良いやつ……。
一家に一人欲しいと、溢れる優しさに泣きそうになってしまった。
「それで……、獣化の特訓なんだけど……」
「ああ、そうだったね。どうしよう、何からしたらいいかな?」
頭の中で感動して走り回っていたら、ソファーに座っていたはずの亜蘭が、俺が座っているデスクのすぐ横に来ていて、ビクッとしてしまった。
「まず、こっちに来て。リラックスしないとね」
手を取られてソファーまで連れて来られた。
俺と亜蘭が座っても余るくらいの大きなソファーだ。
そこに二人で腰を下ろしたら、まずはさっきみたいに頭を撫でられた。
「耳が出てしまうのはどんな時?」
「うーーん、まず寝ている時は出ちゃうみたいなんだ。後は、考えごとをして集中している時とか、びっくりした時、ボケーっとした時もあるかも!」
「そうかぁ、けっこうたくさんあるね」
亜蘭はクスクスと困ったような顔で笑った。
亜蘭はユニコーンなのだから、獣化をしたらどうなるのか、自分の話をしながら気になってしまった。
「獣化は性的な誘いだというのは知っているんだったよね」
「うぅ……うん」
「ヒト型に変身できるように進化した獣だけど、それぞれの本能は残っているんだよ。つまり、生殖行為はその最たるもの。本来はそれぞれあった発情期が、ヒト化によって周年繁殖になった。ヒトでいうつまり、セックスを行う時に、獣である部分を解放するというのは、最も興奮する行為なんだ。部分的に獣化したところは弱点、言い換えれば性感帯になるんだ」
亜蘭が真面目な顔で淡々と話してくれたことを聞いて、ポカンとしてしまった。
これがこの世界の常識、そう納得すればいいのだが、明らかに違いすぎて現実とは思えない。
「つまり、衣服を脱いで裸を見せることは、欲情を誘う行為であるから、それと同じなんだよね。普通はみんな勝手に服を脱がないから、勝手にどこでも服を脱いでいたら………って、恥ずかしいどころか、俺、変態じゃん!!」
「裸を見せることよりも刺激的かも。もちろん、子供のうちは感覚が鈍いから何も感じないけどね。夫婦、番になれば愛情表現のひとつになる。外では危険だから、親は子供にしっかり隠すことを教えるんだ」
「どうしよう……、外でぽんぽん出していたら、変態だって思われて……うわぁぁーー!」
母親から口酸っぱく話を聞いていて、なんとなく想像はできていたが、亜蘭から改めて現実を告げられたら恥ずかしくてたまらなくなってしまった。
小学生に笑われるだけの話ではない、下手したら警察に捕まりそうな話になってしまった。
「それで、提案なんだけど。ここは、直接、耳が出てしまうような刺激を与えて、それを我慢するのが一番覚えやすいと思うんだけど、どうかな……?」
「あ、うん。俺はよく分からないから、任せるよ」
「ふふっ、俺に全部任せてくれるの?」
「え……あの……わっっ」
こういう時、俺は頭が回らなくて、誰かに丸投げしてしまうことが多い。
今回もそんな調子で、亜蘭に従っておけば上手くいくだろうと思っていたら、ニコッと妖しげに笑った亜蘭はいきなり俺のTシャツを捲り上げてしまった。
「なんで裸に……」
「刺激を与えるっていったでしょう。獣化は性的な快感と深く関わっている。学みたいに、少しの変化で出てしまわないようにするには、体で覚えないとね」
「だっ、えっ、ちょっ……っっ」
Tシャツを腕の方まで脱がされて、手は後ろに持っていかれてしまった。
俺の貧相な胸があらわになったが、なんと亜蘭は俺の平らな胸に手を這わせて、突起に触れてきたのだ。
「あっっ……何を……」
指の腹で擦られたと思ったら爪で弾かれて、ぎゅっとつままれてしまった。
「あ……ああっ」
「ふっ……、可愛い声が出た。ついでに耳も出ちゃったね」
そう言われたら、頭の上がムズムズして耳が出ている感覚がした。Tシャツが絡まって手が動かせないので確認することはできなかった。
「ほら、特訓だよ。耳をしまって」
「ぁううっっ……まっ……待って、ああっ」
耳をしまう時は意識を頭に集中しなくてはいけない。
それなのに亜蘭は両手を使って、左右の乳首をぐりぐりとこねるように弄ってくるので、全然力が入らない。
「あっ……んっ……はぁはぁ……はっっんんんっ」
そんなところを触られて、こんなに感じてしまうなんて思わなかった。胸の先端がヒリヒリして、何かを求めるように赤く色づいているのが見えて、ドキッとしてしまった。
「あれっ、エッチな色になっちゃった。ごめんね、俺が弄ったからだね」
「あ……亜蘭、んんっ……」
長く走ったみたいに荒い息になりながら、なんとか俺は耳をしまうことに成功した。
今まで何となくだったしまう感覚が、理解できたように思えた。
できたと喜びながら亜蘭を見たら、亜蘭は長い舌を出していて、それで俺の乳首をペロリと舐めた。
「ひっわっ……ぁっっ、何を……!?」
「上手にしまえたね。次は出ないように我慢してね」
「うっ、う、嘘っ………あっひぁっっ」
亜蘭が俺の乳首をすっぽりと口に含んで、ちゅうちゅうと高い音を立てて吸い付いてきた。
強烈な快感に俺はのけ反って声をあげてしまった。
こんなことをして本当に特訓なのか分からない。
そして、こんな甘い攻めに耐え続けることができるのか。
抑えきれない快感に身を震わせながら、どこまで我慢できるのか、気が遠くなってしまった。
すでに限界まできている俺は、身を捩らせながら、大きく息を吸い込んだ。
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