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本編
にじゅうろく 最後の手段
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「先生!!」
幻聴かと思ったが、砂埃の向こうにうっすらと姿が見えたら、ビリジアンは息を吸い込んだ。
その時になって、ずっと自分が呼吸を止めていたことに気がついて、咳き込みながらやっと呼吸をした。
「マゼンダ……、今のはお前が……」
「先生……、よかった……先生、先生先生」
どこから来たのか、目の前にマゼンダが現れた。
尻餅をついているビリジアンに、マゼンダは勢いよく飛びついてきた。
強く抱きしめられて、これが現実なのだと、ようやく理解できた。
「マゼンダ……いったいどこから……」
「単独でずっと探していたのです。開始地点は違っても他の参加者が入場する風上方向に向かえば会えると思いました。ミモザを狙う集団がいると噂を聞いて、嫌な予感がしたのです。もしかしたら、この機会を狙うかもしれないと心配に……。まさか、魔獣に襲われているとは思いませんでしたが」
「さっきのはマゼンダの弓か? 弓の威力じゃなかったぞ。まるで魔法の光だ」
「……それは、少し秘密があって……私の魔力は人とは違いがあるのです」
「違い?」
秘密、という言葉が気になった。
マゼンダに隠された秘密、根幹になる重要なものに違いない。
マゼンダの真剣な目を見て、話をはぐらかすこともできず、それでも自分が触れていいのだろうかと気持ちが揺らいだ。
「実は……」
マゼンダの口が動いた時、再び獣の咆哮が響き渡った。
マゼンダが放った矢を腹の部分に受けて横に吹っ飛んだ魔獣だったが、すぐに復活したのか、飛ばされた茂みの中から姿を現した。
鋭い爪で木を引っ掻きながら、明らかに怒り狂っている様子だった。
「おい、ヤバいぞ……」
「くっ、かなり魔力を込めたはずでしたが……。こうなったら……」
ぶるりと体を震わせて魔獣が突進して来たのと同時に、マゼンダも前に走り出して矢を放った。
矢は魔獣の額に当たったが、勢いは止まることはなかった。
マゼンダはギリギリまで引き付けて、間近でまた矢を放った。
「くっ……っっ!」
「マゼンダ!!」
連続で矢を受けて、魔獣の動きは止まったが、マゼンダは鋭い爪の攻撃を受けて、腕から血を流していた。
「私は大丈夫です! こちらに来ないでください! まだ終わっていません」
マゼンダは大丈夫だと言って来たが、攻撃を受けた腕はかなり痛そうだった。
痛みのある状態で魔力を使う弓を使ったら、どうなるか分からない。
これ以上マゼンダに怪我を負わせるわけにいないと、ビリジアンは立ち上がった。
「俺に任せろ!」
ビリジアンが思いついたのは、地形を利用することだ。
魔獣はどうも自分を追って来ているように感じていた。
それならば自分の方に誘導すればいいと考えた。
離れた位置から突進して飛び掛かってくる習性を利用して、崖の前に立ち直前で体を下げて、魔獣を崖から落とすことができないか考えた。
マゼンダの攻撃を受けて弱まったように見えた魔獣だったが、またぶるりと体を揺らして起きがった。
マゼンダがまた弓を構えた時、ビリジアンは手を大きく広げた。
「おぉーい! こっちだ! こっちに来い!」
「先生!? な、何を!!」
「ほら、追いかけっこは終わりだ。ここにいるぞ!」
飛び跳ねて自分の存在をアピールしたビリジアンを見て、マゼンダは止めるためか、ビリジアンに向かって走り出した。
しかし、その後ろから、向こうもついに本気になったのか、地面を揺らして砂埃を上げながら魔獣が突進して来た。
魔獣がマゼンダを追い越し、ビリジアンに迫った。
一歩一歩、ゆっくりとした映像のように見えた。
はぁはぁと自分の息遣いの音が、ビリジアンの頭に響いていた。
地面を蹴って飛び上がったところが見えたら、ビリジアンは息を止めた。
一瞬
今度こそ、一瞬で決まる
魔獣が飛び掛かってくる寸前、ビリジアンは地面に伏せた。
肌をかすめるように魔獣が体の上を通り過ぎていく感覚がした。
「先生!」
マゼンダがこちらに向かって走ってくる姿が見える。
やった、やったぞと、ビリジアンは息を吸い込んで、マゼンダに向かって笑いかけようとした。
しかしマゼンダの顔はいまだに厳しいもので、何度も先生と叫んでいる口元が見えた。
視界に黒いロープのようなものが見えた。
なぜそんなものがと考えた時、熊型魔獣の尻尾がなぜか鞭のように長かったのを思い出した。
「うわぁぁっっ」
勢いよく飛び込んで、崖から落ちていく魔獣。
その魔獣の尻尾がぐるんとしなって、ビリジアンに絡みついた。
慌ててもがいたビリジアンの体から、尻尾はするりと抜けていったが、それは魔獣が崖の下に落ちていったからだ。
よかったと思ったのも束の間、尻尾に巻かれて引っ張られたことで、ビリジアンの下半身はすでに崖の外まで出ていた。
わずかに生えていた草に掴まろうとしたが、空を切って、草の感触だけが指を滑っていった。
だめだ、落ちる
ビリジアンの頭は絶望の色に染まった。
ぱらぱらと砂が落ちていく音がする。
強く目をつぶっていたビリジアンは、頭の中で真っ逆さまに崖下の川に向かって転落する自分の姿を脳裏に描いた。
しかしいつまで経っても痛みが来ないので、恐る恐る目を開けたら、目の前には垂直の土壁があった。
そして下を向くと、崖の上から見た光景がそのまま、はるか下に流れている川が見えた。
「ひいっっ!」
「だ、……いじょぶ、ですか?」
「え?」
頭上から聞こえて来た声に顔を上げると、そこにはビリジアンの手を掴んでいるマゼンダの姿があった。
「間一髪、でしたね」
「マゼンダ……」
魔獣はとっくに下に落ちていき、ビリジアンの伸ばした手をマゼンダが掴んでくれたのだと分かった。
しかし、二人の手は汗と泥で汚れていた。
滑りそうになる手を、マゼンダは必死に掴んでいるように見えた。
「こんな時に……魔法が使えたら……、すぐにでも川の水を使って先生を助け……られるのに……」
「狩りの間は制限されているんだったな。まったく厄介な大会だ」
「だ……大丈夫、です。せんせ……いま、引き上げますから」
マゼンダが必死に手に力を入れているのが分かる。
呼吸が荒く、痛みをこられていることも。
マゼンダの腕から流れ落ちてきた血が、繋がった場所をつたってビリジアンの腕を下りてきた。
マゼンダの血の熱さに心臓が揺れた。
「先生、絶対、助けます。絶対助ける」
マゼンダの声は苦しそうに震えていた。
魔法が使えない状態で、怪我を負っているマゼンダ。
一般的な成人男性であるビリジアンの体は、それなりに重いだろう。
とくに怪我をしていては、かなり重いに違いない。
マゼンダの体が引っ張られて、徐々にビリジアンの方に沈んできたのが見えた。
ぷるぷると腕が震え始めて、限界が近いのだろうと分かった。
ビリジアンは鼻から息を吐いた。
悲痛な様子のマゼンダと違って、心は自分でも驚くほど冷静で落ち着いていた。
「……俺は、何を怖がっていたんだろう」
「え……」
「本当に臆病で、どうしようもない男だ」
「せんせ……」
ビリジアンが微笑むと、マゼンダは目を見開いた。その太陽のような瞳に、自分が浮かんでいる姿を目に焼き付けておきたかった。
「こんな時になって、後悔している。もっと早く、お前に気持ちを伝えておけばよかった」
「な、何を……先生、何を……」
「マゼンダ、お前は優しい男だ。こんな俺にも、親切にしてくれた。やり方はちょっと強引だったけど、逃げてばかりだった俺にちゃんと前を向いて歩けるように自信をつけてくれた。愛なんていらないというお前に、愛を教えてあげたかった」
「だったら……教えてください。先生に教えてもらいたい……」
ビリジアンは小さく首を振った。
マゼンダの両手は必死にビリジアンの手を掴んでいるが限界に近いのは分かっていた。
「周りをよく見てみろ。お前のことを心から愛してくれる人はきっと……」
「いやだ!!」
「マゼンダ……」
「他のやつなんてどうでもいい!! 俺は先生がいいんだ! 先生じゃなきゃだめなんだ! だって、だって俺は……」
二人の視線が重なった。
それは一瞬だったが、果てしなく長い時間のように思えた。
ビリジアンは笑った。
そして、力を抜いて手を縮めて、自らマゼンダの手からすり抜けた。
似たようなことは言ったが、好きだとは言えなかった。
この先のマゼンダの人生に、自分が残り続けたら、マゼンダを苦しめてしまう。
忘れてくれと思いながら、小さくなっていくマゼンダの瞳を見つめた。
「ビリジアンーーーー!!!」
⬜︎⬜︎⬜︎
幻聴かと思ったが、砂埃の向こうにうっすらと姿が見えたら、ビリジアンは息を吸い込んだ。
その時になって、ずっと自分が呼吸を止めていたことに気がついて、咳き込みながらやっと呼吸をした。
「マゼンダ……、今のはお前が……」
「先生……、よかった……先生、先生先生」
どこから来たのか、目の前にマゼンダが現れた。
尻餅をついているビリジアンに、マゼンダは勢いよく飛びついてきた。
強く抱きしめられて、これが現実なのだと、ようやく理解できた。
「マゼンダ……いったいどこから……」
「単独でずっと探していたのです。開始地点は違っても他の参加者が入場する風上方向に向かえば会えると思いました。ミモザを狙う集団がいると噂を聞いて、嫌な予感がしたのです。もしかしたら、この機会を狙うかもしれないと心配に……。まさか、魔獣に襲われているとは思いませんでしたが」
「さっきのはマゼンダの弓か? 弓の威力じゃなかったぞ。まるで魔法の光だ」
「……それは、少し秘密があって……私の魔力は人とは違いがあるのです」
「違い?」
秘密、という言葉が気になった。
マゼンダに隠された秘密、根幹になる重要なものに違いない。
マゼンダの真剣な目を見て、話をはぐらかすこともできず、それでも自分が触れていいのだろうかと気持ちが揺らいだ。
「実は……」
マゼンダの口が動いた時、再び獣の咆哮が響き渡った。
マゼンダが放った矢を腹の部分に受けて横に吹っ飛んだ魔獣だったが、すぐに復活したのか、飛ばされた茂みの中から姿を現した。
鋭い爪で木を引っ掻きながら、明らかに怒り狂っている様子だった。
「おい、ヤバいぞ……」
「くっ、かなり魔力を込めたはずでしたが……。こうなったら……」
ぶるりと体を震わせて魔獣が突進して来たのと同時に、マゼンダも前に走り出して矢を放った。
矢は魔獣の額に当たったが、勢いは止まることはなかった。
マゼンダはギリギリまで引き付けて、間近でまた矢を放った。
「くっ……っっ!」
「マゼンダ!!」
連続で矢を受けて、魔獣の動きは止まったが、マゼンダは鋭い爪の攻撃を受けて、腕から血を流していた。
「私は大丈夫です! こちらに来ないでください! まだ終わっていません」
マゼンダは大丈夫だと言って来たが、攻撃を受けた腕はかなり痛そうだった。
痛みのある状態で魔力を使う弓を使ったら、どうなるか分からない。
これ以上マゼンダに怪我を負わせるわけにいないと、ビリジアンは立ち上がった。
「俺に任せろ!」
ビリジアンが思いついたのは、地形を利用することだ。
魔獣はどうも自分を追って来ているように感じていた。
それならば自分の方に誘導すればいいと考えた。
離れた位置から突進して飛び掛かってくる習性を利用して、崖の前に立ち直前で体を下げて、魔獣を崖から落とすことができないか考えた。
マゼンダの攻撃を受けて弱まったように見えた魔獣だったが、またぶるりと体を揺らして起きがった。
マゼンダがまた弓を構えた時、ビリジアンは手を大きく広げた。
「おぉーい! こっちだ! こっちに来い!」
「先生!? な、何を!!」
「ほら、追いかけっこは終わりだ。ここにいるぞ!」
飛び跳ねて自分の存在をアピールしたビリジアンを見て、マゼンダは止めるためか、ビリジアンに向かって走り出した。
しかし、その後ろから、向こうもついに本気になったのか、地面を揺らして砂埃を上げながら魔獣が突進して来た。
魔獣がマゼンダを追い越し、ビリジアンに迫った。
一歩一歩、ゆっくりとした映像のように見えた。
はぁはぁと自分の息遣いの音が、ビリジアンの頭に響いていた。
地面を蹴って飛び上がったところが見えたら、ビリジアンは息を止めた。
一瞬
今度こそ、一瞬で決まる
魔獣が飛び掛かってくる寸前、ビリジアンは地面に伏せた。
肌をかすめるように魔獣が体の上を通り過ぎていく感覚がした。
「先生!」
マゼンダがこちらに向かって走ってくる姿が見える。
やった、やったぞと、ビリジアンは息を吸い込んで、マゼンダに向かって笑いかけようとした。
しかしマゼンダの顔はいまだに厳しいもので、何度も先生と叫んでいる口元が見えた。
視界に黒いロープのようなものが見えた。
なぜそんなものがと考えた時、熊型魔獣の尻尾がなぜか鞭のように長かったのを思い出した。
「うわぁぁっっ」
勢いよく飛び込んで、崖から落ちていく魔獣。
その魔獣の尻尾がぐるんとしなって、ビリジアンに絡みついた。
慌ててもがいたビリジアンの体から、尻尾はするりと抜けていったが、それは魔獣が崖の下に落ちていったからだ。
よかったと思ったのも束の間、尻尾に巻かれて引っ張られたことで、ビリジアンの下半身はすでに崖の外まで出ていた。
わずかに生えていた草に掴まろうとしたが、空を切って、草の感触だけが指を滑っていった。
だめだ、落ちる
ビリジアンの頭は絶望の色に染まった。
ぱらぱらと砂が落ちていく音がする。
強く目をつぶっていたビリジアンは、頭の中で真っ逆さまに崖下の川に向かって転落する自分の姿を脳裏に描いた。
しかしいつまで経っても痛みが来ないので、恐る恐る目を開けたら、目の前には垂直の土壁があった。
そして下を向くと、崖の上から見た光景がそのまま、はるか下に流れている川が見えた。
「ひいっっ!」
「だ、……いじょぶ、ですか?」
「え?」
頭上から聞こえて来た声に顔を上げると、そこにはビリジアンの手を掴んでいるマゼンダの姿があった。
「間一髪、でしたね」
「マゼンダ……」
魔獣はとっくに下に落ちていき、ビリジアンの伸ばした手をマゼンダが掴んでくれたのだと分かった。
しかし、二人の手は汗と泥で汚れていた。
滑りそうになる手を、マゼンダは必死に掴んでいるように見えた。
「こんな時に……魔法が使えたら……、すぐにでも川の水を使って先生を助け……られるのに……」
「狩りの間は制限されているんだったな。まったく厄介な大会だ」
「だ……大丈夫、です。せんせ……いま、引き上げますから」
マゼンダが必死に手に力を入れているのが分かる。
呼吸が荒く、痛みをこられていることも。
マゼンダの腕から流れ落ちてきた血が、繋がった場所をつたってビリジアンの腕を下りてきた。
マゼンダの血の熱さに心臓が揺れた。
「先生、絶対、助けます。絶対助ける」
マゼンダの声は苦しそうに震えていた。
魔法が使えない状態で、怪我を負っているマゼンダ。
一般的な成人男性であるビリジアンの体は、それなりに重いだろう。
とくに怪我をしていては、かなり重いに違いない。
マゼンダの体が引っ張られて、徐々にビリジアンの方に沈んできたのが見えた。
ぷるぷると腕が震え始めて、限界が近いのだろうと分かった。
ビリジアンは鼻から息を吐いた。
悲痛な様子のマゼンダと違って、心は自分でも驚くほど冷静で落ち着いていた。
「……俺は、何を怖がっていたんだろう」
「え……」
「本当に臆病で、どうしようもない男だ」
「せんせ……」
ビリジアンが微笑むと、マゼンダは目を見開いた。その太陽のような瞳に、自分が浮かんでいる姿を目に焼き付けておきたかった。
「こんな時になって、後悔している。もっと早く、お前に気持ちを伝えておけばよかった」
「な、何を……先生、何を……」
「マゼンダ、お前は優しい男だ。こんな俺にも、親切にしてくれた。やり方はちょっと強引だったけど、逃げてばかりだった俺にちゃんと前を向いて歩けるように自信をつけてくれた。愛なんていらないというお前に、愛を教えてあげたかった」
「だったら……教えてください。先生に教えてもらいたい……」
ビリジアンは小さく首を振った。
マゼンダの両手は必死にビリジアンの手を掴んでいるが限界に近いのは分かっていた。
「周りをよく見てみろ。お前のことを心から愛してくれる人はきっと……」
「いやだ!!」
「マゼンダ……」
「他のやつなんてどうでもいい!! 俺は先生がいいんだ! 先生じゃなきゃだめなんだ! だって、だって俺は……」
二人の視線が重なった。
それは一瞬だったが、果てしなく長い時間のように思えた。
ビリジアンは笑った。
そして、力を抜いて手を縮めて、自らマゼンダの手からすり抜けた。
似たようなことは言ったが、好きだとは言えなかった。
この先のマゼンダの人生に、自分が残り続けたら、マゼンダを苦しめてしまう。
忘れてくれと思いながら、小さくなっていくマゼンダの瞳を見つめた。
「ビリジアンーーーー!!!」
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