にゃこがやってきた

冴條玲

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こねこもらって

温室育ちの男の子と、千尋の谷底で生き残った女の子。

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 ガゼルが今年も動物病院のお世話になりました。
 尿結石との診断なのですが、療法食がグレインフリーではありません。
 ……詰んだorz( ゚Д゚)

 愛護団体や保護団体をはじめ、令和日本では多くの人が、猫に安全で幸せな楽園での暮らしを約束する飼い主を良い飼い主と考えていますよね。でも、本当にそうなのでしょうか。
 ネズミの楽園実験(ユニバース25実験)を皆さんはご存知でしょうか。
 楽園に生まれ育ったネズミは子をなさなくなって絶滅してしまうのです。

 楽園こそは終わりの始まり。

 ペットショップから買ってきたばかりのエトランジュは、薄幸の美少女に見えました。
 螺旋菌はいるわFIPでお腹パンパンだわ、それでも、ようやくひとりぼっちじゃなくなって、はしゃいでいた子猫。

 ペットショップから買ってきたばかりのガゼルは、大変な健康優良児に見えました。
 輝くような美しい毛並みの元気な子猫。

 FIPから後遺症もなく生還したミラクルキャット・エトランジュ。
 FIPの猫に子猫を産ませるなんてと(エトランジュが子猫を産んだのは寛解した後ですよ!)、不適切にもほどがある優生思想をふりかざしてコメントしてくる人もいましたが、フタを開けてみれば、健康優良児はエトランジュの方でした。
 ペットショップにいた頃から螺旋菌がいたくらいですから、エトランジュが生まれ育った環境の劣悪さは推して知るべし。
 エトランジュが瀕死だったのは環境が悪かったからで、猫仙郷に迎えてFIPが寛解した後のエトランジュは病気らしい病気もせず、フードも難しくなく、怪我も、交尾の時にガゼルが強くかみつきすぎたものだけ。(これはガゼルが悪い)
 雑種を飼ってる方なら、2歳で無病息災とかふつうではと思うかもしれません。
 私もそう思っていました。
 だけど、違ったのです。
 すなわち、雑種にしろエトランジュにしろ、千尋の谷底で生き残った猫なのです。
 愛護団体が過酷だ、虐待だと断じる外界や劣悪な繁殖場で、逞しく種をつなげてきた、優れた免疫系と知能と運動能力を兼ね備え、自然淘汰の厳しい選抜に勝ち残ってきた猫だったのです!( ゚Д゚)9

 楽園に生まれ育った、温室育ちのガゼルを見て!
 グレインフリーしか食べられないゲリーの君。
 デンプン消化できないのにキャットフードしか食べない(つまり消化できないものを食べたがる)偏食、ケンカ弱いのにお外に出たがる自爆体質。
 極めつきに2歳で尿結石。
 免疫系に劣り、知能に劣り、身体機能に劣る――
 自慢は美しい長毛の毛並みと、愛嬌と可愛らしいまんまるおめめ。
(生き残りの役に立たない取り柄なら、けっこうある) 
 どう考えても観賞用の猫で、サバイバル能力はゼロどころかマイナス圏ですorz
 この子を幸せに長生きさせてあげようとすると、たいへんなお金と手間暇がかかります。

 人間都合なら、見た目の美しさ、愛らしさ、華やかさを誇るガゼルの価値はとても高い。
 だけど、こんなに弱い猫に生まれてくるのって、猫にとって幸せなのかな。

 そもそも、自然淘汰のない楽園は、今、生きている親世代にとっては夢の世界だけど、生まれてくる子供にとっては、楽園でしか生きられない弱い個体ばかりになった悪夢の世界、終わりしか見えない世界なのかもしれません。
 まさに、楽園実験がその可能性を強く示唆しているわけで。

 不幸中の幸い、エトランジュの子猫はどの子も真っ黒に生まれてくるのですが、父猫ほど弱い子猫はこれまでのところ見当たりません。
 毛色も優秀さも優勢の遺伝子か、エトランジュ恐るべし。
 エトランジュこそは子孫を残すべき、奇跡の猫でした✨(∩´∀`)∩
(真っ黒に生まれてくるからと言って、黒猫ってわけではなく、最終的にはシルバー多めです)


 つまりね、自然体で最善を尽くす、それが何よりの幸せなんじゃないのかな。
 過ぎたるは及ばざるがごとし、子孫を残す権利やお外で好きなだけ風を感じる権利、ひなたぼっこする権利を犠牲に長生きさせるのは、一周回って、虐待と同じことなんじゃないのかなって。
 動物愛護法はあくまで人間都合の詭弁、猫の幸せに貢献する内容ではないと思っています。



 とっても優秀で可愛い子猫がたくさん生まれたよ!
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