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第一章 舞い降りた天使
第17話 嵐の夜
「サイファ! サイファ!!」
夏休みに入ってすぐの、嵐の夜だった。
夕食時に、雨と風の音に負けないくらい激しくドアを叩く音と、切羽詰まったジャイロの声が聞こえて、僕は、少し緊張して母さんと顔を見合わせた後、家のドアを開けに立ったんだ。
長い黒髪の女の人を抱えたずぶ濡れのジャイロが家の中に転がり込んでくると、とにかく、僕はドアを閉めた。
その間にも、雨と風が吹き込んでくるくらいの嵐の夜だったから。
お姉さんなのか、女の人は両手で顔を覆って、泣き声とも悲鳴ともつかない悲痛な声を上げ続けていて、ただごとではない様子をひしひしと感じた。
【挿絵】なかいのぶ様
「助けてくれ、ユリシーズが……! デゼルのところに、ユリシーズを連れてってくれ!」
「どうしたの!?」
「顔を火に押しつけられたんだ! 助けてくれ!!」
息をのんで、僕は慌ててユリシーズの肩に手をかけた。すごい震え方で、熱もあるみたいだった。
「わかった、ヒールするから、少しだけ、待って」
僕の癒術なんてタカが知れてるけど、嵐の中を神殿まで行くなら、ここで一度、ヒールした方がいいと思ったんだ。
だって、ユリシーズは今にも死んでしまいそうなくらい、ガクガクと震えながら泣いていたから。
「すまねぇ、恩に着る」
僕の手から闇の魔力が流れて、ユリシーズが少しだけ落ち着くと、ジャイロが深く頭を下げた。
ジャイロが誰かに頭を下げるのなんて、僕はたぶん、初めて見たと思う。
「頑張って。デゼルがきっと助けてくれるから」
ユリシーズを励まして、僕とジャイロはクレイさんにも手伝ってもらって、ユリシーズを急いで神殿に運ぶことにしたんだ。
夏休みに入ってすぐの、嵐の夜だった。
夕食時に、雨と風の音に負けないくらい激しくドアを叩く音と、切羽詰まったジャイロの声が聞こえて、僕は、少し緊張して母さんと顔を見合わせた後、家のドアを開けに立ったんだ。
長い黒髪の女の人を抱えたずぶ濡れのジャイロが家の中に転がり込んでくると、とにかく、僕はドアを閉めた。
その間にも、雨と風が吹き込んでくるくらいの嵐の夜だったから。
お姉さんなのか、女の人は両手で顔を覆って、泣き声とも悲鳴ともつかない悲痛な声を上げ続けていて、ただごとではない様子をひしひしと感じた。
【挿絵】なかいのぶ様
「助けてくれ、ユリシーズが……! デゼルのところに、ユリシーズを連れてってくれ!」
「どうしたの!?」
「顔を火に押しつけられたんだ! 助けてくれ!!」
息をのんで、僕は慌ててユリシーズの肩に手をかけた。すごい震え方で、熱もあるみたいだった。
「わかった、ヒールするから、少しだけ、待って」
僕の癒術なんてタカが知れてるけど、嵐の中を神殿まで行くなら、ここで一度、ヒールした方がいいと思ったんだ。
だって、ユリシーズは今にも死んでしまいそうなくらい、ガクガクと震えながら泣いていたから。
「すまねぇ、恩に着る」
僕の手から闇の魔力が流れて、ユリシーズが少しだけ落ち着くと、ジャイロが深く頭を下げた。
ジャイロが誰かに頭を下げるのなんて、僕はたぶん、初めて見たと思う。
「頑張って。デゼルがきっと助けてくれるから」
ユリシーズを励まして、僕とジャイロはクレイさんにも手伝ってもらって、ユリシーズを急いで神殿に運ぶことにしたんだ。
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