62 / 139
第三章 闇を彷徨う心を癒したい
第58話 二人は心友
しおりを挟む
僕とジャイロはたまにケンカする親友、――心友?
小学校のクラスメイトに、ジャイロの心友とか大丈夫かって、よく、心配された。
大丈夫じゃないことなんて、何にもないんだけどな。
それとも、みんなも知ってたのかな。
ジャイロって、たまに誰かとケンカしないとゴリラになっちゃうんだ。
オレ、ハーフゴリラだからよって、ニヤニヤしながら言ってた。
ガキン!
デゼルが中退してからの数日間、ジャイロをはじめ、何人かの男子生徒がすごくイライラして、授業中、先生にガンをつけてたんだ。
そういう態度はよくないよって言ったら、やめさせたきゃ決闘に勝ってみなって、ジャイロに返されて。
中学生になったことだし、殴り合いは卒業して決闘するぞって、ジャイロ、刃を潰した模擬刀とはいえ、訓練用の片手半剣を持ち出してきたんだ。
その割に、「例の、マルスの使ってみろよ」なんて言ってきたから、たぶん、ジャイロは冷静だと思う。ゴリラにならないために、そろそろ、僕とケンカしたかったんだろうね。
ジャイロに勧められた僕の武器は模擬刀じゃなく、魔の海に浮かぶ伝説の孤島エッダ・ハマヌの、秘密の地下神殿に潜って手に入れてきた神代の秘宝。
こうやって説明すると、だから中二病やめろって、ジャイロに叱られるんだけど。
誇張でもなんでもなく、デゼルが水神になって海を鎮められるから上陸できた、そうでなければ近づけない魔境に、僕たち行ってきたんだ。
軍神マルスの祝福を受け、刀身に虹色の光をまとう、神代に鍛えられた小剣。
柄や峰の意匠も繊細優美な、芸術品のようでもある小剣だけど、神の祝福を受けているから絶対に刃こぼれしない。
僕、攻撃に小剣は使わないし、ふつうの小剣で片手半剣なんて受けられるものじゃないから、お言葉に甘えることにした。
小盾の方も、同じ地下神殿に納められていた、剣はもちろん、魔法まで弾き返してしまえる『アテナの鏡』。
ジャイロのための神剣も先に手に入れて、地下神殿の魔物はジャイロがそれで一掃してくれたんだけど、神代の武器の威力って、本当にすごいものだった。
何の話だっけ。
思い出した、決闘の話だよね。
僕たちが放課後の校舎裏で本格的な決闘を始めると、ジャイロのバスタードソードと僕のアテナの鏡がぶつかって、きらめく光の波紋が舞い拡がった。
刃をつぶした模擬刀でも、バスタードソードは重量で敵をへし折る攻撃もできるタイプの武器だから、止めるつもりで受けたりはしない。
かわすか、盾で受けながら後方に跳んだりして、衝撃を受け流すんだ。
もちろん、難しいんだよ。
たくさん、訓練したんだから。
僕の闘い方は小剣と小盾でのガードが主体で、敵のスキをついての闇魔法でかく乱、僕のペースに持ち込めたら勝負を決めに行くもの。
何度目だろう、ジャイロのバスタードソードに勢いよくはね飛ばされた僕が、体勢を崩すことなく着地した時だった。
「きゃ~! サイファ様~!!」
僕とジャイロが決闘するの、見にきた女の子たちが騒ぎ始めたんだ。
デゼルがいなくなったら、急に、女の子たちが僕のことで騒ぐようになって。
すごく、やりにくい。
僕はガーディアンだから、女の子の悲鳴なんて聞こえたら、危ない目に遭って助けて欲しいのかと思って、つい、反応してしまうんだ。
ジャイロには集中力が足りねぇなって言われるけど、実戦で女の子の悲鳴が聞こえるのなんて、デゼルが危ない時に決まってるんだ。
その声が聞こえなかったら、闇主として失格だよ。僕は死鬼じゃない。
ガゼル様に言われたこと、忘れないようにしなくちゃね。
――サイファ様――
えっ!?
小学校のクラスメイトに、ジャイロの心友とか大丈夫かって、よく、心配された。
大丈夫じゃないことなんて、何にもないんだけどな。
それとも、みんなも知ってたのかな。
ジャイロって、たまに誰かとケンカしないとゴリラになっちゃうんだ。
オレ、ハーフゴリラだからよって、ニヤニヤしながら言ってた。
ガキン!
デゼルが中退してからの数日間、ジャイロをはじめ、何人かの男子生徒がすごくイライラして、授業中、先生にガンをつけてたんだ。
そういう態度はよくないよって言ったら、やめさせたきゃ決闘に勝ってみなって、ジャイロに返されて。
中学生になったことだし、殴り合いは卒業して決闘するぞって、ジャイロ、刃を潰した模擬刀とはいえ、訓練用の片手半剣を持ち出してきたんだ。
その割に、「例の、マルスの使ってみろよ」なんて言ってきたから、たぶん、ジャイロは冷静だと思う。ゴリラにならないために、そろそろ、僕とケンカしたかったんだろうね。
ジャイロに勧められた僕の武器は模擬刀じゃなく、魔の海に浮かぶ伝説の孤島エッダ・ハマヌの、秘密の地下神殿に潜って手に入れてきた神代の秘宝。
こうやって説明すると、だから中二病やめろって、ジャイロに叱られるんだけど。
誇張でもなんでもなく、デゼルが水神になって海を鎮められるから上陸できた、そうでなければ近づけない魔境に、僕たち行ってきたんだ。
軍神マルスの祝福を受け、刀身に虹色の光をまとう、神代に鍛えられた小剣。
柄や峰の意匠も繊細優美な、芸術品のようでもある小剣だけど、神の祝福を受けているから絶対に刃こぼれしない。
僕、攻撃に小剣は使わないし、ふつうの小剣で片手半剣なんて受けられるものじゃないから、お言葉に甘えることにした。
小盾の方も、同じ地下神殿に納められていた、剣はもちろん、魔法まで弾き返してしまえる『アテナの鏡』。
ジャイロのための神剣も先に手に入れて、地下神殿の魔物はジャイロがそれで一掃してくれたんだけど、神代の武器の威力って、本当にすごいものだった。
何の話だっけ。
思い出した、決闘の話だよね。
僕たちが放課後の校舎裏で本格的な決闘を始めると、ジャイロのバスタードソードと僕のアテナの鏡がぶつかって、きらめく光の波紋が舞い拡がった。
刃をつぶした模擬刀でも、バスタードソードは重量で敵をへし折る攻撃もできるタイプの武器だから、止めるつもりで受けたりはしない。
かわすか、盾で受けながら後方に跳んだりして、衝撃を受け流すんだ。
もちろん、難しいんだよ。
たくさん、訓練したんだから。
僕の闘い方は小剣と小盾でのガードが主体で、敵のスキをついての闇魔法でかく乱、僕のペースに持ち込めたら勝負を決めに行くもの。
何度目だろう、ジャイロのバスタードソードに勢いよくはね飛ばされた僕が、体勢を崩すことなく着地した時だった。
「きゃ~! サイファ様~!!」
僕とジャイロが決闘するの、見にきた女の子たちが騒ぎ始めたんだ。
デゼルがいなくなったら、急に、女の子たちが僕のことで騒ぐようになって。
すごく、やりにくい。
僕はガーディアンだから、女の子の悲鳴なんて聞こえたら、危ない目に遭って助けて欲しいのかと思って、つい、反応してしまうんだ。
ジャイロには集中力が足りねぇなって言われるけど、実戦で女の子の悲鳴が聞こえるのなんて、デゼルが危ない時に決まってるんだ。
その声が聞こえなかったら、闇主として失格だよ。僕は死鬼じゃない。
ガゼル様に言われたこと、忘れないようにしなくちゃね。
――サイファ様――
えっ!?
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
34
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる