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勇者「……話?」
考古学者「あなたは、自分が魔王を倒すことがどういうことか分かっていますか?」
勇者「なんだ、藪から棒に」
考古学者「あなたは、勇者だ。ゆえに、あなたには死が無く戦える」
勇者「……その事を知ってるのか」
考古学者「知っているのが意外ですか?」
勇者「まあ、気味悪がられるからあまり人には言わないし」
勇者「……あんたにも行った覚えはない」
考古学者「……まあそう構えないでください。敵対する気はありませんので」
勇者「お前は一体……」
考古学者「そこも一旦置いておいて。伝えたいことだけ先に伝えさせてください」
考古学者「魔王を倒したら、あなたも死にます」
勇者「……なん、だと?」
考古学者「勇者は、魔王を倒すために死なない肉体を持って生まれてくる」
考古学者「それは加護とも言えるし……ある意味、呪いとも言える」
勇者「……マジ、なのか?」
考古学者「冗談はあまり得意じゃありません」
勇者「なんでお前がそんなことを、知ってるんだ」
考古学者「そりゃまぁ、直接聞きましたから」
勇者「……まさか」
考古学者「そう、先代の勇者……あなたの父親に、ね」
勇者「父親……」
考古学者「『もしも次の勇者がここに来ることがあれば、この事を伝えてくれ』と」
勇者(……俺と母さんを置いて出て行った、あのクソ親父が?)
考古学者「父親のその後が気になりますか?」
勇者「……何も言わずに出て行ったんだ、どこで野垂れ死んでようが何とも思わん」
考古学者「おやおや、随分と厳しいのですねぇ……」
考古学者「今までの勇者は『力』が象徴でした。あなたの様な非力な勇者など存在しなかった」
勇者「……悪かったな」
考古学者「これでも、褒めているのですよ?」
考古学者「あなたには今までの勇者にない『可能性』を感じますから」
勇者「どういうことだ」
考古学者「勇者と言うのは、基本的に孤高の存在。例外もあったりしますが、基本的に魔王に挑むときは一人でした」
考古学者「しかし、あなたはそうじゃない。なぜなら一人では戦えませんからね、あなた」
勇者「……バカにしてるのか」
考古学者「くくく……さて、どうでしょうね?」
勇者「……」
考古学者「さて、お話したいことは終わりましたし。そろそろ退散させていただきますかね」
考古学者「では勇者さんおやすみなさい。後何日あるかも分からぬ命、どうか大切に……」
考古学者(ふふ……期待していますよ、非力な勇者さん)
考古学者(あなたが、どういう結果を残してくれるのか。今までと同じか、それとも……)
勇者「……行っちまった」
勇者(……なぁ、親父。あんたが魔王を倒したとき、いったいどんな気持ちだったんだ……?)
勇者「……どうすりゃいいんだよ……俺は……」
魔法使い「……もういいだろ!ボクは出るよ!」バタン
氷幼女「おわっと」 僧侶「……怒った?」
氷幼女「ああいう娘はあのぐらいせんとダメじゃろうて」
僧侶「……ふむ」
氷幼女「おぬしはそういうのあんまりなさそうじゃのう」
僧侶「……?」
魔法使い「もう、なんだんだよ!あの二人!」
魔法使い(ボクは勇者が好き、なの?)
魔法使い(そりゃまあ、ほっとけないし……たまにかっこいいときあるけど……)
魔法使い「あ、勇者だ。おーい」タタタ
勇者「……」
魔法使い(……なんだろ、何か様子が変だな)
勇者「ん……ああ。魔法使い、か」
魔法使い「……どうしたのさ、そんな青い顔して」
勇者「……なんでも、ない」
魔法使い「何でも無いわけないだろー?話してみなって」
勇者「……なんでもないって、言ってるだろ!」
魔法使い「え……あ……ぅ」
魔法使い「ご、ごめん……」
勇者「……すまん。今は一人にさせてくれ」
魔法使い「あ、勇者っ……おや、すみ」バタン
魔法使い(……勇者……どうしたんだよ……)
考古学者「あなたは、自分が魔王を倒すことがどういうことか分かっていますか?」
勇者「なんだ、藪から棒に」
考古学者「あなたは、勇者だ。ゆえに、あなたには死が無く戦える」
勇者「……その事を知ってるのか」
考古学者「知っているのが意外ですか?」
勇者「まあ、気味悪がられるからあまり人には言わないし」
勇者「……あんたにも行った覚えはない」
考古学者「……まあそう構えないでください。敵対する気はありませんので」
勇者「お前は一体……」
考古学者「そこも一旦置いておいて。伝えたいことだけ先に伝えさせてください」
考古学者「魔王を倒したら、あなたも死にます」
勇者「……なん、だと?」
考古学者「勇者は、魔王を倒すために死なない肉体を持って生まれてくる」
考古学者「それは加護とも言えるし……ある意味、呪いとも言える」
勇者「……マジ、なのか?」
考古学者「冗談はあまり得意じゃありません」
勇者「なんでお前がそんなことを、知ってるんだ」
考古学者「そりゃまぁ、直接聞きましたから」
勇者「……まさか」
考古学者「そう、先代の勇者……あなたの父親に、ね」
勇者「父親……」
考古学者「『もしも次の勇者がここに来ることがあれば、この事を伝えてくれ』と」
勇者(……俺と母さんを置いて出て行った、あのクソ親父が?)
考古学者「父親のその後が気になりますか?」
勇者「……何も言わずに出て行ったんだ、どこで野垂れ死んでようが何とも思わん」
考古学者「おやおや、随分と厳しいのですねぇ……」
考古学者「今までの勇者は『力』が象徴でした。あなたの様な非力な勇者など存在しなかった」
勇者「……悪かったな」
考古学者「これでも、褒めているのですよ?」
考古学者「あなたには今までの勇者にない『可能性』を感じますから」
勇者「どういうことだ」
考古学者「勇者と言うのは、基本的に孤高の存在。例外もあったりしますが、基本的に魔王に挑むときは一人でした」
考古学者「しかし、あなたはそうじゃない。なぜなら一人では戦えませんからね、あなた」
勇者「……バカにしてるのか」
考古学者「くくく……さて、どうでしょうね?」
勇者「……」
考古学者「さて、お話したいことは終わりましたし。そろそろ退散させていただきますかね」
考古学者「では勇者さんおやすみなさい。後何日あるかも分からぬ命、どうか大切に……」
考古学者(ふふ……期待していますよ、非力な勇者さん)
考古学者(あなたが、どういう結果を残してくれるのか。今までと同じか、それとも……)
勇者「……行っちまった」
勇者(……なぁ、親父。あんたが魔王を倒したとき、いったいどんな気持ちだったんだ……?)
勇者「……どうすりゃいいんだよ……俺は……」
魔法使い「……もういいだろ!ボクは出るよ!」バタン
氷幼女「おわっと」 僧侶「……怒った?」
氷幼女「ああいう娘はあのぐらいせんとダメじゃろうて」
僧侶「……ふむ」
氷幼女「おぬしはそういうのあんまりなさそうじゃのう」
僧侶「……?」
魔法使い「もう、なんだんだよ!あの二人!」
魔法使い(ボクは勇者が好き、なの?)
魔法使い(そりゃまあ、ほっとけないし……たまにかっこいいときあるけど……)
魔法使い「あ、勇者だ。おーい」タタタ
勇者「……」
魔法使い(……なんだろ、何か様子が変だな)
勇者「ん……ああ。魔法使い、か」
魔法使い「……どうしたのさ、そんな青い顔して」
勇者「……なんでも、ない」
魔法使い「何でも無いわけないだろー?話してみなって」
勇者「……なんでもないって、言ってるだろ!」
魔法使い「え……あ……ぅ」
魔法使い「ご、ごめん……」
勇者「……すまん。今は一人にさせてくれ」
魔法使い「あ、勇者っ……おや、すみ」バタン
魔法使い(……勇者……どうしたんだよ……)
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