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勇者「……ってわけだったんだ」
勇者「昨日は黙っててすまんかった。その……心の整理が上手くいかなくてな」
魔法使い「……え、えと……」
氷幼女(……予想以上じゃったな、こりゃ)
僧侶(……なんてこと)
魔法使い「……それで勇者は、さ。どう、するの?」
魔法使い「その、自分が死ぬのに……それでも魔王を倒す、の?」
勇者「……そこだよな、やっぱり」
勇者「ちょっと先に聞きたいんだが、お前らはどうしたい?」
僧侶「……勇者がいなくなるのは……いや」
僧侶「……でも、魔王もなんとかしないと……いけない」
氷幼女「わらわは……別にどっちでもよいわ」
氷幼女「もともと惰性でついて来たのだ。どちらでもついていくだけじゃ」
氷幼女「……まあ、面白い人間が死ぬのは避けたいがの」
魔法使い「……ボクは」
魔法使い「ボクは絶対に、やだ」
魔法使い「勇者が死んじゃうなら……魔王なんて、倒したくない」
魔法使い「最初から分かってたら、絶対止めてた」
勇者「……そうか」
勇者「まぁ、俺の意見はだな……魔王を倒しに行こうと思ってるわけだが」
魔法使い「……っ!」
僧侶「……」
氷幼女「……ほう?」
勇者「俺は勇者だから、やっぱり魔王を放っておくことは出来ない」
勇者「……だけど、これは俺の勝手な意見だ」
勇者「恥ずかしながら、俺は直接戦うことが出来ない……だから」
勇者「無責任に聞こえるかもしれないが……最終的な決定は、お前らに任せたいとも思ってる」
魔法使い「……」
僧侶「……」
氷幼女「……」
勇者「……とりあえず、飯にしようか」
魔法使い「……うん」
僧侶「……」もぐもぐ
氷幼女「……」ごく ごく
勇者「ふぅ、ごちそうさま」
魔法使い「……ごちそうさま」
僧侶「……」カタン
氷幼女「む、どうしたのじゃ」
僧侶「……少し、歩く」バタン
魔法使い「ボクも……ちょっと気持ちがまとまってないから……」バタン
勇者「……」
氷幼女「何を情けない顔しとる。しゃんとせい」
勇者「お、おう……」
僧侶「……」ボー
魔法使い「……僧侶、ちゃん」
僧侶「……魔法使い……」
魔法使い「横、いいかな?」
僧侶「……」コク
魔法使い「……僧侶ちゃんは……どうするの」
僧侶「……私は……」
僧侶「……勇者が行きたいなら、仕方ないと思う」
魔法使い「そっかー……僧侶ちゃんは凄いなー……」
魔法使い「ボクは、そんな風にあっさり決められないよ……」
僧侶「……魔法使いは、勇者が好き?」
魔法使い「……うん、大好きだよ。いなくなるなんて……考えられない」
僧侶「……なら」
僧侶「……そう、伝えればいい」
僧侶「……言葉にしないと、伝わらない」
魔法使い「……」
魔法使い「僧侶ちゃんはどうなの?勇者のこと」
僧侶「……好き」
魔法使い「え、そうなの……?」
僧侶「……だけど、魔法使いの好きとは、少し違う……と思う、から」
僧侶「……勇者のしたいように、して欲しい」
魔法使い「……そんなもん、かなぁ。ボクにはわかんないよ」
僧侶「……人、それぞれ」
魔法使い「僧侶ちゃん、妙に達観してるよね……ボクがバカなだけかな?」
僧侶「……分からない」
氷幼女「しかし、おぬしも強情なやつじゃのう」
勇者「……何がだ」
氷幼女「魔法使いは、おぬしに惚れ込んでおる」
勇者「なんだよ、突然」
氷幼女「まさか、気付いておらん、とは言わんよな?」
勇者「……だから、なんだよ」
氷幼女「何をそんなに魔王を倒したいのじゃ?確かに奴は世界を荒らしておるが……」
氷幼女「別に奴を倒したから全てが解決するわけではない。わらわや森林の王を見たじゃろ」
勇者「……んー」
氷幼女「なんじゃ、煮え切らん男じゃのう!何をうじうじしとるのじゃ!」
勇者「……魔法使いは、普通の人間だ。もちろん僧侶も、な」
勇者「だが……俺は違う。不死身の化け物だ」
勇者「あいつらがおかしいだけだ。普通なら、気味悪がってもおかしくない」
勇者「今までの勇者は知らないが……俺みたいなのは魔王と戦って死ぬからこそ、な気がしてな」
勇者「だから、俺は魔王を倒しに行きたい……それが俺の使命だから」
氷幼女「……」
氷幼女「……」
氷幼女「ば~~っかかおぬしは!?」
氷幼女「勇者だからだの化け物だの使命だのと……何を言い訳しとるんじゃ」
勇者「……言い訳なんかじゃ」
氷幼女「いーや、言い訳じゃ」
氷幼女「わらわは、『勇者様』に聞いておるのでも、『使命を持った男』に聞いてるわけでもない」
氷幼女「『おぬし』が考えた言葉が聞きたいのじゃ」
勇者「俺の、考え……か」
氷幼女「ほれ、何も考えておらんではないか……だからバカじゃと言うのじゃ」
勇者「俺は……どうしたいんだろうな」
氷幼女「そこまではわらわも面倒見切れんな。自分で考えるがよい」
氷幼女(……わらわも外の風当たってくるとするかのう)もぐもぐ
氷幼女(自分の考えを……か。人に言っておきながらわらわ自身もはっきり答えを出しておらんな)
氷幼女「……っと、わらわも随分人間のようにものを考えるようになってしまったものよのう……」くくく
勇者(俺自身が、どうしたいか……か)
勇者(僧侶……魔法使い……あいつらは、どう思ってんだろうか)
勇者(……なさけねぇな、また人に丸投げしようとしてる)
勇者(俺が考えて……決めるんだ)
勇者「昨日は黙っててすまんかった。その……心の整理が上手くいかなくてな」
魔法使い「……え、えと……」
氷幼女(……予想以上じゃったな、こりゃ)
僧侶(……なんてこと)
魔法使い「……それで勇者は、さ。どう、するの?」
魔法使い「その、自分が死ぬのに……それでも魔王を倒す、の?」
勇者「……そこだよな、やっぱり」
勇者「ちょっと先に聞きたいんだが、お前らはどうしたい?」
僧侶「……勇者がいなくなるのは……いや」
僧侶「……でも、魔王もなんとかしないと……いけない」
氷幼女「わらわは……別にどっちでもよいわ」
氷幼女「もともと惰性でついて来たのだ。どちらでもついていくだけじゃ」
氷幼女「……まあ、面白い人間が死ぬのは避けたいがの」
魔法使い「……ボクは」
魔法使い「ボクは絶対に、やだ」
魔法使い「勇者が死んじゃうなら……魔王なんて、倒したくない」
魔法使い「最初から分かってたら、絶対止めてた」
勇者「……そうか」
勇者「まぁ、俺の意見はだな……魔王を倒しに行こうと思ってるわけだが」
魔法使い「……っ!」
僧侶「……」
氷幼女「……ほう?」
勇者「俺は勇者だから、やっぱり魔王を放っておくことは出来ない」
勇者「……だけど、これは俺の勝手な意見だ」
勇者「恥ずかしながら、俺は直接戦うことが出来ない……だから」
勇者「無責任に聞こえるかもしれないが……最終的な決定は、お前らに任せたいとも思ってる」
魔法使い「……」
僧侶「……」
氷幼女「……」
勇者「……とりあえず、飯にしようか」
魔法使い「……うん」
僧侶「……」もぐもぐ
氷幼女「……」ごく ごく
勇者「ふぅ、ごちそうさま」
魔法使い「……ごちそうさま」
僧侶「……」カタン
氷幼女「む、どうしたのじゃ」
僧侶「……少し、歩く」バタン
魔法使い「ボクも……ちょっと気持ちがまとまってないから……」バタン
勇者「……」
氷幼女「何を情けない顔しとる。しゃんとせい」
勇者「お、おう……」
僧侶「……」ボー
魔法使い「……僧侶、ちゃん」
僧侶「……魔法使い……」
魔法使い「横、いいかな?」
僧侶「……」コク
魔法使い「……僧侶ちゃんは……どうするの」
僧侶「……私は……」
僧侶「……勇者が行きたいなら、仕方ないと思う」
魔法使い「そっかー……僧侶ちゃんは凄いなー……」
魔法使い「ボクは、そんな風にあっさり決められないよ……」
僧侶「……魔法使いは、勇者が好き?」
魔法使い「……うん、大好きだよ。いなくなるなんて……考えられない」
僧侶「……なら」
僧侶「……そう、伝えればいい」
僧侶「……言葉にしないと、伝わらない」
魔法使い「……」
魔法使い「僧侶ちゃんはどうなの?勇者のこと」
僧侶「……好き」
魔法使い「え、そうなの……?」
僧侶「……だけど、魔法使いの好きとは、少し違う……と思う、から」
僧侶「……勇者のしたいように、して欲しい」
魔法使い「……そんなもん、かなぁ。ボクにはわかんないよ」
僧侶「……人、それぞれ」
魔法使い「僧侶ちゃん、妙に達観してるよね……ボクがバカなだけかな?」
僧侶「……分からない」
氷幼女「しかし、おぬしも強情なやつじゃのう」
勇者「……何がだ」
氷幼女「魔法使いは、おぬしに惚れ込んでおる」
勇者「なんだよ、突然」
氷幼女「まさか、気付いておらん、とは言わんよな?」
勇者「……だから、なんだよ」
氷幼女「何をそんなに魔王を倒したいのじゃ?確かに奴は世界を荒らしておるが……」
氷幼女「別に奴を倒したから全てが解決するわけではない。わらわや森林の王を見たじゃろ」
勇者「……んー」
氷幼女「なんじゃ、煮え切らん男じゃのう!何をうじうじしとるのじゃ!」
勇者「……魔法使いは、普通の人間だ。もちろん僧侶も、な」
勇者「だが……俺は違う。不死身の化け物だ」
勇者「あいつらがおかしいだけだ。普通なら、気味悪がってもおかしくない」
勇者「今までの勇者は知らないが……俺みたいなのは魔王と戦って死ぬからこそ、な気がしてな」
勇者「だから、俺は魔王を倒しに行きたい……それが俺の使命だから」
氷幼女「……」
氷幼女「……」
氷幼女「ば~~っかかおぬしは!?」
氷幼女「勇者だからだの化け物だの使命だのと……何を言い訳しとるんじゃ」
勇者「……言い訳なんかじゃ」
氷幼女「いーや、言い訳じゃ」
氷幼女「わらわは、『勇者様』に聞いておるのでも、『使命を持った男』に聞いてるわけでもない」
氷幼女「『おぬし』が考えた言葉が聞きたいのじゃ」
勇者「俺の、考え……か」
氷幼女「ほれ、何も考えておらんではないか……だからバカじゃと言うのじゃ」
勇者「俺は……どうしたいんだろうな」
氷幼女「そこまではわらわも面倒見切れんな。自分で考えるがよい」
氷幼女(……わらわも外の風当たってくるとするかのう)もぐもぐ
氷幼女(自分の考えを……か。人に言っておきながらわらわ自身もはっきり答えを出しておらんな)
氷幼女「……っと、わらわも随分人間のようにものを考えるようになってしまったものよのう……」くくく
勇者(俺自身が、どうしたいか……か)
勇者(僧侶……魔法使い……あいつらは、どう思ってんだろうか)
勇者(……なさけねぇな、また人に丸投げしようとしてる)
勇者(俺が考えて……決めるんだ)
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