勇者「その武器重くねぇの?」

ハナミツキ

文字の大きさ
28 / 33

28

しおりを挟む
ヒュウウウウ

勇者「これ……落ちないよな?」

僧侶「……高い」

魔法使い「ひい……ゆ、ゆうしゃぁ……」ぎゅっ

勇者「あー……そういやこういうの苦手だったな、お前」

魔法使い「ぜ、ぜったいにはなさないでね……」

勇者「離さねぇっての」ぎゅ

氷幼女「……なぜ担ぐ。降ろさんか」

考古学者「今落ちられても困りますし」

氷幼女「……ふん」ぎゅっ


勇者「しかし……なんかうまくいき過ぎてる気がするな」

僧侶「……確かに」

氷幼女「あまりに静かすぎるの。見張りがおったわりには」

魔法使い「なんでだろう?」

勇者「まぁ、何があっても進むしかないが」

魔法使い「暗いよ……高いよ……」

僧侶「……なにも、ない……ひま」

考古学者「気楽なものですね。これから待ち受けているのは魔王というのに」

氷幼女「何を今更。気を張っても仕方あるまいて」

考古学者「……クク」

勇者「……見えてきたな」

魔法使い「あれが魔王の城か……」

僧侶「……大きい」

氷幼女「む……」

「ハイジョ ハイジョ ハイジョ ハイジョ」

ぞろぞろぞろ……

勇者「うまくいきすぎてるとは思ってたが……出待ちしてたわけか」

考古学者「これは大変そうだ」

ぞろぞろぞろぞろ……

魔法使い「登ってはこれないみたいだね」

僧侶「……チャンス?」

氷幼女「どうやらそのようじゃな」

魔法使い「それなら……走れ、稲妻!」

バリバリッ

「ピガガー ガガー……」ヒュー ゴロゴロ

魔法使い「少しでも数、減らしておいた方がいいよねっ」

僧侶「……掃討」


勇者「あれは……妙なくぼみがあるな。あそこが終点か?」

氷幼女「ふぅ……やっとか」

僧侶「……入口、見当たらない」

考古学者「このまま降りたら囲まれてしまいますね」

魔法使い「……てぇいやぁっ!」

ドゴーン

魔法使い「……うぅ、ビリビリするぅ……」ジーン

魔法使い「でも、これで道は出来たよっ!」

勇者「……ほんと、お前が敵じゃなくてよかったよ」

僧侶「……同感」

氷幼女「本当は魔物なんじゃないか?おぬし」

「ハイジョー!ハイジョー!」ガシャ ガシャ ガシャ

魔法使い「もう!バカなこと言ってないで……やぁっ!」ドゴン

僧侶「……てあっ!」ガギィン

氷幼女「どけいっ!」ジャララララ ガン

勇者「減らしたはずなのに凄い数だな……」

考古学者「魔王との戦いを考えると、あまり消耗したくないところですね……」

「ハイジョッ!!」

氷幼女「っ!」

勇者「危ない、氷っ!」

氷幼女「……っ!?」

魔法使い「てやぁっ!」

ゴォンッ

魔法使い「無事!?」

氷幼女「あ、あぁ……」

氷幼女(今の魔力は……)

考古学者「……敵の波が緩くなりました。急ぎましょう」


魔法使い「ふぅ、なんとか抜けたね……」

魔物「テキ、カ……ココハトオサン」ガシン ガシン

勇者「……さっきまでのとは雰囲気が違うな」

魔法使い「次から次にキリがないね……」

魔物「フン!」ブゴォン

魔法使い「おっと、当たらないよ!」タァン  

ドゴオオオン

魔法使い「ボクの斧の何倍あるかな?」

僧侶「……でかぶつ」

勇者「一体だけなら、俺の力で……」

氷幼女「……待て、勇者」

勇者「……?」

氷幼女「魔王がどれだけの力を持っているか分からん以上、雑魚相手に浪費は得策じゃなかろう」

勇者「それはそうかもしれないが……」

氷幼女「はよう行けと行っておるんじゃ」

勇者「氷……」

氷幼女「何をボーッとしとるか、ど阿呆!」

勇者「……行くぞ、二人とも!」

魔法使い「……うんっ!氷、無事でねっ!」

僧侶「……頑張って」

魔物「マテッ……!」

氷幼女「余所見をしておる暇があるか?」

魔物「マズハキサマカラ……」

考古学者「……よくある物語だと、死に役がするような行動ですね」

氷女王「ふん……わらわが死ぬわけなかろうぞ」

考古学者「大した自信だ」

氷女王「……何を言っておるか、おぬしがおるからじゃ」

考古学者「……ふふふ」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。 名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。 絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。 運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。 熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。 そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。 これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。 「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」 知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...