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第七章 もう一度
第九十二話 小賢しい道
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俺、ファーリちゃん、ガラテヤ様の三人は、ものの数分で洞窟の最奥へと到着する。
そこには、かつてバグラディが繋がれていたであろう拘束具に加え、数人の囚われていた、おそらくは囚人と思しき人達の遺体が残されていた。
「見つけたわ!おそらく、あの牢の中に、貴方の父親が!」
「父さん!……父さん?」
拘束具の数が死体よりも二つ多いところを見るに、片方はバグラディのものだろうが、もう片方は、かつて父さんが繋がれていたものであろうということが容易に想像できた。
しかし、そこに父さんの姿は見当たらない。
既に、どこかへ連れ去られた後だと言うのだろうか。
或いは、俺達の侵入に気付いた残党が、裏口がどこかから連れ出したとも考えられる。
ここで死んでいる他の囚人達は、抵抗したか不必要と見做されたかで殺されたのだろうか。
「いないね」
「いないわね。天井に穴みたいなものも無いし」
ロディアが幻覚を見せている、或いは幻覚を用いたトラップもしくはカモフラージュを残していた可能性はあるが……。
一体、どこへ行ったのやら。
さっぱり見当がつかない。
「床……変なところある」
しかし、牢獄の床にファーリちゃんが異変を見つけた。
脱出口だろうか、これがどこに繋がっているかは分からないが、明らかに父さんを連れ出した際に用いたことは明白だろう。
「ここは使われたと思って間違いなさそうだけど……どこに繋がってるのかしらね?」
「こんな洞窟に地下……?」
「……っ!?」
ファーリちゃんが鉄格子へ顔を近づけた瞬間に、悪寒が走った。
「ん?どう……」
「そこだッ!」
そしてファーリちゃんが振り返る前に、背後へ向いて一突き。
「おおっと。伊達に一度殺されてない……ね……」
すると、何も無かったハズの空間から現れた、ロディアの分身と思しき闇の塊が一瞬で灰と化す。
それと共に、牢も、鉄格子も、地下への穴らしきものも消滅し、牢の奥へ道が現れた。
あれがおそらく、本来続いている洞窟の先だろう。
「ふぅ。危ないところだった」
「よく気づいたわね。私の目の前にいたハズなのに……見えなかったわ……」
「やっぱり、ロディアはまだ幻術を使っていると考えて間違い無いと思います。アイツがそこまで高度なことを出来るなら、ですけど……。俺達が見ている世界は、少しずつそれぞれ違っている可能性だってあるかもしれません」
「そんなことされたら、流石においら達の負けみたいなものかも」
「ああ。でも、俺もガラテヤ様もファーリちゃんも、『地下への穴らしきもの』は見えていた。だから、少なくとも『三人に全く違う景色を見せ続ける』ことは出来ないんだと思う」
「そうね。私達の中で特に反応が噛み合わなかったのは、貴方の背後にいるロディアに対してだけだものね」
俺の前で牢の中を覗いていたファーリちゃんは、俺の背後のことなど、分からなくて当然だ。
それに対して、ガラテヤ様は俺の後ろを歩いているのに、俺に背後から忍び寄っていたロディアの分身に気づけていない。
特に、俺とガラテヤ様は身体的な繋がりを持ち続けているにもかかわらず、見ている景色が違った。
違う景色が見えてしまう理由が、魂では無いのだろうということは判明したが……謎はますます深まるばかりである。
しかし、牢の設備一式が消えて洞窟の奥が見えるようになったのは三人とも認識できていた。
これは、術が解かれたと考えて間違い無いだろう。
洞窟の奥が見えたは良いが、これで視界が必ずしも信じられるとは限らなくなってしまった。
ロディアが、ここまで回りくどいことをしてまで一体俺達に近づいているのは、何故なのか。
俺達は少しずつ、その真相へ迫ろうとしているのであった。
そこには、かつてバグラディが繋がれていたであろう拘束具に加え、数人の囚われていた、おそらくは囚人と思しき人達の遺体が残されていた。
「見つけたわ!おそらく、あの牢の中に、貴方の父親が!」
「父さん!……父さん?」
拘束具の数が死体よりも二つ多いところを見るに、片方はバグラディのものだろうが、もう片方は、かつて父さんが繋がれていたものであろうということが容易に想像できた。
しかし、そこに父さんの姿は見当たらない。
既に、どこかへ連れ去られた後だと言うのだろうか。
或いは、俺達の侵入に気付いた残党が、裏口がどこかから連れ出したとも考えられる。
ここで死んでいる他の囚人達は、抵抗したか不必要と見做されたかで殺されたのだろうか。
「いないね」
「いないわね。天井に穴みたいなものも無いし」
ロディアが幻覚を見せている、或いは幻覚を用いたトラップもしくはカモフラージュを残していた可能性はあるが……。
一体、どこへ行ったのやら。
さっぱり見当がつかない。
「床……変なところある」
しかし、牢獄の床にファーリちゃんが異変を見つけた。
脱出口だろうか、これがどこに繋がっているかは分からないが、明らかに父さんを連れ出した際に用いたことは明白だろう。
「ここは使われたと思って間違いなさそうだけど……どこに繋がってるのかしらね?」
「こんな洞窟に地下……?」
「……っ!?」
ファーリちゃんが鉄格子へ顔を近づけた瞬間に、悪寒が走った。
「ん?どう……」
「そこだッ!」
そしてファーリちゃんが振り返る前に、背後へ向いて一突き。
「おおっと。伊達に一度殺されてない……ね……」
すると、何も無かったハズの空間から現れた、ロディアの分身と思しき闇の塊が一瞬で灰と化す。
それと共に、牢も、鉄格子も、地下への穴らしきものも消滅し、牢の奥へ道が現れた。
あれがおそらく、本来続いている洞窟の先だろう。
「ふぅ。危ないところだった」
「よく気づいたわね。私の目の前にいたハズなのに……見えなかったわ……」
「やっぱり、ロディアはまだ幻術を使っていると考えて間違い無いと思います。アイツがそこまで高度なことを出来るなら、ですけど……。俺達が見ている世界は、少しずつそれぞれ違っている可能性だってあるかもしれません」
「そんなことされたら、流石においら達の負けみたいなものかも」
「ああ。でも、俺もガラテヤ様もファーリちゃんも、『地下への穴らしきもの』は見えていた。だから、少なくとも『三人に全く違う景色を見せ続ける』ことは出来ないんだと思う」
「そうね。私達の中で特に反応が噛み合わなかったのは、貴方の背後にいるロディアに対してだけだものね」
俺の前で牢の中を覗いていたファーリちゃんは、俺の背後のことなど、分からなくて当然だ。
それに対して、ガラテヤ様は俺の後ろを歩いているのに、俺に背後から忍び寄っていたロディアの分身に気づけていない。
特に、俺とガラテヤ様は身体的な繋がりを持ち続けているにもかかわらず、見ている景色が違った。
違う景色が見えてしまう理由が、魂では無いのだろうということは判明したが……謎はますます深まるばかりである。
しかし、牢の設備一式が消えて洞窟の奥が見えるようになったのは三人とも認識できていた。
これは、術が解かれたと考えて間違い無いだろう。
洞窟の奥が見えたは良いが、これで視界が必ずしも信じられるとは限らなくなってしまった。
ロディアが、ここまで回りくどいことをしてまで一体俺達に近づいているのは、何故なのか。
俺達は少しずつ、その真相へ迫ろうとしているのであった。
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