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第九章 在るべき姿の世界
第百二十八話 未来、或いは過去の力 その一
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石碑が変形して現れた戦闘用ロボット、俺達が石碑ビットと呼ぶことにしたそれは、合体や分裂を繰り返し、時には巨大な人型ロボットになり、時には小型の魔力砲台となり、俺達に攻撃を仕掛けてきた。
秘密に迫った人間を排除するためか、それとも趣味が良いデザインの兵器からお出しされる趣味の良くない悪戯か、しかしとにかく、それが今のこの世界においては正規のものとして使われていない技術を使って生み出されたものであるということは確かであった。
「せいっ。やっ。……多いね、石の数。どんどん出てくる」
「キリが無いわね……!ふぅぅぅ……ハァッ!【殺抜】!」
「どんだけ壊しゃあ終わりやがる……!」
単純な軌道から飛んでくる魔力弾は、炎やら水やらではない、何にも変換されていない純粋な魔力ではあるが、次から次へと十数単位で増えていくそれらを前に、俺達は防御と回避を主体とした戦闘をこなしつつ、カウンターで一機ずつ石碑ビットを壊していくしかできない。
「くっ!避けるだけで精一杯だ……!」
「ジィン、どう?攻撃は当てられそう?」
そして俺はというと、どうやらそれが服や刀まで、全て石碑ビットをすり抜けてしまっていた。
「……無理そうです!すいません、肝心な時に」
「そ、そう……仕方ないわ。私達だけでやりましょう!」
「ああ。気にする必要は無いぞ、ジィン!はっ!仲間とは!こういう時の、ために!はぁ!いるのだからな!受けてみろ、【オーガー・エッジ】!」
「ん。ジィンお兄ちゃんの分まで、がんばる」
「チッ!肝心な時に使えねェなァ、騎士サンはよォ!」
「ガラテヤ様も、マーズさんも、ファーリちゃんもありがとう。……あとバグラディ!お前オバケから戻ったら覚えとけよマジで」
「おお上等だやってやろうじゃあねェかァ!」
「ケンカしてる場合じゃない。あれ、見て」
「何だチビ……ハァ?」
「石碑が…‥組み合わさっていくぞ……」
今までの石碑同士が一時的に寄り添って、魔力のビームを放つことはあった。
しかし、そうこうしている内にみるみる組み上げられていくのは、まさに巨人と言うに相応しい、高さ七メートルは超えるであろう人型のロボット……石碑ゴーレムとでも呼んでおこうか。
「私が何とかするわ、皆はビットを!」
「ん、お願い」
ガラテヤ様は拳に風を纏わせ、石碑ゴーレムへと突撃、高く飛び上がって胸部へ右の拳を捩じ込もうとする。
しかし。
「か、硬い……!きゃっ!」
「ガラテヤ様!」
その攻撃は全く効いていないようであり、ガラテヤ様はそのまま吹き飛ばされてしまった。
しかし何とか、俺がガラテヤ様の落下点を予測し、その身体を受け止めたことで、事なきを得た。
「あ、ありがとう、ジィン」
「いえいえ。そういえば、ガラテヤ様は透けないんですね」
魂の関係としても、ガラテヤ様は俺のご主人様だからだろうか。
本来は透明化している使い魔であっても、使用者には触ることができるというような……そういうものなのかもしれない。
それを理解できたことは今、ガラテヤ様が無事に着地したと近しいほどの幸運であった。
そしてもう一つ、ガラテヤ様を受け止めるために雪へ倒れ込むような姿勢をとった時に、気づいたことがある。
ナナシちゃんの剣だけは、俺が持ち、そして透けずに使うことができる。
「ジィン、何を……?」
「ハァァァァァッ!」
これは好機かもしれないと、俺はナナシちゃんの刀を構え、ビットへ斬りかかるのであった。
秘密に迫った人間を排除するためか、それとも趣味が良いデザインの兵器からお出しされる趣味の良くない悪戯か、しかしとにかく、それが今のこの世界においては正規のものとして使われていない技術を使って生み出されたものであるということは確かであった。
「せいっ。やっ。……多いね、石の数。どんどん出てくる」
「キリが無いわね……!ふぅぅぅ……ハァッ!【殺抜】!」
「どんだけ壊しゃあ終わりやがる……!」
単純な軌道から飛んでくる魔力弾は、炎やら水やらではない、何にも変換されていない純粋な魔力ではあるが、次から次へと十数単位で増えていくそれらを前に、俺達は防御と回避を主体とした戦闘をこなしつつ、カウンターで一機ずつ石碑ビットを壊していくしかできない。
「くっ!避けるだけで精一杯だ……!」
「ジィン、どう?攻撃は当てられそう?」
そして俺はというと、どうやらそれが服や刀まで、全て石碑ビットをすり抜けてしまっていた。
「……無理そうです!すいません、肝心な時に」
「そ、そう……仕方ないわ。私達だけでやりましょう!」
「ああ。気にする必要は無いぞ、ジィン!はっ!仲間とは!こういう時の、ために!はぁ!いるのだからな!受けてみろ、【オーガー・エッジ】!」
「ん。ジィンお兄ちゃんの分まで、がんばる」
「チッ!肝心な時に使えねェなァ、騎士サンはよォ!」
「ガラテヤ様も、マーズさんも、ファーリちゃんもありがとう。……あとバグラディ!お前オバケから戻ったら覚えとけよマジで」
「おお上等だやってやろうじゃあねェかァ!」
「ケンカしてる場合じゃない。あれ、見て」
「何だチビ……ハァ?」
「石碑が…‥組み合わさっていくぞ……」
今までの石碑同士が一時的に寄り添って、魔力のビームを放つことはあった。
しかし、そうこうしている内にみるみる組み上げられていくのは、まさに巨人と言うに相応しい、高さ七メートルは超えるであろう人型のロボット……石碑ゴーレムとでも呼んでおこうか。
「私が何とかするわ、皆はビットを!」
「ん、お願い」
ガラテヤ様は拳に風を纏わせ、石碑ゴーレムへと突撃、高く飛び上がって胸部へ右の拳を捩じ込もうとする。
しかし。
「か、硬い……!きゃっ!」
「ガラテヤ様!」
その攻撃は全く効いていないようであり、ガラテヤ様はそのまま吹き飛ばされてしまった。
しかし何とか、俺がガラテヤ様の落下点を予測し、その身体を受け止めたことで、事なきを得た。
「あ、ありがとう、ジィン」
「いえいえ。そういえば、ガラテヤ様は透けないんですね」
魂の関係としても、ガラテヤ様は俺のご主人様だからだろうか。
本来は透明化している使い魔であっても、使用者には触ることができるというような……そういうものなのかもしれない。
それを理解できたことは今、ガラテヤ様が無事に着地したと近しいほどの幸運であった。
そしてもう一つ、ガラテヤ様を受け止めるために雪へ倒れ込むような姿勢をとった時に、気づいたことがある。
ナナシちゃんの剣だけは、俺が持ち、そして透けずに使うことができる。
「ジィン、何を……?」
「ハァァァァァッ!」
これは好機かもしれないと、俺はナナシちゃんの刀を構え、ビットへ斬りかかるのであった。
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