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終章 ガラテヤの騎士、ジィン
第百五十三話 彼方よりの訪れ
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「はぁ、はぁ……私、皆みたいに戦闘員じゃ無いからかしら。ちょっと疲れちゃったわ」
しかし、中々に塔の階段は結構な段数であり、頂上へ辿り着く頃には、メイラークム先生の息は、すっかり上がってしまっているようであった。
「ふぅ、ふぅ……私も若かりし頃から戦闘は続けておりますが、中々、堪えるものですな。主に腰に」
そしてムーア先生も老いには勝てないのか、腰にダメージが蓄積しているようだ。
「あら。いくら相手が騎士とはいえ、私の身体、おじいちゃんと同じくらいってこと?失礼しちゃうわ」
「ホッホッホ。ここまで登れていれば大したものですぞ」
高さにして、ざっくりとビルの七階程度だろうか。
しかし、普段は戦わないのに、息切れした程度でこの高さまで耐えているメイラークム先生と、痛めてはいるもののギックリ腰になっていないムーア先生は、十分元気だと思うのは俺だけだろうか。
前世の肉体であったら、俺も間違いなく息を切らしていただろう。
スタミナは、やはりつけておくべきだと実感する。
一列になって階段を登った先、皆で辿り着くは、塔の頂上。
窓から身を乗り出すと、王都とその周辺が一望できた。
「ねぇねぇジィン。ここ、デートスポットに良いんじゃないかしら?」
「ンなこと言ってる場合ですか」
「ちぇっ、釣れないんだから」
「まあ言わんとしてることは分かりますけど。騒動がひと段落したら、二人で来ます?」
「ふん、そうね。貴方が覚えててくれたならね」
「覚えてますとも、ええ、ホントに。マジで」
「さあ、どうかしら。ふんっ」
ガラテヤ様、ご立腹。
……或いはご乱心である。
ぷいっ、とそっぽを向くガラテヤ様をよそに、メイラークム先生が何かを見つけた。
「ねぇ……ちょっと南の方、何か山の奥に光が見えないかしら?」
「えっ、何々?サニラちゃん、どこどこ?」
「あそこよ、アン。ほら、三つある山の右と真ん中の間」
二人は遠征の間にすっかり仲良くなったらしく、お互いに下の名前……この世界では上の名前だが、つまりは名字でもミドルネームでもない名前で互いを呼び合っている。
そして、メイラークム先生が指差した先には、我らがベルメリア領へ降る光の柱。
もとい、ビームのようなもの。
「あっちって……私の家の近く……?」
「みたいですね……ベルメリア領で、何かが起きてるのか……?」
「みんな……!大丈夫かな……」
ベルメリア領は、国の端に近い場所にある。
しかし、それでも確実に俺とガラテヤ様が住んでいた屋敷に近い場所だと分かる。
「行きましょう。いや、帰りましょう。俺達が育った場所へ」
「そうね。こんな状況で、初めての里帰りをすることになるとは思っていなかったけど」
「ん。……二人の実家。たのしみ。時間止まってるけど」
「そうと決まれば、すぐに出発しましょう。馬車は……馬が動けないので使えませんな」
「徒歩ね。物資は……買い物もできないから、ありったけの貯蓄を吐き出すしか無いわね」
「了解したわ!物資が手に入らない時に備えて、たっぷり用意してたのよ!」
「では、各々物資を持って来次第、再び噴水前に集合しましょうか」
俺達は塔を下り、各々持てる限りの物資を持って、噴水前へ。
物資については、馬車の代わりに人力車を二つ持ち出し、交代で持って行くことにした。
これより向かうは、ガラテヤ様であり、そして今となっては俺の実家。
悪魔が祓われた今、考えられる原因は一つ。
調子に乗った、俺よりもさらに老いぼれた爺さんに、お灸を据えてやる時が来たのかもしれない。
しかし、中々に塔の階段は結構な段数であり、頂上へ辿り着く頃には、メイラークム先生の息は、すっかり上がってしまっているようであった。
「ふぅ、ふぅ……私も若かりし頃から戦闘は続けておりますが、中々、堪えるものですな。主に腰に」
そしてムーア先生も老いには勝てないのか、腰にダメージが蓄積しているようだ。
「あら。いくら相手が騎士とはいえ、私の身体、おじいちゃんと同じくらいってこと?失礼しちゃうわ」
「ホッホッホ。ここまで登れていれば大したものですぞ」
高さにして、ざっくりとビルの七階程度だろうか。
しかし、普段は戦わないのに、息切れした程度でこの高さまで耐えているメイラークム先生と、痛めてはいるもののギックリ腰になっていないムーア先生は、十分元気だと思うのは俺だけだろうか。
前世の肉体であったら、俺も間違いなく息を切らしていただろう。
スタミナは、やはりつけておくべきだと実感する。
一列になって階段を登った先、皆で辿り着くは、塔の頂上。
窓から身を乗り出すと、王都とその周辺が一望できた。
「ねぇねぇジィン。ここ、デートスポットに良いんじゃないかしら?」
「ンなこと言ってる場合ですか」
「ちぇっ、釣れないんだから」
「まあ言わんとしてることは分かりますけど。騒動がひと段落したら、二人で来ます?」
「ふん、そうね。貴方が覚えててくれたならね」
「覚えてますとも、ええ、ホントに。マジで」
「さあ、どうかしら。ふんっ」
ガラテヤ様、ご立腹。
……或いはご乱心である。
ぷいっ、とそっぽを向くガラテヤ様をよそに、メイラークム先生が何かを見つけた。
「ねぇ……ちょっと南の方、何か山の奥に光が見えないかしら?」
「えっ、何々?サニラちゃん、どこどこ?」
「あそこよ、アン。ほら、三つある山の右と真ん中の間」
二人は遠征の間にすっかり仲良くなったらしく、お互いに下の名前……この世界では上の名前だが、つまりは名字でもミドルネームでもない名前で互いを呼び合っている。
そして、メイラークム先生が指差した先には、我らがベルメリア領へ降る光の柱。
もとい、ビームのようなもの。
「あっちって……私の家の近く……?」
「みたいですね……ベルメリア領で、何かが起きてるのか……?」
「みんな……!大丈夫かな……」
ベルメリア領は、国の端に近い場所にある。
しかし、それでも確実に俺とガラテヤ様が住んでいた屋敷に近い場所だと分かる。
「行きましょう。いや、帰りましょう。俺達が育った場所へ」
「そうね。こんな状況で、初めての里帰りをすることになるとは思っていなかったけど」
「ん。……二人の実家。たのしみ。時間止まってるけど」
「そうと決まれば、すぐに出発しましょう。馬車は……馬が動けないので使えませんな」
「徒歩ね。物資は……買い物もできないから、ありったけの貯蓄を吐き出すしか無いわね」
「了解したわ!物資が手に入らない時に備えて、たっぷり用意してたのよ!」
「では、各々物資を持って来次第、再び噴水前に集合しましょうか」
俺達は塔を下り、各々持てる限りの物資を持って、噴水前へ。
物資については、馬車の代わりに人力車を二つ持ち出し、交代で持って行くことにした。
これより向かうは、ガラテヤ様であり、そして今となっては俺の実家。
悪魔が祓われた今、考えられる原因は一つ。
調子に乗った、俺よりもさらに老いぼれた爺さんに、お灸を据えてやる時が来たのかもしれない。
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