花結びの剪定者

右島咲多

文字の大きさ
1 / 5

プロローグ

しおりを挟む
「開花_香雪こうせつ
優しく透き通った声が戦場で聞こえた。
警報が耳朶を打つ。静まり返った夜の街に緊急事態を告げるディスプレイが空間のいたるところに出現し辺りを埋め尽くす。逃げ惑う人々の足音が大地を揺らし、悲鳴が空気を震わせた。
瓦礫となった家屋の残骸が地面に散乱し、立ち込める砂煙は人々の足元を覆う。
その中心に佇んでいる者。この騒動の元凶。周囲の建物をを優に越える高さ。巨大な緑の怪物がそこにいた。
怪物は見下ろす。蜘蛛の子を散らすように逃げる人々。見下ろすその目はディスプレイの光に照らされて赤く光る。
「◆×#,&&●◆───!!」
怪物の雄叫びがどよめき環境音を上書きする。その重低音は人々の恐怖心をよりかりたたせた。
その場にいる誰もが思う。あの巨体な生物が道端に生えている雑草と同じ植物●●だと誰が想像できるだろう。
「なんだ…あれは…?」
目の前の光景に唖然とし、少年は呟く。怪物の建物を越すその大きさに圧倒された。脳を揺らす雄叫びに当てられ思考が止まった。───いや、違う。その問いは目の前にいる怪物に向けられたものではなかった。少年と怪物との間を隔てるように立つ、少女に向けてのものだった。
「…。」
銀世界を思わせるような純白の髪。肩の上で柔らかに毛先が揺れる。手には月明かりに照らされ青白く光る刃を携えていた。端然と佇む少女の周りを花びらが舞い、その可憐さを引き立たせる。
危機的状況なのにも関わらず、その美しさに少年は目を奪われた。
少女は静かに言葉を紡ぐ。
「これより剪定を開始します」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

恋愛リベンジャーズ

廣瀬純七
SF
過去に戻って恋愛をやり直そうとした男が恋愛する相手の女性になってしまった物語

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...