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安心できる場所
しおりを挟むようやく都で解放され、家に帰ると、ミドリノユビはまず鶏に餌をやった。予定より帰りが遅くなったので、周囲の草はずいぶん食べられ、お腹がすいていたのだろう。餌箱に穀物を入れるや、鶏たちは夢中でつつきだした。
「ごめんよ。もうこんなことがないように、給餌装置を作るよ」
そのあいだにサクヤがモチヅキにブラシをかけてやっていた。
モチヅキの世話を終えたサクヤが寝室に顔を出すと、ベッドに寝転がったミドリノユビは隣りをぽんぽんと叩きいた。
横に来た細い体を抱きしめて、サラサラの髪やふさふさの耳に頬ずりすると、ミドリノユビはほーっと息をついた。
「家でサクヤとこうしていると一番回復するよ」
長い尻尾がミドリノユビの足を巻くように、すりっと寄り添った。その感触にミドリノユビは微笑む。
「サクヤが無事でよかった。わたしも魔石の首輪をつけた方がいいかもしれない」
「人間は首輪じゃなくて、ペンダントです」
「うん。おそろいのにしよう。サクヤのを買ったときはたまたま同じ店に掘り出し物のシトリンがあったけど、同じくらいの品質の石が手に入るよう、店に頼んでおこう」
「そんないいものだったんですか! た、高いんですよね?」
首元についているため、自分で見る機会がなく、知らずに高価な魔石を身に着けていたことにサクヤは仰天した。
「知りませんでした。前のマスターのところでは屋敷から出ることがなかったので、首輪に魔石をつける必要もありませんでしたし…」
「一度も外に出してもらえなかったの? その方が安全か。わたしはサクヤに農作業を手伝わせたり、お使いに出したりするひどい主人だからね」
田舎町の子供に珍しさから叫ばれたし、サクヤは長く歩くのが苦手で、田舎ではお使いに出すことはなかったが、都ではちょっとした買い物を頼んだりする。
「お役に立てたらその方がいいです。でも、魔石の価値に見合うほどお役に立っているとは…。安い魔石でよかったのでは?」
「高い魔石にはその価値があるんだよ。実際役に立ったし。それに、いい魔石をつけているネコは主人もそれなりの人物だから、ネコをおろそかにすると主人の不興を買うかもしれないって、周りが思ってくれる。サクヤだけでお使いに行くときも困らない」
その魔法使いは自分の格好には無頓着だが。
都で治療師が治療を渋ったとき、首輪を見て態度を変えたのをサクヤは思い出した。
「…これは本当にお守りだったんですね。マスターは、本当に、僕を守ってくれていたんですね」
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