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第一章 旅立ちと道草
【第4話】一通の手紙
次の街、カルドス村に着いたのは夕刻じゃった。
小さいが活気のある村で、広場では夕市が立ち、子どもたちが石畳の上を駆け回り、酒場からは賑やかな歌声が聞こえてきておった。果物売りの老婆が「いらっしゃい!」と声を上げ、鍛冶屋の槌の音が夕暮れに響いておる。石畳の道が傾いた陽光に橙色に染まって、なかなか良い村じゃ。王都の喧騒とは違う、素朴な温かさがある。
わしはまず宿を探すことにした。
村の中ほどに「旅人亭」という看板の宿屋を見つけ、扉を押す。ドアベルが軽やかに鳴った。
「いらっしゃいませ! 本日はお一人様で——」
受付の若い娘が、わしの顔を見た瞬間に言葉を飲み込んだ。
シルヴァーを見た。ルーンを見た。わしの腰の銀の杖を見た。白髪をまとめた頭を見た。再びわしの顔を見た。
みるみるうちに顔が青くなり、赤くなり、引きつった愛想笑いになった。
「あ、あの……もしかして……アルカナ魔法学院の……」
「元院長じゃ。今日付けで退職した。一晩泊めてもらえるか」
「は、はひっ! もちろんでございますっ! うちの最上の部屋をすぐにご用意します! お代は——」
「お代はちゃんと払う」
わしはきっぱり言った。
「ただの旅人じゃ。特別扱いは要らん。普通に頼む」
「は、はあ……」
娘は落ち着かない様子のまま、わしを部屋へと案内した。廊下を歩く間も、ちらちらとわしの顔を盗み見ておる。
「そんなに怖い顔をしておるか、わしは」
「い、いえ! そんなことはっ! ただその……有名な方が来てくださって、光栄といいますか、緊張といいますか……」
「ただの老婆じゃ。気にせんでよい」
娘はおずおずと微笑んだ。少し肩の力が抜けたようじゃ。
通された部屋はこぢんまりとしていたが、清潔で居心地が良かった。窓から村の広場が見える。夕日が沈んでいく空が橙色に染まっておった。夕市の声がかすかに聞こえる。
悪くない宿じゃ。三百年間、院長室という同じ部屋で寝起きしてきたわしには、こういう見知らぬ宿の部屋というのが、かえって新鮮じゃ。
夕飯を頼み、ルーンに干し魚を二匹分頼み、シルヴァーには窓から外に出る許可を与えた。
しばらくして届いた夕飯は、根野菜のシチューとパンと焼いた野菜じゃった。素朴じゃが、ちゃんと手間をかけた味じゃ。シチューには芋と人参と玉葱がごろごろ入っており、肉も柔らかく煮えておる。旅の初日の夕飯としては申し分ない。
ルーンは干し魚を二匹ぺろりと平らげ、さっさと枕の上で丸くなって眠り始めた。
「相変わらず気楽な奴じゃ」
わしはひとりでシチューをすすりながら、窓の外を眺めた。広場の夕市がそろそろ店仕舞いの時刻じゃ。子どもたちが家へ呼ばれる声がする。酒場の歌声が一段と賑やかになってきた。村人たちが一日の仕事を終えて、思い思いに夜を過ごしておる。
こういう景色を、わしはどれだけ見てこなかったことか。学院にいたころは夜になれば書類仕事か研究で、窓の外に目をやることすら忘れておった。
悪くないのう、旅というのは。
シチューを食べ終えて、ひとつため息をついた。
道に迷い、馬車に逃げられ、盗賊を退治し、宿に着いたらもう夕暮れ時じゃ。旅の初日というのは、なんやかんや忙しいものじゃな。
そうして、わしは鞄の奥に手を伸ばした。
旅立つ前日に届いた、一通の手紙。
学院の執務室の机の上に、退職前日の夕方、ひっそりと置かれておった。差出人の名前を見た瞬間、わしは「おお、この子から珍しい」と思うたものじゃ。それからすぐオズワルドに呼ばれて、退職の引継ぎやら最後の挨拶やら送別会やらでばたばたとして——気づいたら鞄に突っ込んだまま今日になっておった。
差出人の名前を見て、わしは少し胸が温かくなった。
同時に——ほんの少しじゃが——嫌な予感もした。
あの娘が、手紙など寄越すのは珍しかった。卒業後も年に一度、近況を知らせる便りは来ておったが、いつも短く「元気にやっています。先生もお体に気をつけてください」程度のものじゃった。それが今回はずいぶん分厚い。何かあったのじゃろうか、と思いながら封を切った。
封を切る。読む。
読み終えて、わしはゆっくりと手紙を畳んだ。
シルヴァーが窓から戻ってきて、不思議そうにわしの顔を覗き込んできた。ルーンが枕の上で片目を開けた。
「どうやらのんびり旅というわけにもいかんようじゃな」
手紙にはこう書かれておった。
『 先生、助けてください。
わたしは今、東の国境近く、ヴァルドス領の村に閉じ込められています。
領主のラドヴィッヒ男爵が、村人たちから不当な重税を取り立て、逃げようとした者を捕らえ、魔法使いを奴隷として働かせています。
先日、わたしも捕まりました。今は男爵の館で軟禁状態です。
王国への訴えも握り潰されているようで、誰も助けに来てくれません。
どうか、来てください。
先生なら、きっと何とかしてくださると信じています。
アナベル・ローウェン より 』
アナベル・ローウェン。
わしが院長を務めた最後の二十年で、最も目をかけた教え子のひとりじゃ。水魔法の才能は群を抜いており、卒業後は故郷の東部に戻って村の魔法師として働いておると聞いておった。
明るくて、真面目で、困った人を放っておけない娘じゃ。学院でも後輩の面倒をよく見て、弱い者いじめには真っ向から立ち向かって——そのせいで何度か生傷を作って帰ってきたこともある。
そういう娘だからこそ、捕まったのじゃろう。きっと村人たちを守ろうとして、立ち向かって、そして数と力で押し込められたのじゃ。
男爵が村人を搾取し、魔法使いを奴隷として使っておる。王国への訴えも握り潰されておる。
腐っておるのう。
地図を広げる。ヴァルドス領はここから東へ四日ほどの道のりじゃ。
「行くか」
シルヴァーが高らかに鳴いた。ルーンが枕から飛び降り、しっぽをぴんと立てた。
定年退職の翌日から、どうもわしは隠居向きの性格ではないらしい。
まあ、そんなことは三百五十年の人生でとっくに分かっておったことじゃが。
窓の外は、すっかり暮れていた。夕市の喧騒も収まり、遠くの酒場だけがまだ灯りをともしておる。星がひとつ、またひとつと夜空に瞬き始めておった。
わしは手紙をもう一度だけ見た。几帳面で、少し細かい、アナベルらしい文字じゃ。
「待っておれ、アナベル。今行くからな」
さて、ラドヴィッヒ男爵とやら——
わしが行くまで、せいぜい威張り散らしておくがよいぞ。
それができるのも、あと四日じゃからのう。
――第4話 了――
【次話予告】
翌朝、宿を出ようとしたわしの前に立ちはだかったのは、村長の手下を名乗る男だった。
「この村を通るには通行料が必要だ。魔法使いは特別料金、五千セリカ払え」
法外な金額をふっかけてくる小悪党め。
……ほう、そうか。やってみよ。
小さいが活気のある村で、広場では夕市が立ち、子どもたちが石畳の上を駆け回り、酒場からは賑やかな歌声が聞こえてきておった。果物売りの老婆が「いらっしゃい!」と声を上げ、鍛冶屋の槌の音が夕暮れに響いておる。石畳の道が傾いた陽光に橙色に染まって、なかなか良い村じゃ。王都の喧騒とは違う、素朴な温かさがある。
わしはまず宿を探すことにした。
村の中ほどに「旅人亭」という看板の宿屋を見つけ、扉を押す。ドアベルが軽やかに鳴った。
「いらっしゃいませ! 本日はお一人様で——」
受付の若い娘が、わしの顔を見た瞬間に言葉を飲み込んだ。
シルヴァーを見た。ルーンを見た。わしの腰の銀の杖を見た。白髪をまとめた頭を見た。再びわしの顔を見た。
みるみるうちに顔が青くなり、赤くなり、引きつった愛想笑いになった。
「あ、あの……もしかして……アルカナ魔法学院の……」
「元院長じゃ。今日付けで退職した。一晩泊めてもらえるか」
「は、はひっ! もちろんでございますっ! うちの最上の部屋をすぐにご用意します! お代は——」
「お代はちゃんと払う」
わしはきっぱり言った。
「ただの旅人じゃ。特別扱いは要らん。普通に頼む」
「は、はあ……」
娘は落ち着かない様子のまま、わしを部屋へと案内した。廊下を歩く間も、ちらちらとわしの顔を盗み見ておる。
「そんなに怖い顔をしておるか、わしは」
「い、いえ! そんなことはっ! ただその……有名な方が来てくださって、光栄といいますか、緊張といいますか……」
「ただの老婆じゃ。気にせんでよい」
娘はおずおずと微笑んだ。少し肩の力が抜けたようじゃ。
通された部屋はこぢんまりとしていたが、清潔で居心地が良かった。窓から村の広場が見える。夕日が沈んでいく空が橙色に染まっておった。夕市の声がかすかに聞こえる。
悪くない宿じゃ。三百年間、院長室という同じ部屋で寝起きしてきたわしには、こういう見知らぬ宿の部屋というのが、かえって新鮮じゃ。
夕飯を頼み、ルーンに干し魚を二匹分頼み、シルヴァーには窓から外に出る許可を与えた。
しばらくして届いた夕飯は、根野菜のシチューとパンと焼いた野菜じゃった。素朴じゃが、ちゃんと手間をかけた味じゃ。シチューには芋と人参と玉葱がごろごろ入っており、肉も柔らかく煮えておる。旅の初日の夕飯としては申し分ない。
ルーンは干し魚を二匹ぺろりと平らげ、さっさと枕の上で丸くなって眠り始めた。
「相変わらず気楽な奴じゃ」
わしはひとりでシチューをすすりながら、窓の外を眺めた。広場の夕市がそろそろ店仕舞いの時刻じゃ。子どもたちが家へ呼ばれる声がする。酒場の歌声が一段と賑やかになってきた。村人たちが一日の仕事を終えて、思い思いに夜を過ごしておる。
こういう景色を、わしはどれだけ見てこなかったことか。学院にいたころは夜になれば書類仕事か研究で、窓の外に目をやることすら忘れておった。
悪くないのう、旅というのは。
シチューを食べ終えて、ひとつため息をついた。
道に迷い、馬車に逃げられ、盗賊を退治し、宿に着いたらもう夕暮れ時じゃ。旅の初日というのは、なんやかんや忙しいものじゃな。
そうして、わしは鞄の奥に手を伸ばした。
旅立つ前日に届いた、一通の手紙。
学院の執務室の机の上に、退職前日の夕方、ひっそりと置かれておった。差出人の名前を見た瞬間、わしは「おお、この子から珍しい」と思うたものじゃ。それからすぐオズワルドに呼ばれて、退職の引継ぎやら最後の挨拶やら送別会やらでばたばたとして——気づいたら鞄に突っ込んだまま今日になっておった。
差出人の名前を見て、わしは少し胸が温かくなった。
同時に——ほんの少しじゃが——嫌な予感もした。
あの娘が、手紙など寄越すのは珍しかった。卒業後も年に一度、近況を知らせる便りは来ておったが、いつも短く「元気にやっています。先生もお体に気をつけてください」程度のものじゃった。それが今回はずいぶん分厚い。何かあったのじゃろうか、と思いながら封を切った。
封を切る。読む。
読み終えて、わしはゆっくりと手紙を畳んだ。
シルヴァーが窓から戻ってきて、不思議そうにわしの顔を覗き込んできた。ルーンが枕の上で片目を開けた。
「どうやらのんびり旅というわけにもいかんようじゃな」
手紙にはこう書かれておった。
『 先生、助けてください。
わたしは今、東の国境近く、ヴァルドス領の村に閉じ込められています。
領主のラドヴィッヒ男爵が、村人たちから不当な重税を取り立て、逃げようとした者を捕らえ、魔法使いを奴隷として働かせています。
先日、わたしも捕まりました。今は男爵の館で軟禁状態です。
王国への訴えも握り潰されているようで、誰も助けに来てくれません。
どうか、来てください。
先生なら、きっと何とかしてくださると信じています。
アナベル・ローウェン より 』
アナベル・ローウェン。
わしが院長を務めた最後の二十年で、最も目をかけた教え子のひとりじゃ。水魔法の才能は群を抜いており、卒業後は故郷の東部に戻って村の魔法師として働いておると聞いておった。
明るくて、真面目で、困った人を放っておけない娘じゃ。学院でも後輩の面倒をよく見て、弱い者いじめには真っ向から立ち向かって——そのせいで何度か生傷を作って帰ってきたこともある。
そういう娘だからこそ、捕まったのじゃろう。きっと村人たちを守ろうとして、立ち向かって、そして数と力で押し込められたのじゃ。
男爵が村人を搾取し、魔法使いを奴隷として使っておる。王国への訴えも握り潰されておる。
腐っておるのう。
地図を広げる。ヴァルドス領はここから東へ四日ほどの道のりじゃ。
「行くか」
シルヴァーが高らかに鳴いた。ルーンが枕から飛び降り、しっぽをぴんと立てた。
定年退職の翌日から、どうもわしは隠居向きの性格ではないらしい。
まあ、そんなことは三百五十年の人生でとっくに分かっておったことじゃが。
窓の外は、すっかり暮れていた。夕市の喧騒も収まり、遠くの酒場だけがまだ灯りをともしておる。星がひとつ、またひとつと夜空に瞬き始めておった。
わしは手紙をもう一度だけ見た。几帳面で、少し細かい、アナベルらしい文字じゃ。
「待っておれ、アナベル。今行くからな」
さて、ラドヴィッヒ男爵とやら——
わしが行くまで、せいぜい威張り散らしておくがよいぞ。
それができるのも、あと四日じゃからのう。
――第4話 了――
【次話予告】
翌朝、宿を出ようとしたわしの前に立ちはだかったのは、村長の手下を名乗る男だった。
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