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第一章

ep.19 行く末

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 ここは町長の屋敷にある中庭。ここには幸とミクセアがいる。

 あれからミクセアは自室に行き着替えるとここに戻ってきた。
 ミクセアの格好は、狩場に行くときに着るパンツスタイルである。

 そして現在、幸とミクセアは柔軟体操をしていた。
 その後、柔軟体操が終え幸はバトルアックスを構える。
 ミクセアはその様子を離れた場所からみていた。

(使い方か……ちょっとしたことはゼルブさんに聞いた。あとは、詳しい人に聞けって言ってたな。んー……今現在、知っている中にはいない。そうなると……あとで探さないと)

 そう思いながらバトルアックスを振り上げると、即座に振り下ろす。
 すると風が舞い上がり地面をえぐる。

「あーえっと……地面えぐっちゃったけど大丈夫か?」
「クスクス……どうかしら? でも、大丈夫だと思いますけど……凄いですわ。一振りしただけで、こんなに地面がえぐれるなんて」

 そう言われ幸は首を振った。

「いや、このバトルアックスの重さのお陰だ」
「そうだとしても、普通の人なら持つことさえ困難だと思いますよ」
「んー……そうなのか。だけど……振れただけじゃ駄目だ。ちゃんとした使い方をマスターしないと」

 幸はそう言い左手をみる。

「コウは、真面目ですよね。だから私は、す……信頼できるのですわ」
「さっきから、褒め過ぎじゃないのか?」
「そうかしら? 私は本当のことを言ってるだけですわ」

 それを聞き幸は照れた。
 その後も幸はバトルアックスを振りながら、どう使えばいいか模索する。
 それをミクセアは、ウットリしながらみていた。

 ◆◇◆◇◆◇

 ここは中庭がみえる通路。そこの窓からブロバルは、中庭をみている。

(うむ……能力を授かっていたら、どうなっておった? 恐らく……その辺の能力者などよりも強くなっていたかもしれん。
 天は二物を与えずか……それでよかったのかもしれぬな。もし能力を授かっていたら、自分の持っているものに気づかずにいたかもしれん……能力に頼り過ぎて)

 そう思いブロバルは、ニヤリと笑みを浮かべた。

(それにしてもミクセアが、こうも変わるとはな。それほどに……コウ様の存在が大きいという事か。いや、好きになったからだろう。
 このまま何もなく、コウ様がここに居てくれればよいのだが……それは無理。やらねばならない使命があるだろうからな。私は、それを見守り……援助ぐらいしかできん)

 そう思考を巡らせている。
 すると……。

 ――ゴオォォー……――

 と、いう音が聞こえてきた。それと共に、ブロバルの居る通路の壁の一部が吹き飛んだ。
 ブロバルは硬直し佇んでいる。そう目の前スレスレで、それが起こったからだ。
 我に返ったブロバルは、崩れた壁の穴から中庭をみる。

(……これは、コウ様がやったのか? うむ、化けるかもしれんな)

 そう思うとブロバルは、ポッカリ開いた壁の穴から幸をみていた。
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