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第2章〜それぞれの思惑と願い

黒髪の男

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 ここはアザレア城。あれからクロフは魔道具を使い兵士に変身し城の中に潜入していた。

 クロフは警戒しつつ城の中を歩きながら、内部の調査と情報集めをしていた。

(今んところ耳寄りな情報は、これといって何もねぇなぁ。内部はあらかたみたし、見取り図はメモ取って記憶させたしな。さて、後はどうする?あんまり長居しない方がいいしな。そうだな……あと少し中のようすを探ったら戻るとするか。あっ!そういや、倉庫の方はまだだったな。)

 クロフは倉庫の方に向かって歩きだした。すると、前から見慣れない雰囲気の黒髪の男が、クロフの方に向かってきていた。

 クロフは用心のため一礼をすると、その男はクロフを横目でチラッと見たが、何も言わず通り過ぎていった。

(ん?アイツは何者だ?見た事もねぇ黒髪に黒い瞳……身なりからして、今俺が変身している兵士よりも位が高そうだったが。それにしても、いけすかねぇ感じの奴だったな。ああいうタイプは、どうも好きになれねぇ。まぁいい、それより倉庫の方を見てから、アジトに戻るとするか。)

 クロフは倉庫の前までくると入れるか扉を調べたが開かなかった。

(てか、当たり前だよなぁ。そう簡単に倉庫の扉が開くわきゃねぇか。)

 クロフは倉庫の前でメモを取ると、奥のひとけのない場所までいき、角の方で転移装置を取り出し、革命軍のアジトをイメージすると、城から革命軍のアジトに転移した。

 しかし、この光景を見てる者がいた。その者とは、クロフとすれ違った黒髪の男だった。

「へぇ~、この世界には面白い物があるんだな。」

(てか、隠れて道具を使って消えたって事は、この城の兵士じゃなかったみたいだな。まぁ、この世界がどうなろうと俺には関係ない。元の世界に帰れれば、それでいいんだからな。)

 その男はその場から立ち去り、自分の部屋へと向かった。


 場所は移り、ここはアザレアの街。そして、スラムの革命軍『銀色の女神シルバーゴッデス』のアジト。

 ルシルとマリスは各々自分の部屋でクロフが戻るのを待っていた。

 そして、ここはルシルの部屋。辺りには発明に必要な本や設計図などが散乱している。

 ルシルは机に向かいノートを取りだし作戦を練っていた。

(……クロフが戻れば、今の城の状況や城の見取り図が分かるんだけどなぁ。そうすれば、作戦が練れる。でも、クロフ大丈夫だよな?まぁ俺と違いへまはしないと思うけど。さて、少し休むか。喉が渇いたし何か飲み物でも持ってくるかな。)

 そしてルシルは、飲み物を取りにキッチンに向かった。


 ここはマリスの部屋。マリスは武器や装備品などのチェックをしていた。

「ふぅ、こんなもんかな。いつ何が起きるか分からないしね。手入れはちゃんとしておかないとね。」

 マリスは武器や装備品を元の位置に片付け始めた。

(クロフ大丈夫かな?やっぱり私が行けば良かったかな?あっ、そろそろ戻ってくる頃だね。今のところやる事ないし広間の方で待機してようっと。)

 そして、マリスは広間の方に向かった。


 そしてここは広間。革命軍の者達はひとまず家に帰り誰も居なかった。

 すると部屋の中央に魔法陣が現れ眩い光が放たれたと思った瞬間。魔法陣の上にクロフが現れた。そして、そこから離れ変身を解いた。

「ふぅ、何とか無事に戻ってこれたが。いつ使ってもこの転移装置は心臓に悪い。大丈夫だと分かってても、異空間を通り転移するわけだからな。異空間から出れなくなったらって思いたくなくても思っちまう。」

 クロフはそう言いながら、ルシルの方に向かおうとしていた。

 すると、マリスが部屋の中に入ってきた。

「あっ!クロフ。戻ったんだね。それで、どうだったの?」

「ああ何とか無事に戻って来れた。あっ、マリス。ちょうど良いところにきた。2人に話したい事がある。ルシルを呼んできてくれねぇか?」

 マリスは頷くと、ルシルを呼びに部屋に向かった。

 すると、クロフは窓際の壁まで行くと、壁に寄り掛かり座った。

(ふぁ~、さて、2人が来るまで少し寝てるかなぁと。)

 そして、ルシルとマリスが来るまでの間、目を閉じ少し休む事にしたのだった…。
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