50 / 108
第1章 それはすました蒸気のように
2-1 「良く覚えてんなあ……っ」
しおりを挟む
第1章 それはすました蒸気のように
「ノア君、髪伸びたね。切れば?」
エルキルス郊外にあるコーマス収容所。
先月収監された元住み込みバイト先の女店長は、自分を見るなりそう言った。面会ガラス越しでなければ、世間話かと思うような口調で。
「へっ、そう、か?」
そんな意識全く無かっただけに、ヴァージニアの言葉に驚きノア・クリストフは己の赤い前髪を1房摘む。
「うん、ちょっと野暮ったい。2週間ぶりに会うから余計思っただけかもしれないけど」
「あー、でも言われてみたらそうかも。高校の友達に床屋の息子が居るって前言ったろ? 今度そこで切って貰うかな」
「うん、それが良いよ」
長い金髪の女性はそう言い、パイプ椅子に腰を下ろした。
39歳のヴァージニアとは10年以上の付き合いだ。
客船員である実の親よりも一緒の時間を過ごして来た為、親よりも親らしく気負わずに話せる。
とは言え、収容所の面会室で、となるとどうしても緊張してしまった。しかも平日に来るのは初めてだ。
「あー店長、……体調は大丈夫か? 刑務所暮らしって、大変だろ」
ガラス越しの人物が少し痩せた気がして尋ねる。
眉の下がった申し訳無さそうな表情は、殺人を犯したから当然かもしれない。ヴァージニアは贖罪する姿勢だが、思うところはあるに決まっている。
「……まあ、慣れそうに無い、かな。でも……受け入れたいから。心配してくれて有り難う。それより、今日はどうしたの? 月曜日に」
「…………そうそう!」
どうやらこの女性はその辺りを自分に掘り下げて欲しくないらしい。それが伝わって来たので、こちらも話を変えた。
「もう聞いてっかもしんねぇけど、昨日弁護士から電話貰ってさ。ポピー、買い手が決まったから立ち退いてくれって。だから僕、家に戻る事にしたわ」
今までは川沿いの実家ではなく、両親が不在な為ヴァージニアが営んでいた公園横の店舗付き住宅に住み込んでいた。
が、店長がこうなってしまった以上、実家に戻る事にしたのだ。
通っているミトズロッド高校からは少々遠くなってしまうが、駅には近くなる。
チワワを飼っている同じマンションの住民にまた挨拶を出来るのも悪くない。黒と白の毛をしたチワワの柔らかさを思い出すと、自然と頬が緩んだ。それに隣の家には誰も居ないので気が楽だ。
「うん、それが良いね。荷物はもうマンションに移したの?」
「いや、まだ。数日中にやろうと思ってるけど。重労働になっからフードコート行ける日じゃねぇとやる気がどうも……人参をぶら下げたくて」
重い荷物を運ぶ日になるのだから、どうしてもその日は自分に飴をあげたかった。控えめにパッと散財して、夕食は外で食べたかった。
「ふふっ、ノア君ってフードコート好きだよね。…………そうだノア君は体調大丈夫? 変わりない?」
「えっ、いきなり何だよ」
突然話を振られ動きが止まる。
どうしてこの流れで体調を気にかけられるのだろう。
「フードコートで思い出したのよ。ほら、病院帰りに良くフードコートでソフトクリーム食べたでしょ。それ思い出したら心配になっちゃって」
今はそうでもないが、幼少期の自分はすぐ熱を出していた。病院の世話になる事も多く、注射が嫌だとギャーギャー泣き喚いた。
その帰り、フードコートで良くソフトクリームを買って貰った。その時の事を言われているのだ。
「良く覚えてんなあ……っ」
10年は前の事だ。
迷惑をかけた自覚が顔を熱くする為、その話は恥ずかしい。
返す声に少し険があったが、母親のような人がその程度で堪えた素振りは無かった。
「大変だったんだもの。特に実習生に刺された時……。私今でも、あの実習生の困り果てた顔思い出せるよ」
「本当良く覚えてんなあ……!」
実習生に刺された――忘れていた出来事が脳裏に思い出される。
あれは5歳の夏。
例に漏れず両親は仕事で海の上。祖父母も遠出をする事になり、近所に住むヴァージニアに1日預けられたのだ。
そして熱を出して行った病院で、不幸が重なった。
外科医志望の医学生がその日病院に実習に来ていて、人手不足だかで自分の腕に針を刺した時があったのだ。
実習生なだけに彼の注射は痛くて、緊張していた事もあり何回も刺された。
『ごめんね、採血習ったばっかでっ!』
卒業間際らしいがまだまだ白衣に着られている実習生にひたすら謝られ、その姿に罪悪感が生じ一層泣いた事を覚えている。
「そう言う事言うなよなー……っ!」
「ごめん。でも緊張解けたでしょ?」
「へっ?」
何だそれ──と笑いかけたがすぐに思い至る。
平日の面会に緊張していたのも、脈絡の無い話題に体の強張りが吹き飛んだのも事実。
「……」
どうやら自分はまんまとヴァージニアに乗せられたらしい。少しも気付かなかった。
まじまじと向かいの女性を見ていたからか、ヴァージニアがどこか罰が悪そうに、悪戯がバレた子供のように笑う。
「せっかくの面会なんだし、笑って欲しいじゃない……」
言い訳のようにもごつく姿に、一拍後フッと目を細める。
「お気遣い有り難う。確かに気ぃ楽になったわ!」
長い付き合いがある人には敵わない。
照れ臭さを噛み締めながら笑いかけると、「良かった」とヴァージニアの目元が緩んだ。
その後の面会は主に自分の話をした。ヴァージニアが聞きたがったのだ。
先週自炊に初挑戦してみたものの、焦げた物体を地球上に産み落とした事。
秋とは言えまだまだ暑いので腹を出して寝ていたら、腹痛に襲われ後悔した事。
蒸気機関車の中で携帯ラジオを聞いていたら、ついつい乗り過ごしてしまった事。
くだらないそれらを、ヴァージニアは目を細めながら聞いてくれた。一緒に暮らしていた時は眉を釣り上げている事が多い人だっただけに、その表情が照れ臭い。
看守が面会終了時間を告げに来た時には、ヴァージニアの表情に翳りは無かった。
「それじゃあまた来るわ」
「うん、楽しみにしてるね。高校、ちゃんと行くんだよ」
「行ってるし。じゃあな!」
念押しされた言葉に肩を揺らしながら、扉を開けて面会室を後にする。
今度はいつ面会に行けるのか。
頭の中のカレンダーを思い出しながら、すれ違う職員に挨拶をして刑務所を後にした。
「ふー」
エルキルスはここ最近ずっと霧が出ていた。
ここは霧の出にくい郊外だが都市部はシルエット当て会場と化していて、おかげで周囲が見えづらい。
「……そろそろバイトすっか」
ヴァージニアに会えて良かった反面。
アルバイトが無くなった自分の財布にとって、郊外まで行く交通費は大きな痛手だ。散歩好きとは言え、帰りは歩こうと思う程に。
「ノア君、髪伸びたね。切れば?」
エルキルス郊外にあるコーマス収容所。
先月収監された元住み込みバイト先の女店長は、自分を見るなりそう言った。面会ガラス越しでなければ、世間話かと思うような口調で。
「へっ、そう、か?」
そんな意識全く無かっただけに、ヴァージニアの言葉に驚きノア・クリストフは己の赤い前髪を1房摘む。
「うん、ちょっと野暮ったい。2週間ぶりに会うから余計思っただけかもしれないけど」
「あー、でも言われてみたらそうかも。高校の友達に床屋の息子が居るって前言ったろ? 今度そこで切って貰うかな」
「うん、それが良いよ」
長い金髪の女性はそう言い、パイプ椅子に腰を下ろした。
39歳のヴァージニアとは10年以上の付き合いだ。
客船員である実の親よりも一緒の時間を過ごして来た為、親よりも親らしく気負わずに話せる。
とは言え、収容所の面会室で、となるとどうしても緊張してしまった。しかも平日に来るのは初めてだ。
「あー店長、……体調は大丈夫か? 刑務所暮らしって、大変だろ」
ガラス越しの人物が少し痩せた気がして尋ねる。
眉の下がった申し訳無さそうな表情は、殺人を犯したから当然かもしれない。ヴァージニアは贖罪する姿勢だが、思うところはあるに決まっている。
「……まあ、慣れそうに無い、かな。でも……受け入れたいから。心配してくれて有り難う。それより、今日はどうしたの? 月曜日に」
「…………そうそう!」
どうやらこの女性はその辺りを自分に掘り下げて欲しくないらしい。それが伝わって来たので、こちらも話を変えた。
「もう聞いてっかもしんねぇけど、昨日弁護士から電話貰ってさ。ポピー、買い手が決まったから立ち退いてくれって。だから僕、家に戻る事にしたわ」
今までは川沿いの実家ではなく、両親が不在な為ヴァージニアが営んでいた公園横の店舗付き住宅に住み込んでいた。
が、店長がこうなってしまった以上、実家に戻る事にしたのだ。
通っているミトズロッド高校からは少々遠くなってしまうが、駅には近くなる。
チワワを飼っている同じマンションの住民にまた挨拶を出来るのも悪くない。黒と白の毛をしたチワワの柔らかさを思い出すと、自然と頬が緩んだ。それに隣の家には誰も居ないので気が楽だ。
「うん、それが良いね。荷物はもうマンションに移したの?」
「いや、まだ。数日中にやろうと思ってるけど。重労働になっからフードコート行ける日じゃねぇとやる気がどうも……人参をぶら下げたくて」
重い荷物を運ぶ日になるのだから、どうしてもその日は自分に飴をあげたかった。控えめにパッと散財して、夕食は外で食べたかった。
「ふふっ、ノア君ってフードコート好きだよね。…………そうだノア君は体調大丈夫? 変わりない?」
「えっ、いきなり何だよ」
突然話を振られ動きが止まる。
どうしてこの流れで体調を気にかけられるのだろう。
「フードコートで思い出したのよ。ほら、病院帰りに良くフードコートでソフトクリーム食べたでしょ。それ思い出したら心配になっちゃって」
今はそうでもないが、幼少期の自分はすぐ熱を出していた。病院の世話になる事も多く、注射が嫌だとギャーギャー泣き喚いた。
その帰り、フードコートで良くソフトクリームを買って貰った。その時の事を言われているのだ。
「良く覚えてんなあ……っ」
10年は前の事だ。
迷惑をかけた自覚が顔を熱くする為、その話は恥ずかしい。
返す声に少し険があったが、母親のような人がその程度で堪えた素振りは無かった。
「大変だったんだもの。特に実習生に刺された時……。私今でも、あの実習生の困り果てた顔思い出せるよ」
「本当良く覚えてんなあ……!」
実習生に刺された――忘れていた出来事が脳裏に思い出される。
あれは5歳の夏。
例に漏れず両親は仕事で海の上。祖父母も遠出をする事になり、近所に住むヴァージニアに1日預けられたのだ。
そして熱を出して行った病院で、不幸が重なった。
外科医志望の医学生がその日病院に実習に来ていて、人手不足だかで自分の腕に針を刺した時があったのだ。
実習生なだけに彼の注射は痛くて、緊張していた事もあり何回も刺された。
『ごめんね、採血習ったばっかでっ!』
卒業間際らしいがまだまだ白衣に着られている実習生にひたすら謝られ、その姿に罪悪感が生じ一層泣いた事を覚えている。
「そう言う事言うなよなー……っ!」
「ごめん。でも緊張解けたでしょ?」
「へっ?」
何だそれ──と笑いかけたがすぐに思い至る。
平日の面会に緊張していたのも、脈絡の無い話題に体の強張りが吹き飛んだのも事実。
「……」
どうやら自分はまんまとヴァージニアに乗せられたらしい。少しも気付かなかった。
まじまじと向かいの女性を見ていたからか、ヴァージニアがどこか罰が悪そうに、悪戯がバレた子供のように笑う。
「せっかくの面会なんだし、笑って欲しいじゃない……」
言い訳のようにもごつく姿に、一拍後フッと目を細める。
「お気遣い有り難う。確かに気ぃ楽になったわ!」
長い付き合いがある人には敵わない。
照れ臭さを噛み締めながら笑いかけると、「良かった」とヴァージニアの目元が緩んだ。
その後の面会は主に自分の話をした。ヴァージニアが聞きたがったのだ。
先週自炊に初挑戦してみたものの、焦げた物体を地球上に産み落とした事。
秋とは言えまだまだ暑いので腹を出して寝ていたら、腹痛に襲われ後悔した事。
蒸気機関車の中で携帯ラジオを聞いていたら、ついつい乗り過ごしてしまった事。
くだらないそれらを、ヴァージニアは目を細めながら聞いてくれた。一緒に暮らしていた時は眉を釣り上げている事が多い人だっただけに、その表情が照れ臭い。
看守が面会終了時間を告げに来た時には、ヴァージニアの表情に翳りは無かった。
「それじゃあまた来るわ」
「うん、楽しみにしてるね。高校、ちゃんと行くんだよ」
「行ってるし。じゃあな!」
念押しされた言葉に肩を揺らしながら、扉を開けて面会室を後にする。
今度はいつ面会に行けるのか。
頭の中のカレンダーを思い出しながら、すれ違う職員に挨拶をして刑務所を後にした。
「ふー」
エルキルスはここ最近ずっと霧が出ていた。
ここは霧の出にくい郊外だが都市部はシルエット当て会場と化していて、おかげで周囲が見えづらい。
「……そろそろバイトすっか」
ヴァージニアに会えて良かった反面。
アルバイトが無くなった自分の財布にとって、郊外まで行く交通費は大きな痛手だ。散歩好きとは言え、帰りは歩こうと思う程に。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる