19 / 65
Ⅱ havn―海―
18 「精霊まで本当に居るの? あっ居るかあ、へー……」
しおりを挟む
「ウィル、クララ、お疲れ様。これからは船乗りの領分、お前らの手伝いは不要だ。お前らが寝ている間にこの船はトロムソを発ってるだろうよ。明日以降は俺や船員が頼んだ事をしてくれ。8番庫が空いたから、お前らは航海中そこで休んどけ。ああ途中食堂で毛布や夕飯を貰って行けよ。それとウィル、お前は夕食の量を減らせ」
ルーベンはそう言い捨て、白煙毎くるりと体の向きを変えて数人の船乗りが集まっている船首に歩いていく。
「どうしてウィルの話が出るんだ?」と気になり、静かになった甲板で隣の青年を見て――目を見張る。
顔色が悪かったのだ。
停船しているとは言え海上は海上。どうやら船酔いに襲われているようだった。ルーベンはこれを言っていたのだろう。
「お疲れ様、凄い頑張ってたね。ねえ、大丈夫? 貴方船に乗った事……ないよね」
「はい……。船の揺れって、独特ですね……頑張ったら無性にコーヒーが飲みたくなりました……」
「そうね、私も飲みたい。淹れてあげる、屋敷でも頻繁に淹れてたから得意なのよ。でも……だ、大丈夫? コーヒー飲める? 辛いなら早く休みなさい」
ノルウェー人はコーヒーが大好きだ。この魔法使いもコーヒーを愛飲してる事は想像に難くないが、力無く笑っている人物があの液体を飲んでは不味い気がする。
「心配してくれて、有り難うございます……これが船酔い、ですか。でも、大丈夫です……俺には魔法があります、から。コーヒー、飲みましょう?」
「じゃ、じゃあついでに貰って行きましょう。ああでも、こんな時間にコーヒーを飲むのは良くないかな……」
「ご心配なく、そこも魔法がありますから……淹れてください。貴女が淹れてくれたコーヒー、飲みたいです……うぷっ」
抑揚無く話すウィルの横顔を見て、悩んだ末頷く。
魔法がある、と言う一言がすっかり通貨よりも信頼出来るようになってきてしまった。風のない船内に入ると、一仕事終えた充足感から頬が緩んでいく。
ルーベンに言われた通り食堂に寄った。
食堂には多くの船員達が居て、酒盛りの準備をしている。自分達の姿を見る度船員達がわっと盛り上がるのは慣れないし、きっと下船まで慣れないだろう。
「あの、少し良いですか?」
アクアビットというジャガイモから作られた蒸留酒を選んでいた船員に、夕食の事を尋ねる。8番庫が当面の家になった事とコーヒーが飲みたいと言う事、ウィルが船酔いしている事を伝える。
面倒臭そうに溜め息を吐かれながらも、棚からフラットブレッドという薄いパンとスモークサーモン、イェトストという茶色いチーズ、肴用に準備されていたキャベツと人参のマリネ、一握りのドライベリー。それらを少な目に2人分用意してくれた。ベリーが好きなので赤色の果実に胸が躍る。
残り少なくなったコーヒー豆が入った麻袋とお湯、グラインダーも雑に渡される。
結構な大荷物になったので、夕食とコーヒー用品を自分が。茶色い毛布に、杖に引っ掛けたランタンをウィルが持ち、パタリと人の姿が見えなくなった船底の1番奥、動力室の隣にある8番庫に向かう。
ピアノが2台入るかどうか…という暗くて狭い倉庫。魚の運搬に利用していたのだろう、扉を開けた瞬間鼻をついたのはムッとした生臭さだった。
「ふー……」
扉を閉めるなり頭上に火の玉が数個出現し、ぱっと室内が明るくなる。
夕食が乗った木製のトレイを床に置き、久しぶりに座る事が出来た。
「今コーヒー淹れるから、貴方は少し休んでなさい」
グラインダーの準備をしながら言う。横目で見たウィルは扉を背に片膝をついて、「すみません」と謝ってから休んでいた。
良く見ると、扉に凭れ掛かっているように見えた背は空気で出来たクッションでも挟んでいるかのように離れていて、空気製のマットにでも乗っているみたいに体が床から少し浮いていた。確かにこれなら船酔いは関係なくなる。
ゴリゴリと豆を挽きながら正面で休んでいる青年に話しかける。使い切れるかと思っていた豆はもう一杯分残った。
「ウィル……改めて有り難う。貴方が助けに来てくれなかったら、私は今も地下牢に居た。ピアノも弾けなくなっていたわ。感謝してる」
「貴女のファンだと言ったでしょう……気にしないで下さい」
「なら良かったわ。ねえ魔法って凄いのね。人を浮かせたり睡眠もどうにか出来るのでしょう? でもスウェーデンまでは行けなかったり出来ない事もあるのが不思議だわ」
「ああそれは……神様より凄い事をしちゃ駄目、って事なのでしょうね。実際俺が使える魔法も、大きく分ければ2種類しか無いんですよ。杖や魔法使いの意識と声が必要なのは同じですが、精霊魔法と人体魔法になります」
豆を挽き終え煮出す作業に移ると、コーヒーの香ばしい香りが室内に満ちていく。この瞬間が大好きで、屋敷でも良く豆を挽いていた。
「精霊魔法はその名の通り、精霊の力で魔法を使います。16世紀のスイスの錬金術士パラケルススが提唱した四大元素、火水風土を魔法使いは自由に操作出来るんです。貴女を地下牢から落としたのは土、こうして火の玉を作るには火、海を凍らせたのは水、離れた場所の人と会話するのは風、という風に」
「精霊まで本当に居るの? あっ居るかあ、へー……」
到底信じられない存在に驚いたが、魔法使いの杖が変に丈夫な事、アイスランドにエルフが居るらしい事を思い出し納得する。自分達は目に見える物より見えない物に囲まれて生きているようだ。
「貴方がショパンやクララを知っているのも、多言語喋れるのも、風の魔法の力ね?」
「良く分かりましたね。そうです、山奥での娯楽と言ったらコンサート会場の音を聴いたり、当時はまだ生きていた他国の魔法使いと話すくらいでしたから。おかげでいつの間にか多言語使いになりましたよ」
「人体魔法ってのは何? ちょっと物騒な名前だけどやっぱり怖いの?」
「確かにこっちは怖いと思います……エルフが得意とする、人体に干渉する魔法の事です。睡眠や治癒力を操ったり、喉を乾かしたり嘔吐させたり……人体に関する事ならほぼ何でも出来ます。こっちの方がある意味魔法使いらしいですが、術者への代償もあるので使いにくくはありますね。記憶操作は魔法使い絡みの記憶しか消せないですし……」
丁度コーヒーの抽出が終わった。青年の碧眼には先程よりも力が宿っている。船酔いも大分治まったようだ。
「無理せず飲むのよ」と木製のコーヒーカップを渡し、夕食の支度を始める。
「同じ魔法でも、精霊魔法と随分毛色が違うのね」
「人体魔法はエルフの魔法ですしね。それに表裏って何にでもある物でしょう」
「まあね。ねえ、代償って何? 私を眠らすって魔法は人体魔法なのでしょう? 私、代償、なんて聞いてまでぐっすり眠りたくないのだけど……」
「向き合わないと使えないと言うのと、術者が抗いがたい睡魔に襲われてしまう、ってだけですよ。ですからアストリッドは気にしないで下さい。俺も眠くなるので丁度良いですよ。ただ寝る、それだけとは言え数時間から数日以上無防備になってしまうのは、エルフの魔法を人間が使う弊害なんだとか。まあこれは何度も叩き起こせば起きる事の方が多いですが」
ルーベンはそう言い捨て、白煙毎くるりと体の向きを変えて数人の船乗りが集まっている船首に歩いていく。
「どうしてウィルの話が出るんだ?」と気になり、静かになった甲板で隣の青年を見て――目を見張る。
顔色が悪かったのだ。
停船しているとは言え海上は海上。どうやら船酔いに襲われているようだった。ルーベンはこれを言っていたのだろう。
「お疲れ様、凄い頑張ってたね。ねえ、大丈夫? 貴方船に乗った事……ないよね」
「はい……。船の揺れって、独特ですね……頑張ったら無性にコーヒーが飲みたくなりました……」
「そうね、私も飲みたい。淹れてあげる、屋敷でも頻繁に淹れてたから得意なのよ。でも……だ、大丈夫? コーヒー飲める? 辛いなら早く休みなさい」
ノルウェー人はコーヒーが大好きだ。この魔法使いもコーヒーを愛飲してる事は想像に難くないが、力無く笑っている人物があの液体を飲んでは不味い気がする。
「心配してくれて、有り難うございます……これが船酔い、ですか。でも、大丈夫です……俺には魔法があります、から。コーヒー、飲みましょう?」
「じゃ、じゃあついでに貰って行きましょう。ああでも、こんな時間にコーヒーを飲むのは良くないかな……」
「ご心配なく、そこも魔法がありますから……淹れてください。貴女が淹れてくれたコーヒー、飲みたいです……うぷっ」
抑揚無く話すウィルの横顔を見て、悩んだ末頷く。
魔法がある、と言う一言がすっかり通貨よりも信頼出来るようになってきてしまった。風のない船内に入ると、一仕事終えた充足感から頬が緩んでいく。
ルーベンに言われた通り食堂に寄った。
食堂には多くの船員達が居て、酒盛りの準備をしている。自分達の姿を見る度船員達がわっと盛り上がるのは慣れないし、きっと下船まで慣れないだろう。
「あの、少し良いですか?」
アクアビットというジャガイモから作られた蒸留酒を選んでいた船員に、夕食の事を尋ねる。8番庫が当面の家になった事とコーヒーが飲みたいと言う事、ウィルが船酔いしている事を伝える。
面倒臭そうに溜め息を吐かれながらも、棚からフラットブレッドという薄いパンとスモークサーモン、イェトストという茶色いチーズ、肴用に準備されていたキャベツと人参のマリネ、一握りのドライベリー。それらを少な目に2人分用意してくれた。ベリーが好きなので赤色の果実に胸が躍る。
残り少なくなったコーヒー豆が入った麻袋とお湯、グラインダーも雑に渡される。
結構な大荷物になったので、夕食とコーヒー用品を自分が。茶色い毛布に、杖に引っ掛けたランタンをウィルが持ち、パタリと人の姿が見えなくなった船底の1番奥、動力室の隣にある8番庫に向かう。
ピアノが2台入るかどうか…という暗くて狭い倉庫。魚の運搬に利用していたのだろう、扉を開けた瞬間鼻をついたのはムッとした生臭さだった。
「ふー……」
扉を閉めるなり頭上に火の玉が数個出現し、ぱっと室内が明るくなる。
夕食が乗った木製のトレイを床に置き、久しぶりに座る事が出来た。
「今コーヒー淹れるから、貴方は少し休んでなさい」
グラインダーの準備をしながら言う。横目で見たウィルは扉を背に片膝をついて、「すみません」と謝ってから休んでいた。
良く見ると、扉に凭れ掛かっているように見えた背は空気で出来たクッションでも挟んでいるかのように離れていて、空気製のマットにでも乗っているみたいに体が床から少し浮いていた。確かにこれなら船酔いは関係なくなる。
ゴリゴリと豆を挽きながら正面で休んでいる青年に話しかける。使い切れるかと思っていた豆はもう一杯分残った。
「ウィル……改めて有り難う。貴方が助けに来てくれなかったら、私は今も地下牢に居た。ピアノも弾けなくなっていたわ。感謝してる」
「貴女のファンだと言ったでしょう……気にしないで下さい」
「なら良かったわ。ねえ魔法って凄いのね。人を浮かせたり睡眠もどうにか出来るのでしょう? でもスウェーデンまでは行けなかったり出来ない事もあるのが不思議だわ」
「ああそれは……神様より凄い事をしちゃ駄目、って事なのでしょうね。実際俺が使える魔法も、大きく分ければ2種類しか無いんですよ。杖や魔法使いの意識と声が必要なのは同じですが、精霊魔法と人体魔法になります」
豆を挽き終え煮出す作業に移ると、コーヒーの香ばしい香りが室内に満ちていく。この瞬間が大好きで、屋敷でも良く豆を挽いていた。
「精霊魔法はその名の通り、精霊の力で魔法を使います。16世紀のスイスの錬金術士パラケルススが提唱した四大元素、火水風土を魔法使いは自由に操作出来るんです。貴女を地下牢から落としたのは土、こうして火の玉を作るには火、海を凍らせたのは水、離れた場所の人と会話するのは風、という風に」
「精霊まで本当に居るの? あっ居るかあ、へー……」
到底信じられない存在に驚いたが、魔法使いの杖が変に丈夫な事、アイスランドにエルフが居るらしい事を思い出し納得する。自分達は目に見える物より見えない物に囲まれて生きているようだ。
「貴方がショパンやクララを知っているのも、多言語喋れるのも、風の魔法の力ね?」
「良く分かりましたね。そうです、山奥での娯楽と言ったらコンサート会場の音を聴いたり、当時はまだ生きていた他国の魔法使いと話すくらいでしたから。おかげでいつの間にか多言語使いになりましたよ」
「人体魔法ってのは何? ちょっと物騒な名前だけどやっぱり怖いの?」
「確かにこっちは怖いと思います……エルフが得意とする、人体に干渉する魔法の事です。睡眠や治癒力を操ったり、喉を乾かしたり嘔吐させたり……人体に関する事ならほぼ何でも出来ます。こっちの方がある意味魔法使いらしいですが、術者への代償もあるので使いにくくはありますね。記憶操作は魔法使い絡みの記憶しか消せないですし……」
丁度コーヒーの抽出が終わった。青年の碧眼には先程よりも力が宿っている。船酔いも大分治まったようだ。
「無理せず飲むのよ」と木製のコーヒーカップを渡し、夕食の支度を始める。
「同じ魔法でも、精霊魔法と随分毛色が違うのね」
「人体魔法はエルフの魔法ですしね。それに表裏って何にでもある物でしょう」
「まあね。ねえ、代償って何? 私を眠らすって魔法は人体魔法なのでしょう? 私、代償、なんて聞いてまでぐっすり眠りたくないのだけど……」
「向き合わないと使えないと言うのと、術者が抗いがたい睡魔に襲われてしまう、ってだけですよ。ですからアストリッドは気にしないで下さい。俺も眠くなるので丁度良いですよ。ただ寝る、それだけとは言え数時間から数日以上無防備になってしまうのは、エルフの魔法を人間が使う弊害なんだとか。まあこれは何度も叩き起こせば起きる事の方が多いですが」
0
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
【完結】新皇帝の後宮に献上された姫は、皇帝の寵愛を望まない
ユユ
恋愛
周辺諸国19国を統べるエテルネル帝国の皇帝が崩御し、若い皇子が即位した2年前から従属国が次々と姫や公女、もしくは美女を献上している。
既に帝国の令嬢数人と従属国から18人が後宮で住んでいる。
未だ献上していなかったプロプル王国では、王女である私が仕方なく献上されることになった。
後宮の余った人気のない部屋に押し込まれ、選択を迫られた。
欲の無い王女と、女達の醜い争いに辟易した新皇帝の噛み合わない新生活が始まった。
* 作り話です
* そんなに長くしない予定です
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる