26 / 826
二六
「実感したい……」
俺は力を試したい衝動を抑えられなかった。
「試したいってか」
オオムカデンダルは、ふふっと笑った。
今の俺が子供みたいなことを言っているのは十分に判っている。
だが冒険者であり、剣士などという力を生業とする者なら当然だろう。
「いいだろう。シミュレーションルームより、外で実際に暴れた方がお前には判りやすいだろうな」
オオムカデンダルはそう言って俺を屋敷の外へ連れ出した。
「折れた足はまだくっついていないが、自然治癒力も上がっているからな。無理しなければ二、三日で完治するだろうよ」
オオムカデンダルが事も無げに言う。
本当か。凄すぎる。
だが、それもこれも実際に試してみなければ信用することは出来ない。
俺は期待しつつも、未だに信じきれてはいなかった。
「強化手術の効果は一定の能力向上を保証するが、その向上度合いには個人差がある。お前がどの程度強化されてるかは神のみぞ知るだ」
オオムカデンダルの説明を聞きながら俺は身体中を動かしてみる。
特に変わった感じはしない。
「まずは簡単に走ったり跳んだりがいいだろう。やってみろ」
俺はうなずくと手始めに木々の間を走ってみた。
快適だ。スムーズに手足が出る。
まだ本気を出していないのに普段より早い気がする。
思いきって全力を出してみる
だんっ!
地面を強く蹴った。
「うわあっ!」
俺は思わず声をあげた。
体が予想を上回る力で前へ送り出された。
速い。
森の木々が凄い速さで後ろへ飛んでいく。
まるで狐か狼にでもなった気分だ。
驚きと楽しさで俺は我を忘れて森を駆け回った。
こんなに森の中を走り回ったのはガキの頃以来だ。
「息が……」
俺は自分の息が全く上がらないことに気が付いた。
苦しくない。
どこまででも、いつまででも走れそうだ。
「へえ……」
オオムカデンダルが感心したように呟いた。
遠く離れた彼の呟きがハッキリと聞き取れていることに驚愕する。
これが身体強化手術という物の効果か。
しかも効果時間は無期限だ。
「凄い。凄すぎる」
俺は元の場所に戻って興奮気味に言った。
「確かにな。俺の予想以上の効果だ。適合性がめちゃくちゃ良かったか、それともこの世界の人間の特徴なのかは判らんが」
冒険者というのがいいのかもな、とも言った。
確かに一般人に比べたら肉体の能力は破格なのは間違いない。
この若さでミラーナイトクラスに昇格したのだ。
今更ながら自身の身体能力が誇らしかった。
それから俺は木を登り、木々の間を飛び移り、丸太を担ぎ上げ、木の太い枝を手刀でへし折った。
そして太い木の幹を剣で両断したとき、俺は彼の支配下に置かれることに少しも抵抗を感じなくなっていた。
俺は力を試したい衝動を抑えられなかった。
「試したいってか」
オオムカデンダルは、ふふっと笑った。
今の俺が子供みたいなことを言っているのは十分に判っている。
だが冒険者であり、剣士などという力を生業とする者なら当然だろう。
「いいだろう。シミュレーションルームより、外で実際に暴れた方がお前には判りやすいだろうな」
オオムカデンダルはそう言って俺を屋敷の外へ連れ出した。
「折れた足はまだくっついていないが、自然治癒力も上がっているからな。無理しなければ二、三日で完治するだろうよ」
オオムカデンダルが事も無げに言う。
本当か。凄すぎる。
だが、それもこれも実際に試してみなければ信用することは出来ない。
俺は期待しつつも、未だに信じきれてはいなかった。
「強化手術の効果は一定の能力向上を保証するが、その向上度合いには個人差がある。お前がどの程度強化されてるかは神のみぞ知るだ」
オオムカデンダルの説明を聞きながら俺は身体中を動かしてみる。
特に変わった感じはしない。
「まずは簡単に走ったり跳んだりがいいだろう。やってみろ」
俺はうなずくと手始めに木々の間を走ってみた。
快適だ。スムーズに手足が出る。
まだ本気を出していないのに普段より早い気がする。
思いきって全力を出してみる
だんっ!
地面を強く蹴った。
「うわあっ!」
俺は思わず声をあげた。
体が予想を上回る力で前へ送り出された。
速い。
森の木々が凄い速さで後ろへ飛んでいく。
まるで狐か狼にでもなった気分だ。
驚きと楽しさで俺は我を忘れて森を駆け回った。
こんなに森の中を走り回ったのはガキの頃以来だ。
「息が……」
俺は自分の息が全く上がらないことに気が付いた。
苦しくない。
どこまででも、いつまででも走れそうだ。
「へえ……」
オオムカデンダルが感心したように呟いた。
遠く離れた彼の呟きがハッキリと聞き取れていることに驚愕する。
これが身体強化手術という物の効果か。
しかも効果時間は無期限だ。
「凄い。凄すぎる」
俺は元の場所に戻って興奮気味に言った。
「確かにな。俺の予想以上の効果だ。適合性がめちゃくちゃ良かったか、それともこの世界の人間の特徴なのかは判らんが」
冒険者というのがいいのかもな、とも言った。
確かに一般人に比べたら肉体の能力は破格なのは間違いない。
この若さでミラーナイトクラスに昇格したのだ。
今更ながら自身の身体能力が誇らしかった。
それから俺は木を登り、木々の間を飛び移り、丸太を担ぎ上げ、木の太い枝を手刀でへし折った。
そして太い木の幹を剣で両断したとき、俺は彼の支配下に置かれることに少しも抵抗を感じなくなっていた。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
追放聖女だってお茶したい!─セカンドライフはティーサロン経営を志望中─
石田空
ファンタジー
「ミーナ今までありがとう。聖女の座を降りてもらおう」
貴族の利権関係が原因でいきなり聖女をクビになった庶民出身のミーナ。その上あてがわれた婚約者のルカは甘味嫌いで食の趣味が合わない。
「嫌! 人の横暴に付き合うのはもうこりごり! 私は逃げます!」
かくしてミーナは神殿から脱走し、ティーサロン経営のために奔走しはじめた。
ときどき舞い込んでくるトラブル。
慌ててミーナを探しているルカ。
果たしてミーナは理想のセカンドライフを歩めるのか。
甘いお菓子とお茶。そしてちょっとの恋模様。
*サイトより転載になります。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
居酒屋の看板娘でしたが、歌の治癒魔法が覚醒して王女に戻されました〜幼い頃に出会った側近様と紡ぐ恋〜
丸顔ちゃん。
恋愛
生まれてすぐに誘拐され、死んだとされた王女──
その赤子は、実は平民街にひっそりと置き去りにされていた。
病弱な父に拾われ、居酒屋の看板娘として育ったミリア。
白い小花を髪に挿し、歌うことが大好きな少女。
自分の歌に“治癒の力”が宿っていることなど知らずに、
父と平民仲間に囲まれ、穏やかな日々を送っていた。
ある日、市場にお忍びで来ていた皇太子とその側近が、ミリアの歌声を耳にする。
皇太子は“王族にしかない魔力の波動”を感じ、
側近は幼い頃の祭りで出会った白い小花の少女を思い出し、胸がざわつく。
その直後、父が危篤に。
泣きながら歌ったミリアの声は奇跡を起こし、治癒魔法が覚醒する。
「どうして平民の私に魔力が……?」
やがて明かされる真実──
ミリアこそ、行方不明になっていた王女その人だった。
王宮に迎えられ、王女としての生活が始まる。
不安と戸惑いの中、そばにいてくれるのは、
幼い頃に一目惚れし、今も変わらず彼女を見つめる皇太子の側近。
「今度こそ、君を見失わない」
歌姫王女として成長していくミリアと、
彼女を支え続ける側近の、優しくて温かい恋の物語。
完 弱虫のたたかい方 (番外編更新済み!!)
水鳥楓椛
恋愛
「お姉様、コレちょーだい」
無邪気な笑顔でオネガイする天使の皮を被った義妹のラテに、大好きなお人形も、ぬいぐるみも、おもちゃも、ドレスも、アクセサリーも、何もかもを譲って来た。
ラテの後ろでモカのことを蛇のような視線で睨みつける継母カプチーノの手前、譲らないなんていう選択肢なんて存在しなかった。
だからこそ、モカは今日も微笑んだ言う。
「———えぇ、いいわよ」
たとえ彼女が持っているものが愛しの婚約者であったとしても———、
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
「婚約破棄された転生令嬢ですが、王城のメイド五百人に慕われるメイド長になりました。なお元婚約者は私のメイドに土下座中です」
まさき
恋愛
社畜OLとして過労死した私は、異世界の令嬢・アリア・ヴェルナーに転生した。
目が覚めたら、婚約破棄されていた。
理由は「地味で面白みがない」から。
泣く暇もなかった。翌朝、王城のメイド採用面接に向かった。
最初は鼻で笑われた。雑用係からのスタートだった。
でも——前世で叩き込まれた仕事術と、一人ひとりの話を聞く姿勢で、少しずつメイドたちが集まってきた。
厨房が変わった。リネンが変わった。王城全体が変わっていった。
そして就任スピーチで宣言した。
「500人全員の名前を、覚えます」
冷酷と噂される王太子は、静かに見ていた。
悪役令嬢は妨害を仕掛けてきた。
元婚約者は——後悔し始めていた。
婚約破棄された令嬢が、500人に慕われるメイド長になるまでの物語。
なお元婚約者は、私のメイドたちの前で土下座中です。
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。