見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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二六

「実感したい……」

 俺は力を試したい衝動を抑えられなかった。

「試したいってか」

 オオムカデンダルは、ふふっと笑った。
今の俺が子供みたいなことを言っているのは十分に判っている。
だが冒険者であり、剣士などという力を生業とする者なら当然だろう。

「いいだろう。シミュレーションルームより、外で実際に暴れた方がお前には判りやすいだろうな」

 オオムカデンダルはそう言って俺を屋敷の外へ連れ出した。

「折れた足はまだくっついていないが、自然治癒力も上がっているからな。無理しなければ二、三日で完治するだろうよ」

 オオムカデンダルが事も無げに言う。
本当か。凄すぎる。

 だが、それもこれも実際に試してみなければ信用することは出来ない。

 俺は期待しつつも、未だに信じきれてはいなかった。

「強化手術の効果は一定の能力向上を保証するが、その向上度合いには個人差がある。お前がどの程度強化されてるかは神のみぞ知るだ」

 オオムカデンダルの説明を聞きながら俺は身体中を動かしてみる。
特に変わった感じはしない。

「まずは簡単に走ったり跳んだりがいいだろう。やってみろ」

 俺はうなずくと手始めに木々の間を走ってみた。

 快適だ。スムーズに手足が出る。
まだ本気を出していないのに普段より早い気がする。

 思いきって全力を出してみる

だんっ!

 地面を強く蹴った。

「うわあっ!」

 俺は思わず声をあげた。
体が予想を上回る力で前へ送り出された。

 速い。
森の木々が凄い速さで後ろへ飛んでいく。
まるで狐か狼にでもなった気分だ。

 驚きと楽しさで俺は我を忘れて森を駆け回った。
こんなに森の中を走り回ったのはガキの頃以来だ。

「息が……」 

 俺は自分の息が全く上がらないことに気が付いた。
苦しくない。
どこまででも、いつまででも走れそうだ。

「へえ……」

 オオムカデンダルが感心したように呟いた。
遠く離れた彼の呟きがハッキリと聞き取れていることに驚愕する。

 これが身体強化手術という物の効果か。
しかも効果時間は無期限だ。

「凄い。凄すぎる」

 俺は元の場所に戻って興奮気味に言った。

「確かにな。俺の予想以上の効果だ。適合性がめちゃくちゃ良かったか、それともこの世界の人間の特徴なのかは判らんが」

 冒険者というのがいいのかもな、とも言った。
確かに一般人に比べたら肉体の能力は破格なのは間違いない。
この若さでミラーナイトクラスに昇格したのだ。
今更ながら自身の身体能力が誇らしかった。

 それから俺は木を登り、木々の間を飛び移り、丸太を担ぎ上げ、木の太い枝を手刀でへし折った。

 そして太い木の幹を剣で両断したとき、俺は彼の支配下に置かれることに少しも抵抗を感じなくなっていた。
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