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九ニ
しかし、それ所ではなかった。
着地場所がない。
巨大なロック鳥が邪魔をして着地地点が見つからないのだ。
「うおおおっ!」
どんどん下降していく。
このままロック鳥の背中に着地するのか。
それはできれば避けたい。
ピンチからまた別のピンチに変わるだけだろう。
空高く舞い上がったロック鳥の背中から転落することを想像すれば、それが如何に避けたい事かは判ってもらえるだろう。
ブワアッ!
ロック鳥は大きく羽ばたいた。
嵐のような突風が吹き荒れる。
「うわあっ!」
加速しながらロック鳥は再び上昇していった。
地面があらわになる。
だが、吹き荒れる暴風で体勢は維持できない。
「ちくちょうっ!」
俺はナイーダを抱き抱えてなるべく背中から地面に落ちた。
どむっ!
地面に背中が着いた瞬間に大袈裟に転がった。
落下のダメージを一〇〇分の一でも減らしたい。
ゴロゴロゴロゴロ
ズザザザザッ!
全身打ち身は確実だったが、俺はなんとか耐えきった。
とはいえすぐには起き上がれそうもない。
息は止まって呼吸はできない。
顔はすり傷だらけだ。
「ナイーダ……!逃げろ……走るんだ!」
俺は何とか声を絞り出してやっと叫んだ。
それでもほとんど声は出ていなかった。
「なに言ってるの……駄目よ、立って!」
ナイーダが必死に俺の手を引く。
だが、どうにも体は動かなかった。
空を飛ぶロック鳥には唯一使える俺の魔法は効かない。
タンブルは地面を歩く物にしか効果はない。
今度こそ種切れだ。
「いいから行け……っ!」
俺はナイーダの手を振り切ると突き飛ばした。
「ッ!?」
一瞬ナイーダの顔がこわばった。
だが、仕方がない。他に方法はないのだ。
二人とも死ぬ必要はあるまい。
「行け……ッ!」
俺は先を指差した。
ナイーダの目が動揺しているのが見えた。
それでもナイーダが助かる保証はない。
無事に山を降りられるか、ロック鳥が見逃してくれるかは運次第だ。
それでもここにいるよりは『マシだろう』という程度のことだ。
辺りで他のモンスター達の叫び声が激しくなっている。
ロック鳥が暴れたせいで、他のモンスターもパニックになっている事は明らかだ。
「くっそ……もう少しだったのにな」
俺は諦めて空を仰いだ。
体中が痛んで指一本動かせそうにない。
残念だ。
後悔とは違う、残念だという気持ちが強く胸に残った。
あと一歩だったのに。
そんな気持ちが強い。
だが他にどうすれば良かったのか。
いや、ベストだったはずだ。
上出来だったのだ。
それで駄目だったのだから運が悪かったとしか言いようがない。
ゴオオオオッ!
キョオオオオオッ!
不気味なモンスターたちの叫び声が近付いてきていた。
それもかなりの数だ。
そりゃあそうだろう。
ヤツらは別に仲良しこよしではない。
ましてや棲みかがこの有り様じゃあ、相当に気が立っているはずだ。
着地場所がない。
巨大なロック鳥が邪魔をして着地地点が見つからないのだ。
「うおおおっ!」
どんどん下降していく。
このままロック鳥の背中に着地するのか。
それはできれば避けたい。
ピンチからまた別のピンチに変わるだけだろう。
空高く舞い上がったロック鳥の背中から転落することを想像すれば、それが如何に避けたい事かは判ってもらえるだろう。
ブワアッ!
ロック鳥は大きく羽ばたいた。
嵐のような突風が吹き荒れる。
「うわあっ!」
加速しながらロック鳥は再び上昇していった。
地面があらわになる。
だが、吹き荒れる暴風で体勢は維持できない。
「ちくちょうっ!」
俺はナイーダを抱き抱えてなるべく背中から地面に落ちた。
どむっ!
地面に背中が着いた瞬間に大袈裟に転がった。
落下のダメージを一〇〇分の一でも減らしたい。
ゴロゴロゴロゴロ
ズザザザザッ!
全身打ち身は確実だったが、俺はなんとか耐えきった。
とはいえすぐには起き上がれそうもない。
息は止まって呼吸はできない。
顔はすり傷だらけだ。
「ナイーダ……!逃げろ……走るんだ!」
俺は何とか声を絞り出してやっと叫んだ。
それでもほとんど声は出ていなかった。
「なに言ってるの……駄目よ、立って!」
ナイーダが必死に俺の手を引く。
だが、どうにも体は動かなかった。
空を飛ぶロック鳥には唯一使える俺の魔法は効かない。
タンブルは地面を歩く物にしか効果はない。
今度こそ種切れだ。
「いいから行け……っ!」
俺はナイーダの手を振り切ると突き飛ばした。
「ッ!?」
一瞬ナイーダの顔がこわばった。
だが、仕方がない。他に方法はないのだ。
二人とも死ぬ必要はあるまい。
「行け……ッ!」
俺は先を指差した。
ナイーダの目が動揺しているのが見えた。
それでもナイーダが助かる保証はない。
無事に山を降りられるか、ロック鳥が見逃してくれるかは運次第だ。
それでもここにいるよりは『マシだろう』という程度のことだ。
辺りで他のモンスター達の叫び声が激しくなっている。
ロック鳥が暴れたせいで、他のモンスターもパニックになっている事は明らかだ。
「くっそ……もう少しだったのにな」
俺は諦めて空を仰いだ。
体中が痛んで指一本動かせそうにない。
残念だ。
後悔とは違う、残念だという気持ちが強く胸に残った。
あと一歩だったのに。
そんな気持ちが強い。
だが他にどうすれば良かったのか。
いや、ベストだったはずだ。
上出来だったのだ。
それで駄目だったのだから運が悪かったとしか言いようがない。
ゴオオオオッ!
キョオオオオオッ!
不気味なモンスターたちの叫び声が近付いてきていた。
それもかなりの数だ。
そりゃあそうだろう。
ヤツらは別に仲良しこよしではない。
ましてや棲みかがこの有り様じゃあ、相当に気が立っているはずだ。
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