見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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一一八

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 オオムカデンダルは平然と言い返す。

「通るも何も、これは決定事項だ。諸君らが気に入る、気に入らないの話ではない」

 確かにそうだ。
彼らがそうだと言ったのなら必ずそうする。
それを阻める者が存在しない以上、仕方がない。

「ふざけるなッ!この痴れ者めが。出てこい。俺が自ら処断してやる!」

 処断する。つまり、この場で判断してそのまま処分を決めると言う事だ。
それだけの権限があると言うのなら、この男は大隊長よりも上と言う事になる。

「また将軍か……」

 俺は意外に思った。
将軍が二人も来ているとは。
姫君抹殺は極秘ではないのか?

「処断ねぇ。つまり処刑と言うことで良いのかな」

 オオムカデンダルの言葉が、どこか楽しそうに聞こえた。

「ふふ。ひるまないとは大したクソ度胸だ。この軍勢を前にして、少しも怯えた様子がない」

 新たな将軍は、獲物を前に舌なめずりをする虎のようだった。
この男もまた、どこか喜びを感じているのか。

「さっきの『将軍』は大したことなかったぞ。お前も同じなら止めておいた方がいい」

 オオムカデンダルの言葉に、新たな将軍は『ほぉ』と小さく呟いた。
その表情は少し驚いたような顔だ。

「お前か……」

 将軍はオオムカデンダルをじっと見据えた。

「いや。俺じゃない。こっちだ」

 オオムカデンダルは脇に立つフィエステリアームを親指で指した。

「ふふふ、ははははは。揃いも揃ってグロテスクな甲冑を着込みおって。おまけに大ボラ吹きとは。押し出しの強さだけでは相手を呑み込むのは無理だぞ」

 将軍は一笑に伏した。
どうやら本当とは思われなかったようだ。

「いいとも、ならばこの俺を倒してみよ!そうしたら信じてやる」

 この将軍は如何にも武人といったタイプなのだろう。
話しても判らないものは身体で確かめると言う訳だ。

 だが、この場合は。

「へへっ。嫌いじゃないぜ、アンタみたいなのは。俺はオオムカデンダル。四幹部が一人、オオムカデのオオムカデンダルだ」

 オオムカデンダルが名乗りを挙げる。

「俺は帝国軍、五雷神の一人。ライエル将軍だ」

 将軍が初めてライエルと名乗った。
見るのは初めてだったが、名前は聞いたことがある。
帝国の将軍としては古株の筈だ。
勇猛果敢の豪将として幾つもの逸話を残している。

 将軍を名乗る以上、その実力はブラックナイト級以上なのは間違いない。
問題はブラックナイト級よりも上のクラスが事実上ないと言う事だ。

 ブラックナイト級以上の実力は、当然ながらすべてブラックナイト級だ。
どの程度強いのか、これ以上は判断出来なかった。

 ちなみに、ルドム将軍の名前は聞いたことがない。
これが一体、何を意味しているのか。
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