125 / 826
一二五
しおりを挟む
なんの音もしなかった。
ただ強い光が一直線に、エクスキューション・ジェイルの中へと飛び込んだ。
カキンッ!カキンッ!キンカキンッ!
聞いたこともない甲高い音が聞こえた。
何がどうなっているのか。
「あれはなに?」
フィエステリアームが呟く。
だが俺にも判らない。
「多少低温になっているが……百足も困惑してるな」
オニヤンマイザーが答えた。
見えるのか?
俺には真っ白で何も見えない。
「俺たちの目は特別だからな」
オニヤンマイザーが事もなげに言い切った。
「おい。これはなんだ?」
オオムカデンダルの声が聞こえた。
本当だ。
オオムカデンダルは無事だった。
一方、ライエルは対称的な表情だ。
「セント・ホーリー・レイがまったく効いていないだと……!」
セント・ホーリー・レイ。
魔法職の中でも『マギ』か『カーディナル』などの上級聖職者にしか使えない、神罰系の魔法だ。
俺も初めて見た。
いや、今日は初めて見る魔法ばかりだ。
「その馬鹿げた力、悪魔の物ではないのか……」
ライエルの言葉に俺はピンときた。
確かに彼らの力を見れば、それが普通の魔法や魔導具によってもたらされた物ではない事は明らかだ。
悪魔の力。
そうとしか思えないほどの馬鹿馬鹿しい力。
ならば『聖なる力』が対抗策になると思うのは当然と言えば当然か。
「誰が悪魔だ。コノヤロー」
白い闇が晴れた。
その中からオオムカデンダルが再び現れる。
まったくダメージを受けていない。
しいて言えば、表面にうっすらと霜が張っていた。
神罰系の魔法は、悪魔うんぬんは抜きにしても、まったくダメージがない事はない。
魔に浴するような邪悪な存在には特別に効果が高いと言うだけで、セント・ホーリー・レイそのものはどんな物や相手にも一定の効果はある。
ましてや、上位の高等魔法だ。
まともに食らえば頑強な人間の衛士でも、ひとたまりもあるまい。
それが無傷。
味方といえども嫌になる。
「お前らは……本当に……いったい何者なのか……?」
ライエルが心底知りたいと言う顔で呟いた。
「我々は秘密結社ジョルト……いや、『ネオ・ジョルト』だ」
オオムカデンダルが高らかに宣言した。
ネオ・ジョルト?
俺も初耳だが。
何気なくオニヤンマイザーの顔を見た。
「……俺に聞くな。俺も初耳だ」
ウロコフネタマイトも顔を反らした。
「僕は秘密結社初めてだ」
フィエステリアームだけが素直に事態を受け止めている。
「……ネオ……ジョルトだと……!?」
ライエルが混乱しながらも必死に理解しようとしているのが伝わる。
何故か笑えるのだが、俺はそれを顔には出さなかった。
ただ強い光が一直線に、エクスキューション・ジェイルの中へと飛び込んだ。
カキンッ!カキンッ!キンカキンッ!
聞いたこともない甲高い音が聞こえた。
何がどうなっているのか。
「あれはなに?」
フィエステリアームが呟く。
だが俺にも判らない。
「多少低温になっているが……百足も困惑してるな」
オニヤンマイザーが答えた。
見えるのか?
俺には真っ白で何も見えない。
「俺たちの目は特別だからな」
オニヤンマイザーが事もなげに言い切った。
「おい。これはなんだ?」
オオムカデンダルの声が聞こえた。
本当だ。
オオムカデンダルは無事だった。
一方、ライエルは対称的な表情だ。
「セント・ホーリー・レイがまったく効いていないだと……!」
セント・ホーリー・レイ。
魔法職の中でも『マギ』か『カーディナル』などの上級聖職者にしか使えない、神罰系の魔法だ。
俺も初めて見た。
いや、今日は初めて見る魔法ばかりだ。
「その馬鹿げた力、悪魔の物ではないのか……」
ライエルの言葉に俺はピンときた。
確かに彼らの力を見れば、それが普通の魔法や魔導具によってもたらされた物ではない事は明らかだ。
悪魔の力。
そうとしか思えないほどの馬鹿馬鹿しい力。
ならば『聖なる力』が対抗策になると思うのは当然と言えば当然か。
「誰が悪魔だ。コノヤロー」
白い闇が晴れた。
その中からオオムカデンダルが再び現れる。
まったくダメージを受けていない。
しいて言えば、表面にうっすらと霜が張っていた。
神罰系の魔法は、悪魔うんぬんは抜きにしても、まったくダメージがない事はない。
魔に浴するような邪悪な存在には特別に効果が高いと言うだけで、セント・ホーリー・レイそのものはどんな物や相手にも一定の効果はある。
ましてや、上位の高等魔法だ。
まともに食らえば頑強な人間の衛士でも、ひとたまりもあるまい。
それが無傷。
味方といえども嫌になる。
「お前らは……本当に……いったい何者なのか……?」
ライエルが心底知りたいと言う顔で呟いた。
「我々は秘密結社ジョルト……いや、『ネオ・ジョルト』だ」
オオムカデンダルが高らかに宣言した。
ネオ・ジョルト?
俺も初耳だが。
何気なくオニヤンマイザーの顔を見た。
「……俺に聞くな。俺も初耳だ」
ウロコフネタマイトも顔を反らした。
「僕は秘密結社初めてだ」
フィエステリアームだけが素直に事態を受け止めている。
「……ネオ……ジョルトだと……!?」
ライエルが混乱しながらも必死に理解しようとしているのが伝わる。
何故か笑えるのだが、俺はそれを顔には出さなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる