見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

文字の大きさ
156 / 826

一五六

「そう。サフィリナは自前で光学迷彩の基礎とも言うべき能力を持っている。それを限界まで発展強化した。この距離で見ても判らないほどの完成度だ」

 蜻蛉洲の饒舌が増す。

「消えたから何だって言うんだ。こそこそ隠れて敵が倒せるかよ」

 オオムカデンダルはまだ認めていない。
かく言う俺もよく判っていない。
そもそも、自分の姿もまだ見てない。
消えているならなおさらだ。

「十の力を持つ者を、百の力で倒す必要などない。例え九の力でも見えない利を活かせば倒すことは幾らでも可能だろ」

 蜻蛉洲が言った。
オオムカデンダルが、ケッと言ってそっぽを向く。
子供か。

「キロネックスは当然毒だね」

 フィエステリアームが構わず話の先を促した。

「その通り。世界一危険とも言われるこの毒は青酸カリの千倍、サソリの一万倍と言われる。刺されたら五分以内に死ぬ事もざらだ。一分で死んだ例もある。成人男性七十人分の致死量を持つ」

 我が事ながら危険極まりない。
そんなのになってしまったが良いのかこれ。

「おい。また毒かよ。フィエステリアームの時で懲りたんじゃないのか、俺たちまで危ないんだぞ」

 オオムカデンダルが口をはさんだ。

「心配ない。今度は刺胞に触れなければ毒は注入できない。辺りに散布するような類いではないのでね。とは言えキロネックスの毒をそのまま持ってきた訳ではない。当然強化してあるから、やられれば改造人間の俺たちでも無事では済まんぞ」

 蜻蛉洲がそう言って笑った。
何がおかしいのか。
コイツ大丈夫か。

「当たり前だ。強化の余地があるのにやらないのは科学者として三流だ」

 オオムカデンダルが同意した。
コイツらの価値観が俺には判らない。

「今のところ俺が感嘆するような内容ではないな。蜻蛉洲、お前ボケたな」

 オオムカデンダルが軽蔑するように蜻蛉洲を見た。
冗談で言っているような表情には見えない。
オオムカデンダルは本気で蜻蛉洲を疑っている。

「ふ。お前にそんな事を言われる筋合いはないが、一応反論しておいてやる。お前にはこのレオは倒せん」

 蜻蛉洲はまっすぐにオオムカデンダルを見据えてそう断言した。
また勝手な事を言う。

「やはりボケたか。百歩譲って最高傑作ができたのだとしよう。だがそもそも素材不足は克服のしようがない。俺たち幹部とは物の完成度が違う。それが俺に勝つだと?」

 オオムカデンダルが俺を一瞥してからそう言った。

「違うな。俺は『倒せん』と言ったのだ。どっちが勝つかはお前とレオ次第だ」

 蜻蛉洲がもってまわった言い方をする。
どういう意味か、俺にも真意は計りかねた。
感想 238

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最後に笑うのは

りのりん
恋愛
『だって、姉妹でしょ お姉様〰︎』 ずるい 私の方が可愛いでしょ 性格も良いし 高貴だし お姉様に負ける所なんて ありませんわ 『妹?私に妹なんていませんよ』

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜

侑子
恋愛
 小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。  父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。  まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。  クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。  その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……? ※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。

一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました

由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。 ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。 遠い存在になったはずの彼。 けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。 冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。

「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。

しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。

女性が少ない世界に転生した控えめ伯爵令嬢、なぜか五人の婚約候補に選ばれて少しずつ恋を知っていきます

ノッポ
恋愛
女性が極端に少ない異世界に転生した私は、気づけば伯爵令嬢になっていた。 前世は日本で普通に生きていたせいか、貴族令嬢らしい強気な振る舞いがどうしても苦手。 社交界デビューを迎えても、「どうして私が選ばれるの?」と戸惑うばかりだった。 けれど今年デビューする高位令嬢はわずか三人。 家同士の思惑も重なり、騎士団長家の息子、宰相子息、魔術師団長の息子、幼なじみの侯爵子息、そして英雄騎士―― 五人の若きエリートとのお見合いが次々と始まってしまう。 遠慮がちで控えめな性格は、この世界では珍しく、気づけば少しずつ距離を縮めていく彼ら。 異世界での恋愛に戸惑う日々。けれど出会いを重ねるたびに、私は少しずつ変わっていく――。 女性希少世界で、自分の幸せを選べるようになるまでの逆ハーレム恋愛ファンタジー。