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一九七
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オオムカデンダルはようやく立ち上がった。
「堅苦しいのは好きじゃないんで、簡単に。俺は百足謙太郎。またの名をオオムカデンダルと言う」
オオムカデンダルはそう言ってまた座った。
「ま、適当に座って」
オオムカデンダルはそう言って空いてる席を勧めた。
サルバスは部屋の中を見渡してから、ゆっくりと椅子へ腰かけた。
「なんとも座り心地の良い椅子だな。こんなのは初めてだ」
サルバスは座った瞬間驚いた様子で口走った。
マズルはサルバスの後ろで立っていた。
護衛のつもりだろう。
ちゃんとしているな。
「お前さんがここの頭目かえ?」
サルバスがニコニコしながら尋ねた。
「まあ、そんな感じだが他にも居る。俺一人って訳じゃない」
「複数頭目が居るのか?何故?」
サルバスは解せないと言うように尋ねる。
「何故って言われてもな……三人で創ったからかな?」
オオムカデンダルも返事に困っている。
こんな光景は珍しい。
「ふぅむ……不思議なもんだな」
サルバスも興味深そうに自らの髭をいじった。
「いや、爺さん。尋ねたいのはこっちなんだが」
オオムカデンダルが頭を掻きながら言った。
「いやいや。こっちも尋ねたい事は山のようにあるぞ」
心なしかサルバスのテンションは高くなってきている。
嬉しいのか?
「いやいやって……弱ったな、この爺さん。どうするよ?」
オオムカデンダルが俺を見た。
そんな目で見られても俺も困る。
「話なら蜻蛉洲に任せたら良いんじゃないか。こういう事は得意そうだし」
仕方がないので蜻蛉洲に丸投げする案を提案した。
実際、向いていると思う。
「お、そうだな。ところで蜻蛉洲はどこ行ったんだ」
オオムカデンダルが辺りを見渡した。
おそらくヴァンパイアの体を入手して、自分の研究室で愉悦に浸っているのだろう。
容易に目に浮かぶ。
「管理人。蜻蛉洲は?」
「蜻蛉洲さんはご自分の研究室ですが」
管理人の声が部屋に響き渡る。
「な、なんだ?誰の声だ!」
マズルが身構える。
「ちっ……自分が必要だと言ったくせに、あの研究オタクが」
オオムカデンダルが舌打ちした。
「蜻蛉洲に繋げ」
「了解です」
オオムカデンダルの言葉通り、管理人は蜻蛉洲に取り次いだ。
「おいこら!引きこもり!研究室にとじ込もってニヤニヤしてるんじゃない!お前の客だぞ!」
オオムカデンダルが怒鳴る。
相変わらず口が悪い。
「な……!僕はニヤニヤしてなんかいない!」
蜻蛉洲の声が返ってきた。
「うるさい!早く来い!」
「今、ヴァンパイアの体を保存する処理をしてるんだ!少し待て!」
「いーや、待てんね。ヴァンパイアの体を眺めてウットリしてるんだろ。判るぞ」
「……今行く」
蜻蛉洲が一言そう言うと会話は途切れた。
ウットリはしていたのか。
俺は何となくそんな事を思った。
「堅苦しいのは好きじゃないんで、簡単に。俺は百足謙太郎。またの名をオオムカデンダルと言う」
オオムカデンダルはそう言ってまた座った。
「ま、適当に座って」
オオムカデンダルはそう言って空いてる席を勧めた。
サルバスは部屋の中を見渡してから、ゆっくりと椅子へ腰かけた。
「なんとも座り心地の良い椅子だな。こんなのは初めてだ」
サルバスは座った瞬間驚いた様子で口走った。
マズルはサルバスの後ろで立っていた。
護衛のつもりだろう。
ちゃんとしているな。
「お前さんがここの頭目かえ?」
サルバスがニコニコしながら尋ねた。
「まあ、そんな感じだが他にも居る。俺一人って訳じゃない」
「複数頭目が居るのか?何故?」
サルバスは解せないと言うように尋ねる。
「何故って言われてもな……三人で創ったからかな?」
オオムカデンダルも返事に困っている。
こんな光景は珍しい。
「ふぅむ……不思議なもんだな」
サルバスも興味深そうに自らの髭をいじった。
「いや、爺さん。尋ねたいのはこっちなんだが」
オオムカデンダルが頭を掻きながら言った。
「いやいや。こっちも尋ねたい事は山のようにあるぞ」
心なしかサルバスのテンションは高くなってきている。
嬉しいのか?
「いやいやって……弱ったな、この爺さん。どうするよ?」
オオムカデンダルが俺を見た。
そんな目で見られても俺も困る。
「話なら蜻蛉洲に任せたら良いんじゃないか。こういう事は得意そうだし」
仕方がないので蜻蛉洲に丸投げする案を提案した。
実際、向いていると思う。
「お、そうだな。ところで蜻蛉洲はどこ行ったんだ」
オオムカデンダルが辺りを見渡した。
おそらくヴァンパイアの体を入手して、自分の研究室で愉悦に浸っているのだろう。
容易に目に浮かぶ。
「管理人。蜻蛉洲は?」
「蜻蛉洲さんはご自分の研究室ですが」
管理人の声が部屋に響き渡る。
「な、なんだ?誰の声だ!」
マズルが身構える。
「ちっ……自分が必要だと言ったくせに、あの研究オタクが」
オオムカデンダルが舌打ちした。
「蜻蛉洲に繋げ」
「了解です」
オオムカデンダルの言葉通り、管理人は蜻蛉洲に取り次いだ。
「おいこら!引きこもり!研究室にとじ込もってニヤニヤしてるんじゃない!お前の客だぞ!」
オオムカデンダルが怒鳴る。
相変わらず口が悪い。
「な……!僕はニヤニヤしてなんかいない!」
蜻蛉洲の声が返ってきた。
「うるさい!早く来い!」
「今、ヴァンパイアの体を保存する処理をしてるんだ!少し待て!」
「いーや、待てんね。ヴァンパイアの体を眺めてウットリしてるんだろ。判るぞ」
「……今行く」
蜻蛉洲が一言そう言うと会話は途切れた。
ウットリはしていたのか。
俺は何となくそんな事を思った。
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