見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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二八六

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「レオか。こんな男が在野に居たとはな。世の中広い」

 そう言いながら、メルドルムが自分の剣を拾い上げた。
帝国がこれほどの力を持っているのも、半分は将軍たちの力だと噂される。
あながち嘘ではないらしい。

「じゃあ僕も名乗っておこうかな。僕はマザだ」

 この幼いのも将軍を名乗る以上、メルドルムと同等の力を持っていると考えた方が良いだろう。

 いつの間にか部隊長らにも囲まれている。
部隊長六人の包囲網に将軍が二人。
魔導士風のヤツらは、相変わらず離れてこちらを見ているだけだ。
だが油断はできない。

「分担決める?」

 オレコが言った。

「いや、この状況なら手当たり次第が良いだろう」

 カルタスが答える。

 将軍二人か。
このままでは分が悪い。

「将軍は俺に任せてもらおう」

 俺は将軍の相手を買って出た。
他は好きにしてくれ。

「お前、確かミラーナイトだって言ってなかったか。大丈夫か?」

 カルタスが心配する。

「資格は確かにミラーナイトだが問題ない」

 俺は将軍たちの前に立ちはだかった。

「二人相手に臆しないか」

 メルドルムが不敵に笑う。

「臆している。だから俺も本気を出す」

「なに?」

 メルドルムが片方の眉を吊り上げた。

「今までは本気じゃ無かったと?」

 そう言って、マザが自分と同じ大きさの剣を肩に担いだ。
自然な仕草だが、それがもう構えになっている。
可愛い顔をして恐ろしいな。

「いくぞ」

 俺は二人を見据えて変身の体勢に入る。

「変身!」

 掛け声と共に俺はその場でクルリと回転した。

「!!」

「!?」

 回転し終わった時、俺の姿は改造人間『サフィリナックス』へと変貌を遂げる。
メルドルムもマザも表情が変わった。
いや、カルタスとオレコもだ。
なぜかトラゴスだけはいつも通りだった。
ま、元が山羊だからな。

「カルタス、トラゴスを守ってやれ」

「ハッ!言われなくても判ってら!」

 俺の言葉にカルタスが返す。

「……姿が変わった!?」

 メルドルムが呆然としていた。

「禍々しい姿だね。悪党に相応しい」

 マザが顔をしかめて吐き捨てるように言った。
悪党のつもりはないが、帝国からすればそうなるな。
なんか釈然としなかったが、今はまあ良い。

「参る!」

 メルドルムが気持ちを切り替えて剣を構える。
そして間髪入れずに飛び掛かってくる。

 これはさっきの兜割りか。
俺にかわされた技が、二度通用すると思うのか。
今度はさっきとは違い、余裕を持ってかわす。

 シュボッ!

 空気が破裂するような音をさせて、メルドルムの脇から影に隠れるように剣が飛び出した。

「おおっ!?」
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