見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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三一一

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「来いって言われても……なあ?」

 カルタスがオレコを見た。
オレコも返答に困っている。
ま、そりゃそうだろう。
普通の反応だ。

「お前はなんで一員になったんだ?交換条件とは言え、抵抗は無いのか?」

 秘密結社のメンバーにする質問では無いような気もするが。

「……俺は失いたくない仲間がいる。その人を救ってもらうのを条件に一員になった」

 俺は成り行きを簡単に説明した。

「そんな事があったのか」

 カルタスが言葉少なにそう言った。

「その女が好きなのか?」

 身も蓋も無いことを言うな。

「……まあな」

 俺も今までハッキリと口にした事は無かったが、ここまで来てごまかす気も無かった。

「そうか……」

 カルタスが納得したように俺の目を見た。
俺はふとオレコを見た。

「うぅ……ふぐっ……うぐっ……うえぇ……」

 何事かとぎょっとする。
まさか、泣いているのか。

「だぁってぇ……うぐっ……悲しいじゃない……えぐっ……良い話だわ……ひっく……ひっく」

 客観的に自分の境遇を考えた事は無かった。
それにしても、こんなに感激屋だっとはな。

「まあ、そう言う訳だから時間を少しやろう。考えてみてくれ。良い返事を期待している」

 オオムカデンダルはそう言ってもう一度椅子に腰を下ろした。
そうこうするうちにメタルシェルは、もう拠点に到着した。
やはり速い。

 俺たちはワイトとレイスを引きずってメタルシェルを降りた。

「くっ……貴様たちの秘密、確かに聞いたぞ!馬鹿な奴らめ!」

 レイスが減らず口を叩く。

 ドカッ!

 間髪入れずにオオムカデンダルがレイスを蹴った。

「ぐぎゃ!」

「黙れよ。お前らに知れた所で何だってんだ。文句があるなら仲間でも何でも呼べよ。それまでお前が生きていられたらな」

 オオムカデンダルはレイスを見もせずにそう言った。
ランク的にはA級かS級モンスターと思われるレイスに対して恫喝するとは、信じられない態度だ。

「何か、とんでもない奴に思えてきたな……」

 カルタスが小声でオレコに耳打ちした。
俺はカルタスの後ろから付いてくるトラゴスも見た。
なんだかんだ、ちゃんと着いてきている。
どうするんだ、この子。

「おお、来たか!待っておったぞ!」

 賢者サルバスが待ってましたと現れた。

「け、賢者サルバス……様!」

 呼び捨てしそうになって、カルタスは慌てて様を付けた。

「どうしてここに賢者さまが!?」

 オレコも驚いて目を丸くした。

「はっはっはっはっ!ワシもここの食客でな。面白いから居候させてもらっておる」

 正確には情報交換の為だ。
賢者からこの世界の事を教えてもらう代わりに、蜻蛉洲が科学と言うものについて、サルバスに教えている。
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