339 / 826
三三九
ズオオオッ!
斬りつけた先から煙が巻き起こる。
まるで液体のように地表を滑り、巻き起こった煙がウロコフネタマイトに直撃した。
「くっ!」
ウロコフネタマイトが呻き声を漏らす。
物凄い熱気だ。
普通の熱量ではない。
火山噴火の際に斜面を下る灼熱の煙。
まさしく火砕流そのものだった。
「……やるわね」
ウロコフネタマイトが呟いた。
「まだ、しゃべれるのか……」
カルタスの頬を冷や汗が流れ落ちる。
「ふんっ!」
ウロコフネタマイトは気合いと共に力を込めた。
ギシ……ミキミキ……ギギ……ギイイ
不気味な音が聞こえる。
初めて聞く音だったが、全員が何の音か予感していた。
オレコにとっては嫌な予感しかしない。
ギイイイイインッ!
突如、金属が弾ける音がした。
四方に鎖が飛び散る。
がっ!
ごっ!
バラバラッ!
無数の鎖の破片が地面に落ちる。
強固な分だけ弾けた時の衝撃は凄まじかった。
「なんだと……」
カルタスは呆然とウロコフネタマイトの姿を見つめた。
彼女は暴れるでもなく、わめき散らすでもなく、そこに静かに立っていた。
「普通の鎖とは違うのね。結構丈夫じゃない」
ウロコフネタマイトはそう言うと、変身を解いた。
「お、おい」
カルタスが令子に声をかけようとした。
「合格よ。改造手術は見送ってあげるわ」
令子が微笑みながら言った。
「本当か?」
「ええ。私から百足君に伝えておくわね」
令子はそう言うとくるりと背を向けて行ってしまった。
なんとも淡白なやりとりである。
「良かったな」
俺はカルタスとオレコに声をかけた。
「……ああ。だが、なんか釈然としねえ」
カルタスが不満げに言う。
「何がだ?」
「あそこからがヤツの攻撃が始まるところだった筈だ。なのにアッサリ合格を出しやがった」
そんな事か。
どうやらまだ判っていないようだな。
「お前、彼女の攻撃が始まったら即死だぞ」
俺は冷ややかに言った。
「強いのは認めるし、異論はない。だが即死は……」
「即死だぞ」
俺は反論を許さずに言い放った。
「お前はまだ判っていない。彼女たちと人間との間には絶対に越えられない壁がある。今回合格になった事を喜んでいるが、もしかしたら不合格だった方が良かったのかもしれんぞ」
カルタスが言葉に詰まった。
「お前、いくら何でもそれは言い過……」
「お前たちは強いよ。彼女が認めるだけの事はある。ブラックナイトクラスに、ブラックナイトと同等の強さを持つ元傭兵だ。そりゃ強いに決まってる」
カルタスが何が言いたい、と言う目で俺を見た。
「お前たちは単身でヴァンパイアに勝つ自信があるか?」
「なに?」
「俺でさえヴァンパイアと互角以上に戦える。彼女たちならなおさらだ」
カルタスとオレコは言葉を失った。
斬りつけた先から煙が巻き起こる。
まるで液体のように地表を滑り、巻き起こった煙がウロコフネタマイトに直撃した。
「くっ!」
ウロコフネタマイトが呻き声を漏らす。
物凄い熱気だ。
普通の熱量ではない。
火山噴火の際に斜面を下る灼熱の煙。
まさしく火砕流そのものだった。
「……やるわね」
ウロコフネタマイトが呟いた。
「まだ、しゃべれるのか……」
カルタスの頬を冷や汗が流れ落ちる。
「ふんっ!」
ウロコフネタマイトは気合いと共に力を込めた。
ギシ……ミキミキ……ギギ……ギイイ
不気味な音が聞こえる。
初めて聞く音だったが、全員が何の音か予感していた。
オレコにとっては嫌な予感しかしない。
ギイイイイインッ!
突如、金属が弾ける音がした。
四方に鎖が飛び散る。
がっ!
ごっ!
バラバラッ!
無数の鎖の破片が地面に落ちる。
強固な分だけ弾けた時の衝撃は凄まじかった。
「なんだと……」
カルタスは呆然とウロコフネタマイトの姿を見つめた。
彼女は暴れるでもなく、わめき散らすでもなく、そこに静かに立っていた。
「普通の鎖とは違うのね。結構丈夫じゃない」
ウロコフネタマイトはそう言うと、変身を解いた。
「お、おい」
カルタスが令子に声をかけようとした。
「合格よ。改造手術は見送ってあげるわ」
令子が微笑みながら言った。
「本当か?」
「ええ。私から百足君に伝えておくわね」
令子はそう言うとくるりと背を向けて行ってしまった。
なんとも淡白なやりとりである。
「良かったな」
俺はカルタスとオレコに声をかけた。
「……ああ。だが、なんか釈然としねえ」
カルタスが不満げに言う。
「何がだ?」
「あそこからがヤツの攻撃が始まるところだった筈だ。なのにアッサリ合格を出しやがった」
そんな事か。
どうやらまだ判っていないようだな。
「お前、彼女の攻撃が始まったら即死だぞ」
俺は冷ややかに言った。
「強いのは認めるし、異論はない。だが即死は……」
「即死だぞ」
俺は反論を許さずに言い放った。
「お前はまだ判っていない。彼女たちと人間との間には絶対に越えられない壁がある。今回合格になった事を喜んでいるが、もしかしたら不合格だった方が良かったのかもしれんぞ」
カルタスが言葉に詰まった。
「お前、いくら何でもそれは言い過……」
「お前たちは強いよ。彼女が認めるだけの事はある。ブラックナイトクラスに、ブラックナイトと同等の強さを持つ元傭兵だ。そりゃ強いに決まってる」
カルタスが何が言いたい、と言う目で俺を見た。
「お前たちは単身でヴァンパイアに勝つ自信があるか?」
「なに?」
「俺でさえヴァンパイアと互角以上に戦える。彼女たちならなおさらだ」
カルタスとオレコは言葉を失った。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました
由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。
ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。
遠い存在になったはずの彼。
けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。
冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
完 弱虫のたたかい方 (番外編更新済み!!)
水鳥楓椛
恋愛
「お姉様、コレちょーだい」
無邪気な笑顔でオネガイする天使の皮を被った義妹のラテに、大好きなお人形も、ぬいぐるみも、おもちゃも、ドレスも、アクセサリーも、何もかもを譲って来た。
ラテの後ろでモカのことを蛇のような視線で睨みつける継母カプチーノの手前、譲らないなんていう選択肢なんて存在しなかった。
だからこそ、モカは今日も微笑んだ言う。
「———えぇ、いいわよ」
たとえ彼女が持っているものが愛しの婚約者であったとしても———、
居酒屋の看板娘でしたが、歌の治癒魔法が覚醒して王女に戻されました〜幼い頃に出会った側近様と紡ぐ恋〜
丸顔ちゃん。
恋愛
生まれてすぐに誘拐され、死んだとされた王女──
その赤子は、実は平民街にひっそりと置き去りにされていた。
病弱な父に拾われ、居酒屋の看板娘として育ったミリア。
白い小花を髪に挿し、歌うことが大好きな少女。
自分の歌に“治癒の力”が宿っていることなど知らずに、
父と平民仲間に囲まれ、穏やかな日々を送っていた。
ある日、市場にお忍びで来ていた皇太子とその側近が、ミリアの歌声を耳にする。
皇太子は“王族にしかない魔力の波動”を感じ、
側近は幼い頃の祭りで出会った白い小花の少女を思い出し、胸がざわつく。
その直後、父が危篤に。
泣きながら歌ったミリアの声は奇跡を起こし、治癒魔法が覚醒する。
「どうして平民の私に魔力が……?」
やがて明かされる真実──
ミリアこそ、行方不明になっていた王女その人だった。
王宮に迎えられ、王女としての生活が始まる。
不安と戸惑いの中、そばにいてくれるのは、
幼い頃に一目惚れし、今も変わらず彼女を見つめる皇太子の側近。
「今度こそ、君を見失わない」
歌姫王女として成長していくミリアと、
彼女を支え続ける側近の、優しくて温かい恋の物語。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
やっかいな幼なじみは御免です!
ゆきな
恋愛
有名な3人組がいた。
アリス・マイヤーズ子爵令嬢に、マーティ・エドウィン男爵令息、それからシェイマス・パウエル伯爵令息である。
整った顔立ちに、豊かな金髪の彼らは幼なじみ。
いつも皆の注目の的だった。
ネリー・ディアス伯爵令嬢ももちろん、遠巻きに彼らを見ていた側だったのだが、ある日突然マーティとの婚約が決まってしまう。
それからアリスとシェイマスの婚約も。
家の為の政略結婚だと割り切って、適度に仲良くなればいい、と思っていたネリーだったが……
「ねえねえ、マーティ!聞いてるー?」
マーティといると必ず割り込んでくるアリスのせいで、積もり積もっていくイライラ。
「そんなにイチャイチャしたいなら、あなた達が婚約すれば良かったじゃない!」
なんて、口には出さないけど……はあ……。