見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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三七八

 入り口付近に四人。
屋敷を囲むように十数名の見張りが配置されている。
叩きのめすのは簡単だが、連中に気付かれたくない。
俺は見張りの間を縫って屋敷に接近した。

 入り口を開けるのはまずいな。
姿は見えなくても、壁を通り抜けられる訳ではない。
あくまでも、見えにくくなっているだけだ。
となると、二階部分からの侵入か。
俺はジャンプして二階のテラスに飛び乗った。

 みしっ……

 見た目通りにボロくて、足場がきしむ。
思った以上に隠密行動は難しいな。
俺は慎重に窓から中をうかがった。
部屋の中は真っ暗だ。
この部屋は関係無さそうだな。
だったら侵入するのはこの部屋からだ。
俺は窓を開けて屋敷の中へと忍び込んだ。

 俺の目は暗闇でも見える。
何の苦労もなく部屋の中を移動し、ドアへ近付いた。
部屋の外にはあまり気配がない。
だが、俺の耳には屋敷の中の音は全て筒抜けだった。

『おら、ファズさんがお前をお待ちだ。しっかりご奉仕させてもらえ!』

 男の声が聞こえる。
会話の内容から察するに、キロが居るのはほぼ確実だ。

『ア、アタシ……もうお客さんの相手はしてないんです!』

 キロの声だ。

『ああ、その話はな、お前んトコのバッケスに了承済みだ。ちゃあんと金はたんまり払ってあるんだからよ、心配せずに奉仕しろよ』

 下卑た男たちの笑い声が聞こえてくる。
なるほどな。
あのバッケスも所詮は金に汚い人買いか。

『さあ、キロ。こっちへ来るんだ。たっぷり可愛がってやるからな』

 これはファズの声だ。
気味の悪い猫なで声を出してやがって。
ここまで判れば充分だ。
後は全員泣かせてやる。
俺はドアを開けて廊下へ出ると、階下への階段を探した。

 何名か廊下を歩いているが、今の俺を見付けられるような注意力のある人間はこの屋敷に居なさそうだ。
階段を下りると、一階のエントランスに出た。
そこから屋敷の奥へと進む。
廊下の左右に部屋があり、その突き当たりのドアの中から声が聞こえる。
あそこが広間って事か。

 ドアの前に立つと、キロの泣き叫ぶ声が聞こえた。
聞くに堪えない。
俺はドアをゆっくり開けた。
中にはファズがソファーに座っており、その膝の上にキロの姿があった。
そしてそれを笑いながら見守る男たちが数名。

 楽勝だな。

 俺は遠慮なくずかずかと室内に入り込むと、真っ直ぐファズへと向かった。

「いやあっ!離して下さいっ!嫌ですっ!」

「大人しくしないとまた、お仕置きだぞ!良いのか?お仕置きが好きか?ん?」

 全く、馬鹿面で何を言っているのか、この男は。
俺は呆れながらもファズの膝からキロを奪い取った。

「!?」

「な、なんだ!」
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