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四一〇
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「なぜあのメモを欲しがる。誰の差し金だ?」
俺は男に質問した。
「そ、それは……」
男が言いよどむ。
「別に言いたくないなら黙っているが良い。ゲームが続行されるだけだ。それに最終ラウンドだからな。これに勝てばお前は晴れて放免だ」
俺はそう言うとニコリと笑った。
「や、止めてくれ!」
男が後ずさる。
だが、高く狭いこの監視塔に後ずさる程の後は無い。
「た、助けてくれえー!」
俺は男をむんずと捕まえると、両手で抱き上げた。
「ひいいいいいぃぃ!」
男が悲鳴をあげる。
「や、やめろ!」
階下から声がした。
見ると、声の主はキロの姉だった。
「いくらなんでもやり過ぎだろ!」
俺は黙ってキロの姉をジッと見つめた。
「……駄目だね」
「え!?」
俺の答えにキロの姉は驚いた。
「悪党にかける情けなどない。コイツらは平気で嘘をつく。そして騙す。約束など守りゃしない。善良な人間を食い物にして楽して暮らす事しか考えない」
「そ、それは……」
「お前だってたくさん手に掛けて来ただろ。俺もお前に襲われた口だからな。それに、そいつらが何を言ったかは知らんが、お前もきっと騙されているぞ」
キロの姉が男たちを見た。
だがその男たちは、全員キロの姉から視線を逸らした。
「悪党ってのはな、力の信奉者だ。より強い力にしか従わない。人間の在り方としては最低だが、ある意味正直で本来の姿とも言える」
「お、お前だって悪党なんだろ!正義の味方は敵だって言ってたじゃないか!」
キロの姉が食い下がった。
「そうとも。だから『例え悪党でも殺さない』なんて言う善人の意見には与しない」
キロの姉は俺の顔を見て、恐怖に怯えた表情を浮かべる。
俺は今、さぞや冷酷な顔をしているのだろう。
「さあ、ラストチャスだ。頑張って生き抜いてみろ」
俺はそう言って男を振りかぶった。
「ああああっ!言う!言います!言うから投げないでぇっ!」
男は涙声で絶叫した。
俺はもう投げる体勢に入っていたのを、無理やり体を回転させて中止した。
下からは悲鳴に似た声が上がる。
俺は男を一旦下に置いた。
失禁してやがる。
汚ねえなあ。
「マ、マイヤードだ……」
やっぱりか。
ま、普通の展開だな。
懲りないヤツめ、もう一度脅かしておく必要があるな。
「なぜマイヤードはあのメモを欲しがる」
「詳しくは知らねえ……けど何か手に入れなきゃならねえもんがあるらしい。それがないとマズイ事になるんだと」
マズイ事?
なんだそれは?
「知らねえ……ホントに知らねえんだ。もう勘弁してくれえ」
男はガキのように泣きじゃくった。
仕方がない。
俺は男の首根っこを掴まえると、そのまま地上へと飛び降りた。
「ひぃやあああああっ!」
下からも同様の悲鳴が上がる。
俺は男に質問した。
「そ、それは……」
男が言いよどむ。
「別に言いたくないなら黙っているが良い。ゲームが続行されるだけだ。それに最終ラウンドだからな。これに勝てばお前は晴れて放免だ」
俺はそう言うとニコリと笑った。
「や、止めてくれ!」
男が後ずさる。
だが、高く狭いこの監視塔に後ずさる程の後は無い。
「た、助けてくれえー!」
俺は男をむんずと捕まえると、両手で抱き上げた。
「ひいいいいいぃぃ!」
男が悲鳴をあげる。
「や、やめろ!」
階下から声がした。
見ると、声の主はキロの姉だった。
「いくらなんでもやり過ぎだろ!」
俺は黙ってキロの姉をジッと見つめた。
「……駄目だね」
「え!?」
俺の答えにキロの姉は驚いた。
「悪党にかける情けなどない。コイツらは平気で嘘をつく。そして騙す。約束など守りゃしない。善良な人間を食い物にして楽して暮らす事しか考えない」
「そ、それは……」
「お前だってたくさん手に掛けて来ただろ。俺もお前に襲われた口だからな。それに、そいつらが何を言ったかは知らんが、お前もきっと騙されているぞ」
キロの姉が男たちを見た。
だがその男たちは、全員キロの姉から視線を逸らした。
「悪党ってのはな、力の信奉者だ。より強い力にしか従わない。人間の在り方としては最低だが、ある意味正直で本来の姿とも言える」
「お、お前だって悪党なんだろ!正義の味方は敵だって言ってたじゃないか!」
キロの姉が食い下がった。
「そうとも。だから『例え悪党でも殺さない』なんて言う善人の意見には与しない」
キロの姉は俺の顔を見て、恐怖に怯えた表情を浮かべる。
俺は今、さぞや冷酷な顔をしているのだろう。
「さあ、ラストチャスだ。頑張って生き抜いてみろ」
俺はそう言って男を振りかぶった。
「ああああっ!言う!言います!言うから投げないでぇっ!」
男は涙声で絶叫した。
俺はもう投げる体勢に入っていたのを、無理やり体を回転させて中止した。
下からは悲鳴に似た声が上がる。
俺は男を一旦下に置いた。
失禁してやがる。
汚ねえなあ。
「マ、マイヤードだ……」
やっぱりか。
ま、普通の展開だな。
懲りないヤツめ、もう一度脅かしておく必要があるな。
「なぜマイヤードはあのメモを欲しがる」
「詳しくは知らねえ……けど何か手に入れなきゃならねえもんがあるらしい。それがないとマズイ事になるんだと」
マズイ事?
なんだそれは?
「知らねえ……ホントに知らねえんだ。もう勘弁してくれえ」
男はガキのように泣きじゃくった。
仕方がない。
俺は男の首根っこを掴まえると、そのまま地上へと飛び降りた。
「ひぃやあああああっ!」
下からも同様の悲鳴が上がる。
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