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四八五
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俺はそう言うと銀猫に目をやる。
うずくまって動けない老人を立たせようと、必死になってかつぎあげている。
彼女をここの責任者に選んだ蜻蛉洲の目に、狂いは無かったようだ。
「貴様ら、どういう存在なのだ……?」
バーデンが困惑しているのが見てとれる。
下調べは完璧だったのに、予定にない事が起きたらしい。
トラゴスの存在を極端に意識している。
カルタスはトラゴスを担いで走っている。
オレコは銀猫に手を貸している。
銀猫は民衆をこの場から逃がすべく、声を張り上げて誘導していた。
これだよ。
三千人など倒そうと思えば倒せない事は無い。
しかしこの数は厄介なのだ。
戦闘する者、家屋を破壊する者、バーデンを護ろうとする者。
同時に複数の事をやってくる。
こちらは圧倒的に人手が足りていない。
戦闘できるのは俺一人だ。
家屋の破壊を止める役目を負える者は、今は居ないのだ。
だったら少しでも敵を減らさなければ。
俺は手当たり次第に兵士を倒す。
だがそれなりの装備で身を固め、武器を手にした正規軍の兵士を倒すのにはそれなりに時間が掛かった。
「ふふふ。よそ見している場合か?」
時折バーデンが攻撃を仕掛けてくる。
「く……っ!」
俺はそれをかわしながら、再び兵士を打ち倒し続けた。
「くそっ、キリがない……!」
「どうした。まだ千人も倒してないぞ?四百はやったかな?」
バーデンが足下に積み重なる兵士たちを見下ろす。
まったく消耗していない。
当然だ。
ヤツはまだ、たいして何もしていない。
こうなっては手段など選んではいられない。
兵士を殺してしまう事になるが、サフィリナックスヒューイットを使うしか無い。
俺は覚悟を決めると両手から触手を伸ばした。
「ふふ。またそれか?」
バーデンが鼻で笑う。
「笑ってろよ」
俺はそう言うと、姿を消した。
「なに!?」
バーデンが驚いた。
どうだ、俺が姿を消せる事は知らなかっただろう。
俺は気配を消すと、忍び寄る捕食者のように、透明になって兵士たちの群れに飛び込んだ。
「ぐああっ!」
「ぎゃあああ!」
兵士たちは次々に断末魔を漏らし絶命する。
触れただけで瞬間的に即死する、超即効性の猛毒触手だ。
無機物であろうと腐蝕する。
「これは……手強いな」
バーデンが盾を構えて身を護る。
藍眼鉱の盾ならば、この毒を防げるだろうな。
俺はバーデンに構わず、手当たり次第に兵士を打つ。
跳躍しながら兵士たちを、上から撫でるように触手で打ち据えた。
見る間に兵士たちの数が減っていく。
もう三分の一、千人ほどは倒しただろう。
それでもやっと三分の一なのか。
あと二千も残っている。
「……」
うずくまって動けない老人を立たせようと、必死になってかつぎあげている。
彼女をここの責任者に選んだ蜻蛉洲の目に、狂いは無かったようだ。
「貴様ら、どういう存在なのだ……?」
バーデンが困惑しているのが見てとれる。
下調べは完璧だったのに、予定にない事が起きたらしい。
トラゴスの存在を極端に意識している。
カルタスはトラゴスを担いで走っている。
オレコは銀猫に手を貸している。
銀猫は民衆をこの場から逃がすべく、声を張り上げて誘導していた。
これだよ。
三千人など倒そうと思えば倒せない事は無い。
しかしこの数は厄介なのだ。
戦闘する者、家屋を破壊する者、バーデンを護ろうとする者。
同時に複数の事をやってくる。
こちらは圧倒的に人手が足りていない。
戦闘できるのは俺一人だ。
家屋の破壊を止める役目を負える者は、今は居ないのだ。
だったら少しでも敵を減らさなければ。
俺は手当たり次第に兵士を倒す。
だがそれなりの装備で身を固め、武器を手にした正規軍の兵士を倒すのにはそれなりに時間が掛かった。
「ふふふ。よそ見している場合か?」
時折バーデンが攻撃を仕掛けてくる。
「く……っ!」
俺はそれをかわしながら、再び兵士を打ち倒し続けた。
「くそっ、キリがない……!」
「どうした。まだ千人も倒してないぞ?四百はやったかな?」
バーデンが足下に積み重なる兵士たちを見下ろす。
まったく消耗していない。
当然だ。
ヤツはまだ、たいして何もしていない。
こうなっては手段など選んではいられない。
兵士を殺してしまう事になるが、サフィリナックスヒューイットを使うしか無い。
俺は覚悟を決めると両手から触手を伸ばした。
「ふふ。またそれか?」
バーデンが鼻で笑う。
「笑ってろよ」
俺はそう言うと、姿を消した。
「なに!?」
バーデンが驚いた。
どうだ、俺が姿を消せる事は知らなかっただろう。
俺は気配を消すと、忍び寄る捕食者のように、透明になって兵士たちの群れに飛び込んだ。
「ぐああっ!」
「ぎゃあああ!」
兵士たちは次々に断末魔を漏らし絶命する。
触れただけで瞬間的に即死する、超即効性の猛毒触手だ。
無機物であろうと腐蝕する。
「これは……手強いな」
バーデンが盾を構えて身を護る。
藍眼鉱の盾ならば、この毒を防げるだろうな。
俺はバーデンに構わず、手当たり次第に兵士を打つ。
跳躍しながら兵士たちを、上から撫でるように触手で打ち据えた。
見る間に兵士たちの数が減っていく。
もう三分の一、千人ほどは倒しただろう。
それでもやっと三分の一なのか。
あと二千も残っている。
「……」
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