見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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五一四

「うう……うぐぐぐ……んあああっ!」

 バーデンが叫び声をあげて、のたうち回る。
オオムカデンダルはそれを黙って見ている。
何をしているんだ。
早くトドメを刺すんだ。
俺は何とか動こうとしたが、まだ完全にはバーデンの力が消えてはいなかった。
震える四肢を自分でコントロール出来ないでいた。

 やがてバーデンの体は赤黒い炎によって燃え尽きた。
焼死したのか。
そんな馬鹿な。

 俺はもがきながら、つい今さっきまでバーデンだった物を見つめた。

 モゾ……モゾ

 バーデンの燃えカスが、不気味に動いた。
俺はギョッとする。
嫌な予感が加速する。
早く、トドメを。

 モゾモゾ……

 ぴょこ

「きー」

 何かが飛び出た。
鳴いている?

「きーきー」

 俺は自分の心臓の鼓動が大きくなるのを感じていた。
やめろ、これは駄目だ。
不安が大きくなる。

 子犬くらいか。
正体不明の小動物が動いている。
何だかは良く判らなかった。

「なんだこりゃ」

 オオムカデンダルが首をかしげる。

「きー」

 目の錯覚か、さっきよりも少し大きくなったか。

「きーきーきー」

 いや、錯覚などでは無い。
鳴き声をあげる度に、大きくなっている。

「おいおい。気持ち悪いな」

 オオムカデンダルが感心したように言う。
いや、アンタの見た目もだいぶグロテスクだぞ。
それは、俺もだが。

 そんな事を言っている場合か。
俺は自戒した。
ソレは、あっと言う間にオオムカデンダルぐらいの大きさに育った。
育ったと言って良いのか疑問だが、それもすぐに追い抜いた。
二周り、三周り、どんどん大きくなる。

「おおー、でけえ」

 オオムカデンダルがソレを見上げる。
何と言う名前なのかも判らない。
ただただ、不気味で不快だ。
無理に形容すると、巨大な幼虫に見える。

 青白い体表。
蛇腹状の体。
産毛がうっそうと生えており、人間の赤ん坊のような手が両脇から何十本と生えていた。
赤ん坊のような手と言っても巨大だ。
一本一本は丸太のように太く、形だけが赤ん坊のようなのである。

 そして顔だ。
顔はあって無いような物だった。
顔全体が口である。
女性の、それも肥え太ったような女性の口が、頭全体であった。
巨大で肉厚な唇。
それが開くと巨大で頑丈そうな歯が、整然と並ぶ。

 形容として正しいのかは判らなかったが、美しい歯並びだった。
そしてそれが、逆に恐ろしく不気味に感じられた。

 この大きさ。
それだけで力と頑丈さを感じる。
今やその大きさは城壁の内側に収まりきれずに、城の外にまで溢れ出ようとしていた。

「ひゃあああ!ば、化け物!」

「ぎゃああああ!」

 兵士たちが口々に恐怖と断末魔をあげた。
ある者は押し潰され、ある者は這いつくばりながらも逃げ出した。
俺も何とか、這ってその場を離れようともがく。
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