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五四六
「ラ、ライエル将軍……」
「念の為だ。何も無ければ改めてまた出直せば良い。皇帝陛下をお守りするのが先だ」
ライエル将軍が厳しい口調で言った。
「さーすが、最年長」
「うるさい。俺は残るぞ」
ライエルはオオムカデンダルを制するように言った。
「え?ライエル将軍も撤退するのでは無いのですか?」
メルドルムが驚いて立ち止まる。
「コイツらを野放しには出来ん。誰かが監視しておかねばならんだろ。ほら、お前らは早く行け!」
ライエル将軍がオオムカデンダルから視線を外さずに言う。
「なるほど。お目付け役って事か。だが、死んでも知らんぞ」
「放っておけ。貴様こそどうするのだ」
「さて。どうしたモンかね」
オオムカデンダルは無責任にも首をひねった。
ぐにぐに
その間にもプニーフタールの指は、ぐにぐにと形を変えていく。
「……何になると思う?」
オオムカデンダルがライエルに尋ねた。
「知らん。が、あれが本当にプニーフタールなのか」
「プニーフタールは知っているのか。さすが最年長。その可能性は排除できんな。とは言え、たかが指一本、あれをどうにか出来ないならプニーフタール本人には敵わんだろうな」
オオムカデンダルが両手を腰に当ててプニーフタールの指を見守る。
「お前、さっきプニーフタールに飛び掛かっていたではないか」
「……あんなもん本体な訳無いだろ。ヤツはまだ封印されている筈だ。それを解く為にウロチョロしているヤツが居る。あれはプニーフタールの力の一部、若しくは不完全な状態で力だけ寄越したと見た方が良い」
例え不完全だろうと一部だろうと、邪神と知ってて飛び掛かって行くのはアンタだけだがな。
「ふふ」
「……何がおかしい」
笑ったライエルをオオムカデンダルが見る。
「一部だからと言ってプニーフタールに向かって行くのはお前ぐらいだろうよ」
その通りだ。
ライエルも同じ事を思っていたらしい。
「ほれ、そろそろ向こうも準備が出来たみたいだぞ」
オオムカデンダルが言った。
プニーフタールの指だった物は、今や人の形へと変貌を遂げていた。
だが、人間かと言われればそれはまた全然違う。
尻から生えた尻尾。
背中からはコウモリを思わせる翼が生えている。
顔は無かった。
目も鼻も口も無い。
つるんとした茹で卵みたいな顔だった。
色は全身が焼けた灰色で、およそ『生』のイメージとは程遠い。
見るからに悪魔のイメージその物だ。
さすがは邪神と言うべきか。
「……今思ったんだが、さっきのうちで倒せなかったのか?」
ライエルが言った。
「……お前が話し掛けてくるからだろ」
オオムカデンダルが答える。
「念の為だ。何も無ければ改めてまた出直せば良い。皇帝陛下をお守りするのが先だ」
ライエル将軍が厳しい口調で言った。
「さーすが、最年長」
「うるさい。俺は残るぞ」
ライエルはオオムカデンダルを制するように言った。
「え?ライエル将軍も撤退するのでは無いのですか?」
メルドルムが驚いて立ち止まる。
「コイツらを野放しには出来ん。誰かが監視しておかねばならんだろ。ほら、お前らは早く行け!」
ライエル将軍がオオムカデンダルから視線を外さずに言う。
「なるほど。お目付け役って事か。だが、死んでも知らんぞ」
「放っておけ。貴様こそどうするのだ」
「さて。どうしたモンかね」
オオムカデンダルは無責任にも首をひねった。
ぐにぐに
その間にもプニーフタールの指は、ぐにぐにと形を変えていく。
「……何になると思う?」
オオムカデンダルがライエルに尋ねた。
「知らん。が、あれが本当にプニーフタールなのか」
「プニーフタールは知っているのか。さすが最年長。その可能性は排除できんな。とは言え、たかが指一本、あれをどうにか出来ないならプニーフタール本人には敵わんだろうな」
オオムカデンダルが両手を腰に当ててプニーフタールの指を見守る。
「お前、さっきプニーフタールに飛び掛かっていたではないか」
「……あんなもん本体な訳無いだろ。ヤツはまだ封印されている筈だ。それを解く為にウロチョロしているヤツが居る。あれはプニーフタールの力の一部、若しくは不完全な状態で力だけ寄越したと見た方が良い」
例え不完全だろうと一部だろうと、邪神と知ってて飛び掛かって行くのはアンタだけだがな。
「ふふ」
「……何がおかしい」
笑ったライエルをオオムカデンダルが見る。
「一部だからと言ってプニーフタールに向かって行くのはお前ぐらいだろうよ」
その通りだ。
ライエルも同じ事を思っていたらしい。
「ほれ、そろそろ向こうも準備が出来たみたいだぞ」
オオムカデンダルが言った。
プニーフタールの指だった物は、今や人の形へと変貌を遂げていた。
だが、人間かと言われればそれはまた全然違う。
尻から生えた尻尾。
背中からはコウモリを思わせる翼が生えている。
顔は無かった。
目も鼻も口も無い。
つるんとした茹で卵みたいな顔だった。
色は全身が焼けた灰色で、およそ『生』のイメージとは程遠い。
見るからに悪魔のイメージその物だ。
さすがは邪神と言うべきか。
「……今思ったんだが、さっきのうちで倒せなかったのか?」
ライエルが言った。
「……お前が話し掛けてくるからだろ」
オオムカデンダルが答える。
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