見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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五四七

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「なっ!?貴様が何になると思うか、と尋ねてきたのではないかっ!」

「細かい事言うな。さ、来るぞ」

 オオムカデンダルはライエルを適当にあしらった。
いい加減な男だ。

 プニーフタールがゆっくりとこっちを向く。
と言っても、目も何も無いのだから見ているのかどうかさえ判らない。
耳もない。
聞こえているのか。
そもそも状況を理解する為の理性はあるのかさえ判らなかった。

 ぺたっ

 プニーフタールは人型でありながら、あえて手をついて四つん這いになる。

 だかだかだかだかだかだかっ

 そして突然トカゲのような動きでオオムカデンダルへと迫った。
意外と速い。

「俺を認識しているのか。それとも手当たり次第か」

 オオムカデンダルは構えた。
迎え撃つ気だ。
そして、唐突にプニーフタールの顔面が縦に割ける。

 しゅぴっ

 顔がパカッと開いて、長い触手なような物が飛び出した。

「むっ!?」

 それはオオムカデンダルの首に巻き付いた。
あれは、舌なのか。
赤いヌメっとした触手は筋肉の塊に見える。

「くっ……このっ!」

 オオムカデンダルが珍しく苦しそうな声を発した。

「むんっ!」

 ずばっ!

 ライエルがその舌を剣で一刀両断する。
オオムカデンダルはたたらを踏んで後ろへとよろめいた。

「へっ、動けるねぇ」

「礼くらい言ったらどうなんだ」

「まだ試合中だぜ。MVPの発表は試合が終わってからだ」

「また訳の判らぬ事を……」

 二人は言い終わると同時に左右に転がった。

 どすっ!

 そこへプニーフタールの舌が突き刺さる。
地面にはポッカリと穴が開いた。
切られた舌は無限に伸びるように思われた。
ダメージも全く感じられない。

「邪神が舌を斬られて死ぬ訳無いか」

 オオムカデンダルが言う。

「むっ!?」

 ライエルがのけぞる。
切った舌が、トカゲの尻尾の如く勝手に動いている。
それがライエルに飛び掛かっていた。

「なんと……!」

「……なるほどね。段々判ってきたぜ」

 ライエルを見てオオムカデンダルが言う。

「何がだ?」

「斬るなよ。増えるぞ」

「なに?」

 ライエルが慌てて剣を下げる。

「増えるだと?」

「ああ、たぶん斬ったら増える。何でも有りかよ、さすが邪神様」

 オオムカデンダルはそう言って鼻で笑った。
笑っている場合か。
じゃあどうやって倒す気か。

「焼いてみるか。ムカデンダルファイアー」

 オオムカデンダルはプニーフタールの舌に向けて掌を向けた。

 ごおっ!

 突然、掌から炎が噴き出す。
そんな事まで出来るのか。
数メートルは離れているのに、一直線に炎が伸びて舌を焼いた。

 だが。

「……だよなぁ」

 オオムカデンダルがため息をつく。
舌は全く燃えていなかった。
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