見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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五四九

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「来たか」

 オオムカデンダルが皆を見て言った。

「しばらくそのまま。続けててくれ」

 蜻蛉洲はオオムカデンダルを見もせずに言う。
何をしているのか。
何やら色々持ち込んでいるようだ。

「フィエステリアーム、それはこっちだ。令子さんは武器の準備を」

 蜻蛉洲はテキパキと指示を出しながら何かを準備していた。

「何を始める気かしら……」

 オレコが不安そうに呟いた。

「ああ重てえ!ちょっと休ませろ」

 カルタスが俺を地面に置いて、自分も隣へ座り込んだ。

「蜻蛉洲、出来たよ」

 フィエステリアームが蜻蛉洲に言う。

「よし、準備完了だな。僕はデータを取るから最後に行く。最初は誰が行く?」

「……じゃあ、最初は私が行こうかしら」

 蜻蛉洲に対して、令子がそう答えながら前へ出た。

 くるり

 令子は一回転すると、ウロコフネタマイトに変わった。
貝の怪人、大幹部ウロコフネタマイト。
その体は彼ら幹部たちの中でも最も硬いとされる。
どんな攻撃にも耐える、文字通り『鋼の体』の持ち主だ。

 ウロコフネタマイトはプニーフタールに近付くと、首をぐるりと回して仁王立ちになる。
プニーフタールはそれに気付いたか、オオムカデンダルの相手をしながら舌をウロコフネタマイトに向けて伸ばした。

 がしっ

 だがウロコフネタマイトは避けようともせず、そのまま正面から受け止める。
プニーフタールの長く強靭な舌が、ウロコフネタマイトの首に巻き付いた。

「あら、ずいぶんと積極的じゃない」

 ウロコフネタマイトはそう言うと、舌をむんずと掴まえた。

 ぐいっ

「!?」

 ウロコフネタマイトが舌を引っ張る。
プニーフタールはオオムカデンダルから簡単に引き剥がされた。

「相変わらず馬鹿力だな」

 オオムカデンダルが感心したように言う。
ウロコフネタマイトは引き寄せたプニーフタールを簡単に取り押さえた。
うつ伏せになったプニーフタールの背中に、ウロコフネタマイトがまたがるように座り込む。
プニーフタールは必死にもがくが、全く逃げられない。

「無理だぞ。令子の体重からは生身じゃ脱出不能だ」

 オオムカデンダルが笑う。

「女の体重を話題にするなんて、アナタって相変わらずデリカシーの無い人ね」

 確かにウロコフネタマイトの装甲なら、かなりの重量である事は想像にかたくない。
しかし脱出出来ないとは言え、ダメージそのものが有るかと言われれば、無いと見た方が良いだろう。
表情は無いが、別段苦しそうには見えない。

「ふふふ、慌てないの。今からゆっくりと楽しみましょ……私がね」

 そう言うと、ウロコフネタマイトの前面から何かの液体が滲み出た。

「あれは何をしておるんじゃ?」

 サルバスが蜻蛉洲に尋ねた。

「あれは消化液ですよ。溶かしているんです」

「なんと……」

「ま、彼女の食事用ですよ。本来は戦闘用ではありません。もともと令子さんは戦闘は嫌いだ」
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