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五五三
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フィエステリアームがトコトコと前に出て来た。
「……お前、判ってるな?」
オオムカデンダルがフィエステリアームに言う。
「うん、判ってる」
オオムカデンダルの問いにフィエステリアームは淡々と答えた。
「おい、逃げろ」
オオムカデンダルは振り返ってライエルに警告した。
「なに?」
「逃げろ。今から毒を撒く。少しでも触れたら即死するぞ」
「毒だと?今さら毒なんて……しかも大袈裟な」
「……じゃあ死んでも文句言うなよ」
オオムカデンダルはそれ以上何も言わずに、フィエステリアームから距離をとる。
「……ちっ」
ライエルは舌打ちをしたが、距離をとるオオムカデンダルを見て自分も離れた。
毒の範囲はどのくらいなのか。
「おい、お前たちもメタルシェルに入れ」
蜻蛉洲がカルタスとオレコに言った。
「おいおい、そんなにヤバイのかよ」
慌ててカルタスは立ち上がる。
そして俺を引きずるようにして再び歩き出した。
オレコもミーアを担ぎ上げると走った。
ミーアはオレコによって厳重に革のベルトで拘束されている。
「くそっ、速く走れねえ……!」
カルタスが焦燥感をあらわにした。
俺が重たくてスピードが出ないのだ。
「……良い。置い……て行……け」
俺は必死に声を絞り出してそれだけ口にした。
「馬鹿言え。戦場で仲間を見捨てた事が無いのが、この俺の自慢なんだよ」
カルタスはそう言って逆にむきになった。
駄目だ。
このままではカルタスが死ぬ。
「俺……は……大丈……夫だ。こ……の体は……死……なな……い」
「うるせえ!黙ってろよ!」
カルタスが必死に俺を引きずる。
ウロコフネタマイトもオオムカデンダルも、そして蜻蛉洲も走ってその場を離れている。
「おい、早くしろ。フィエステリアームは待たないぞ」
オオムカデンダルが叫んだ。
彼らさえ、フィエステリアームの毒には恐れを抱いているのだ。
くるり
フィエステリアームが一回転する。
その姿は幹部連中の中でも、最も不可解で、最もグロテスクだった。
大幹部、怪人フィエステリアーム。
元が何の生き物なのかさえ判らない。
目に見えないほどの小さな生き物で、状況に合わせてその姿を何通りにも変えると言う。
そしてその最大の特徴が、無味無臭の毒である。
空気中に散布して無差別に殺傷する。
目に見えず、匂いもせず、その殺傷能力はこの地球上に存在するあらゆる毒を軽く上回る。
何しろ即死だ。
俺の毒と同じだな。
俺はそう考えてふと思った。
じゃあ、俺には効かないのか?
生物が自分の毒で死んでいたら話にならない。
例え自分の毒で無くても、同じ毒なら効果がない、あるいは軽いんじゃないのか。
「カ、カ……ルタス……俺……には……毒……は効か……ない……大丈……夫……だ。お、俺……を……を……お、置い……て……いけ」
俺はそう言って、カルタスの腕を振りほどいた。
「……お前、判ってるな?」
オオムカデンダルがフィエステリアームに言う。
「うん、判ってる」
オオムカデンダルの問いにフィエステリアームは淡々と答えた。
「おい、逃げろ」
オオムカデンダルは振り返ってライエルに警告した。
「なに?」
「逃げろ。今から毒を撒く。少しでも触れたら即死するぞ」
「毒だと?今さら毒なんて……しかも大袈裟な」
「……じゃあ死んでも文句言うなよ」
オオムカデンダルはそれ以上何も言わずに、フィエステリアームから距離をとる。
「……ちっ」
ライエルは舌打ちをしたが、距離をとるオオムカデンダルを見て自分も離れた。
毒の範囲はどのくらいなのか。
「おい、お前たちもメタルシェルに入れ」
蜻蛉洲がカルタスとオレコに言った。
「おいおい、そんなにヤバイのかよ」
慌ててカルタスは立ち上がる。
そして俺を引きずるようにして再び歩き出した。
オレコもミーアを担ぎ上げると走った。
ミーアはオレコによって厳重に革のベルトで拘束されている。
「くそっ、速く走れねえ……!」
カルタスが焦燥感をあらわにした。
俺が重たくてスピードが出ないのだ。
「……良い。置い……て行……け」
俺は必死に声を絞り出してそれだけ口にした。
「馬鹿言え。戦場で仲間を見捨てた事が無いのが、この俺の自慢なんだよ」
カルタスはそう言って逆にむきになった。
駄目だ。
このままではカルタスが死ぬ。
「俺……は……大丈……夫だ。こ……の体は……死……なな……い」
「うるせえ!黙ってろよ!」
カルタスが必死に俺を引きずる。
ウロコフネタマイトもオオムカデンダルも、そして蜻蛉洲も走ってその場を離れている。
「おい、早くしろ。フィエステリアームは待たないぞ」
オオムカデンダルが叫んだ。
彼らさえ、フィエステリアームの毒には恐れを抱いているのだ。
くるり
フィエステリアームが一回転する。
その姿は幹部連中の中でも、最も不可解で、最もグロテスクだった。
大幹部、怪人フィエステリアーム。
元が何の生き物なのかさえ判らない。
目に見えないほどの小さな生き物で、状況に合わせてその姿を何通りにも変えると言う。
そしてその最大の特徴が、無味無臭の毒である。
空気中に散布して無差別に殺傷する。
目に見えず、匂いもせず、その殺傷能力はこの地球上に存在するあらゆる毒を軽く上回る。
何しろ即死だ。
俺の毒と同じだな。
俺はそう考えてふと思った。
じゃあ、俺には効かないのか?
生物が自分の毒で死んでいたら話にならない。
例え自分の毒で無くても、同じ毒なら効果がない、あるいは軽いんじゃないのか。
「カ、カ……ルタス……俺……には……毒……は効か……ない……大丈……夫……だ。お、俺……を……を……お、置い……て……いけ」
俺はそう言って、カルタスの腕を振りほどいた。
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