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五八三
「何故、俺たちを討伐する軍に参加した?」
俺は疑問を口にした。
「……世界征服を企む悪党共を討伐するのに理由が要るか?」
ガイが真顔で言った。
冗談では無いらしい。
本気だ。
「なるほどな。確かに理由は要らないな」
俺は答えた。
俺たちは世界征服を企む悪の秘密結社を、自ら標榜している。
何故叩くのかと聞くのは間抜けな質問かもしれない。
だが、それでも違和感を覚える。
冒険者は依頼があって動くものだ。
慈善事業はやってない。
俺たちが秘密結社だとしても、独自の正義感だけで討伐軍に参加するものか。
「お前が去った後、俺たちは困惑したよ。何故一人で行ってしまったのか。俺たちを気遣ったのか、それとも邪魔者扱いしたのか……」
ガイが静かに言う。
これは恨み節だ。
ガイの声音にそれを確かに感じる。
「ミスリル銀山に登らなくてはならなかったのだ。さすがに一緒に行ってくれとは言えなかったんだ」
ミスリル銀山は今でもモンスターが渦巻く一大魔境だ。
出会う魔物によっては、改造人間だからと言って簡単な相手ばかりでは無い。
ハイパーナイトとは言え、とても連れては行けなかった。
しかし、それをここまで恨みに思っていたのか。
それも何だか腑に落ちない。
「だが、何故お前が俺たちを置いて一人で旅立ったのか、ある人物が教えてくれた。それで俺たちは合点がいったのだ。そう言うことだったのかとな」
なんだ。
何の話だ。
俺には話が急に見えなくなった。
ある人物とは何だ。
「そう考えれば辻褄は合う。お前は最初からそのつもりで俺たちを募集し、利用しようとしたんだ」
「待ってくれ。何の話か途中から判らんぞ。何なんだ、そのある人物とは?」
「まだとぼける気か。ネオジョルトと言うのは芝居も教えているのか?」
バルバが口を挟んだ。
ルガも、ディーレも、同じ視線を俺に向けた。
このパターンは問答無用と言うパターンだな。
しかし、話が通じないのは何なんだ。
「……して、ここで余を待っていたのには理由があるのかの」
ソル皇子がガイを見て言った。
この状況で全く物怖じしていない。
オオムカデンダルのパンチを正面から受けた事と言い、この人はやはり只者ではないな。
「いえ、殿下は問題ではありません。西の繁華街は既にネオジョルトの手に落ちたと聞きます。あそこにノコノコ入っていくのはリスクが高過ぎますので、こうしてレオが自ら縄張りから出てくるのを待っていたのですよ」
そうか。
それでソル皇子を見張っていたのか。
「ふふふ」
突然ソル皇子が静かに笑った。
「……なにか?」
ガイが怪訝そうにソル皇子に尋ねた。
「これは済まぬ。いやなに、ネオジョルトの縄張りに入るのはオオムカデンダルたちが怖いからだと聞こえてな。だから外で待っていたのだと思うと、ほっほっほっ、そなたたちは存外可愛いのだな。ほっほっほっ」
ソル皇子が口元を袖で押さえて笑う。
さすがは皇子。
上品な笑い方だな。
どっかのムカデにも見せてやりたい。
俺は疑問を口にした。
「……世界征服を企む悪党共を討伐するのに理由が要るか?」
ガイが真顔で言った。
冗談では無いらしい。
本気だ。
「なるほどな。確かに理由は要らないな」
俺は答えた。
俺たちは世界征服を企む悪の秘密結社を、自ら標榜している。
何故叩くのかと聞くのは間抜けな質問かもしれない。
だが、それでも違和感を覚える。
冒険者は依頼があって動くものだ。
慈善事業はやってない。
俺たちが秘密結社だとしても、独自の正義感だけで討伐軍に参加するものか。
「お前が去った後、俺たちは困惑したよ。何故一人で行ってしまったのか。俺たちを気遣ったのか、それとも邪魔者扱いしたのか……」
ガイが静かに言う。
これは恨み節だ。
ガイの声音にそれを確かに感じる。
「ミスリル銀山に登らなくてはならなかったのだ。さすがに一緒に行ってくれとは言えなかったんだ」
ミスリル銀山は今でもモンスターが渦巻く一大魔境だ。
出会う魔物によっては、改造人間だからと言って簡単な相手ばかりでは無い。
ハイパーナイトとは言え、とても連れては行けなかった。
しかし、それをここまで恨みに思っていたのか。
それも何だか腑に落ちない。
「だが、何故お前が俺たちを置いて一人で旅立ったのか、ある人物が教えてくれた。それで俺たちは合点がいったのだ。そう言うことだったのかとな」
なんだ。
何の話だ。
俺には話が急に見えなくなった。
ある人物とは何だ。
「そう考えれば辻褄は合う。お前は最初からそのつもりで俺たちを募集し、利用しようとしたんだ」
「待ってくれ。何の話か途中から判らんぞ。何なんだ、そのある人物とは?」
「まだとぼける気か。ネオジョルトと言うのは芝居も教えているのか?」
バルバが口を挟んだ。
ルガも、ディーレも、同じ視線を俺に向けた。
このパターンは問答無用と言うパターンだな。
しかし、話が通じないのは何なんだ。
「……して、ここで余を待っていたのには理由があるのかの」
ソル皇子がガイを見て言った。
この状況で全く物怖じしていない。
オオムカデンダルのパンチを正面から受けた事と言い、この人はやはり只者ではないな。
「いえ、殿下は問題ではありません。西の繁華街は既にネオジョルトの手に落ちたと聞きます。あそこにノコノコ入っていくのはリスクが高過ぎますので、こうしてレオが自ら縄張りから出てくるのを待っていたのですよ」
そうか。
それでソル皇子を見張っていたのか。
「ふふふ」
突然ソル皇子が静かに笑った。
「……なにか?」
ガイが怪訝そうにソル皇子に尋ねた。
「これは済まぬ。いやなに、ネオジョルトの縄張りに入るのはオオムカデンダルたちが怖いからだと聞こえてな。だから外で待っていたのだと思うと、ほっほっほっ、そなたたちは存外可愛いのだな。ほっほっほっ」
ソル皇子が口元を袖で押さえて笑う。
さすがは皇子。
上品な笑い方だな。
どっかのムカデにも見せてやりたい。
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