見知らぬ世界で秘密結社

小松菜

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五八九

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 一瞬にして四人全員が同じ格好に変わっている。
これは変身なのか。
さすがに俺も動揺した。

 見た事の無い戦闘衣装だった。
装甲は少なく、動きやすさ重視なのか。
肩、胸、肘、膝、後は前腕部から手甲に掛けて、ガントレットのような物が着いている。
防具らしい物はそれだけだった。

 全員同じかと思ったが良く見ると、一部装飾の形状にそれぞれ違いがある。
装飾部分の色もそれぞれに違っている。
どうやら個人を識別する為に、形状や色が違っているらしい。

 ガイが最初に着けていた仮面を脇に抱えている。
あれを被ると見分けがつかなくなると言う訳だ。

「姿が変わるのはお前だけじゃ無いって事だ」

 そう言いながら、ガイは仮面をすっぽりと被った。

「この姿で相対するのは初めてだな。一応名乗っておこう」

 ガイが一歩前に出る。

「赤の機甲魔闘士、ガイ」

 機甲魔闘士だと。
魔法闘士と言う意味か。

「緑の機甲魔拳士、バルバ!」

「黄色の機甲魔戦士、ルガ」

「……青の機甲魔導士、ディーレ」

 四人がそれぞれに名乗った。

「機甲遊撃隊、クラッシャーズ参上」

 機甲遊撃隊クラッシャーズだと。

「俺たちは、お前たちに対抗する為に結成された遊撃隊だ。意味は判るだろ?」

 ネオジョルトを壊す為の隊と言う事か。
しかし変身するとは。
力量が判らない以上、少し手荒に行くか。

「ならば改めて俺も名乗ろう。秘密結社ネオジョルト行動隊長、怪人サフィリナックスだ。この姿と名前で会うのは初めてだな」

 まさか、こんな姿でコイツらと戦う事になるとは。
昨日の友は今日の敵、が現実になるなんて、思いもしなかった。

「いくぞ!」

 ガイが口火を切った。
三人がその後に続く。

「どれだけ変わったか見せてもらう!」

 俺はガイを真っ向から迎え撃った。

「はっ!」

 ガイのパンチが空気を裂いて放たれる。
俺はそれを軽く受け止めてパンチを返す。

「させん!」

 ガイの陰からバルバが飛び出した。
俺のパンチを外受けで受けて、そこから更に踏み込んでくる。

 懐か。
肘だな。
距離を零に近い所まで詰められて、俺はそう判断した。

「むん!」

 その肘はかわさずに、あえて前に出て胸で受け止めた。
こちらから胸をぶつけていく。
その方がダメージを殺せる。

「なに!?」

 バルバが驚きの声をあげた。
格闘が得意なのはお前だけじゃ無いんだぜ。
受け止めた肘を掴まえて、自らの腕に引っ掻ける。
そしてそのまま後ろへ放り投げた。

 アームホイップ

 オオムカデンダル直伝のプロレス技だ。
相手の勢いを利用する技だが、改造人間の力で繰り出せばその威力は更に増す。

 だあん! 

「ぐあっ!」

 バルバがうめき声をあげて地面に転がる。

「このー、よくも!」

 ルガの声が聞こえた。
俺はすぐさま振り返った。

 いない。
上か。

 見上げると空中から、ルガがキックの体勢で突っ込んで来るのが見えた。
小柄なだけあって身軽だ。
だが。

 逆に小柄なルガの飛び技は威力に乏しい。
俺は手を伸ばして、空中のルガの足首を捕まえた。

「え!?」

それをそのまま、攻撃体勢に入っていたガイにぶつけた。

「きゃっ!」

「ぐっ!」

 二人まとめて地面に投げ捨てる。
どうも身体能力が向上した事で、全員が格闘戦に傾倒しているな。
特にルガなどは、前線で近接攻撃を行う場面などほとんどあるまい。
本職はレンジャーだったのだ。
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